日本では政治をはじめあらゆる分野に横たわっている、ジェンダーギャップ(男女格差)の問題。そんな中、IT業界のジェンダーギャップを解消しようと活動しているのが、2020年にForbes JAPAN誌の「世界を変える30歳未満30人の日本人」にも選ばれた、一般社団法人Waffle共同代表の斎藤明日美さんだ。彼女の活動の根源には、女子進学校として知られる鴎友学園女子中学高等学校(東京都・世田谷区)での日々が大きくかかわっているという。AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』(2021年6月28日発売)で、中高時代を振り返ってもらった。
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私が共同代表を務める一般社団法人Waffleは、女子中高生向けのプログラミング教育、社会への啓発、政策提言などを通して、女性が少ないIT業界のジェンダーギャップの解消をめざしています。具体的には女子中高生が自分でウェブサイトを制作するキャンプ、アメリカの教育型コンペへの出場支援などを企業の協力を得て行っています。
この活動を始めたきっかけは、アメリカの大学院を終えて就職したIT企業で、女性のあまりの少なさに疑問を感じたことでした。そもそも大学生の時点で理系の女子は非常に少ないのです。
私自身も高校時代は「英語が得意だから文系に進もう」と考えていました。しかし、鴎友の数学の先生から、「数学ができるんだから理系にしたら?」と言われて進路を変更しました。IT技術は生活のあらゆる部分にかかわっていますから、今では理系に進んでよかったと思っています。文系を選びがちな女子中高生が理系を選択しやすくなるよう、中高生のうちにプログラミングなどのIT技術に触れる機会を増やしたいと考えています。
■全力で、よく話し合う 鴎友らしさの中で成長
鴎友での6年間には、運動会、学園祭、部活の剣道班など、楽しい思い出がたくさんあります。全てに共通しているのは、みんなで全力を出してやり切ったということです。企業ではフルポテンシャル(最大限の能力)という言葉をよく使いますが、まさに同じ体験でした。自分の意見を持ち、それを言葉で表現して話し合うこと。プロジェクトに対してオーナーシップを持ち、責任感を持って成し遂げること。こうした鴎友での経験は、現在の私の活動に確実に生かされています。
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