飼育者の高齢化や後継者不足から、日本鶏は減りつつあり、このままでは絶滅するのではないかという危機意識が部員たちにはある。日本鶏の減少は、鑑賞などを目的に飼育する文化が衰退するだけでなく、貴重な遺伝子の消滅にもつながるというのだ。

 動物が大好きな部員たちは、このほかに西洋で品種改良された4品種を加え、現在8品種21羽を飼育している。

 各部員はそれぞれ決められた品種を担当し、一対一で世話をする。

 鶏は一般的に人になつきやすい動物だと、部長の林紗希子さん(3年)は言う。

「人工孵化でかえし、ひよこから育てると、いっそう人なつこい子になりますね。私が育てているセブライトという品種は、私だけでなく、ほかの人に抱かれてもそのまま眠ってしまうことがありました」。育ててくれる人は自分より上、知らない人は自分より下というふうに、人を見分けて順位づけする個体もいるという。

 中野投哉さん(3年)がひなのときから育てているポーリッシュは「手を出すと乗ってきます。機嫌がいいときは、ひざをたたくとひざに乗ってくることもあります」。副部長の新井達也さん(3年)が昨年育てていたモダンゲームのひなたちは「小屋の外に出すと、ぼくが歩くあとをついてきました」。

 部員たちは鶏を通じた環境教育にも力を入れ、子どもたちが鶏に触れる機会を設けるなど、日本鶏の存続が危機を迎えていることを訴える活動も行っているという。

 酉年の今年は鶏を通して、人間と動物、さらには自然とどう向き合うか考える年にしよう。(文/上浪春海)

【メモ】
オスは夜明け前に大きな声でコケコッコーと鳴くので、住宅街で飼うなら、メスがおすすめ。また、あらかじめご近所の了解をとる必要があります。

【鶏の起源は?】
 鶏は、東南アジアの密林に生息しているセキショクヤケイを飼いならしたものが起源と考えられている。その時期については約4千年前、約8千年前などさまざまな説がある。いずれにせよ鶏は、人に飼われる鳥として世界中に広がり、闘鶏用、鑑賞用、ペット用、肉用、卵用など数多くの品種が生み出されてきた。

※月刊ジュニアエラ 2017年2月号より

ジュニアエラ 2017年 02 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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