――新型コロナウイルスのワクチンや治療薬はいつごろ開発できそうなの?

過去の例から考えて、1年か1年半のうちには、ワクチンや治療薬が開発されるんじゃないかな。ただし、効果があることがわかっても、ほんとうに安全かどうか、慎重に確かめなければいけないから、実際に広く治療に使われるまでには少し時間がかかるかもしれない。でも、ほかのウイルスに効く治療薬が新型コロナウイルスにも効くとわかれば、すでに安全性は確かめられているから、すぐに使える。そんな治療薬を探す研究も進められているよ。

――それは心強いけど、ワクチンや治療薬が開発されるまで、どうすればいいか心配だな。

心配するのはわかるけれど、おそれすぎることはないよ。私たちの体には、もともとウイルスを退治する免疫などのしくみが備わっているからね。新型コロナウイルスに感染しても症状が出ないまま治ってしまう人がいるのはそのためだ。ただし、高齢の方や持病を抱えている方などは、ウイルスを退治する力が弱くなっていることが多いから、亡くなってしまうおそれがある。だから、まだワクチンや治療薬が開発されていない今は、感染の拡大をできるだけ防いで、重症化する人が一人でも少なくなるように努めることが大切だね。

――感染の拡大や重症化を防ぐには、どうすればいいの?

新型コロナウイルスの特徴を正しく知って、それに合わせた対策をするべきだね。まず、新型コロナウイルスの感染経路は、せきやくしゃみのつばが口から入る飛沫感染と、手についたウイルスが口から入る接触感染だ。だから、外出先から帰ったらすぐに手を洗い、ウイルスを洗い流そう。新型コロナウイルスはアルコールに弱いから、アルコール消毒をこまめにするのもおすすめだよ。

ウイルスがマスクの繊維を通れるから効果がないという人もいるけれど、手についたウイルスが口に入るのを防ぐ効果はあるし、自分のつばが飛んでほかの人を感染させるのを防ぐから、マスクは着けたいね。

――でも、ボクは新型コロナウイルスにはかかっていないと思うから、だいじょうぶだよ。

そういう考えはいけないよ! 元気だとしても、じつはすでに感染していて、症状が出ていないだけかもしれない。そんな人でも、ほかの人に感染させてしまう可能性はあるんだ。もしも高齢者や持病のある人などに感染させたら、重症化してたいへんなことになってしまうかもしれない。だから、自分が感染しないだけでなく、他人にも感染させないようにすることが大切なんだ。食事、睡眠、運動をしっかり心がけて、重症化させないための体づくりも忘れずにね。

――はい! わかりました!

【感染を防ぐために大切なこと】

●うがいと手洗いは念入りに
外出先から帰ったら、必ず手洗いやうがいをしよう。新型コロナウイルスの場合は、特に手洗いが大切。手や指についた病原体は、石鹸を使って念入りに落とそう。

●アルコール消毒もこまめに
新型コロナウイルスはアルコールに弱いエンベロープに囲まれた構造なので(20ページを見よう)、手を洗うだけでなく、こまめにアルコール消毒をしよう。

●十分な睡眠・食事・運動を
私たちの体にもともと備わっている、病原体への免疫力がきちんとはたらくように、十分な睡眠とバランスのとれた食事、適度な運動を心がけよう。

●エチケットとしてマスクを着用
ほとんどのウイルスはマスクを通り抜けられるけれど、手についた病原体が直接口に入るのを防ぐほか、自分のせきやくしゃみによる飛沫を広げないという効果がある。

※月刊ジュニアエラ 2020年5月号より

濡れた手で「アルコール消毒」してはいけない
ジュニアエラ 2020年 05 月号 [雑誌]

ジュニアエラ 2020年 05 月号 [雑誌]
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AERA編集部
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