全国屈指の進学校、千葉県の渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(通称、渋幕)では教育目標の一つに、「国際人としての資質を養う」を掲げています。渋幕ならではの英語の教育法とは? 教育ライター・佐藤智さんの著書『渋幕だけが知っている「勉強しなさい!」と言わなくても自分から学ぶ子どもになる3つの秘密』(佐藤智著、飛鳥新社)から紹介します。
【体験記マンガ】小学校受験で5校“全落ち” 中学受験で再び同じ学校に挑んだ結果は…英語を人生の武器にするための秘訣は「音読」だった
「渋幕は英語ができる子が揃っている」、そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私自身もその印象を持っていたので、英語科の後藤大地先生に尋ねてみたところ、とんでもない!」と意外な答えが返ってきました。
「中高6年間で週6時間英語の時間がありますが、それだけでペラペラに喋れるようになる子はほとんどいません。私たちはあくまできっかけを与えているにすぎません。結局は、生徒たち自身がどんな目標を持つか、なんです。大学受験をする生徒がほとんどなので、そして英語は大半の大学で課している教科なので、自分の努力次第で、着実に力をつけていけるように基盤を作っていくことが重要だと考えています」
あくまで自分の目標次第。渋幕での学びは常に自身がどうありたいかが問われています。ここでもやはり、主体はあくまで生徒なのです。
英語の授業ではAブロック(中学1・2年生)の段階では、何回も音読して、きちんと基礎を身につけていくといいます(帰国生の英語の授業は別のカリキュラムになります)。すると、高校になっても自然と音読をしていくようになるそうです。実際に「そういえば、高校でも無意識にブツブツと音読をしていました」という卒業生もいました。
中学生の段階で音読に注力するのはなぜなのでしょう。
「感覚と知識、英語にはこの2つが欠かせません。例えば、知識として『こういときには『a』を入れて、こういうときには『the』を入れる』と理論がわかっていても、使いこなすまでには至りにくいものです。だからこそ、繰り返し音読して、間違いに対し『なんだか気持ちが悪い』と違和感を持てるようになることが大切なのです。知識は後からいくらでも獲得できますが、言語的な感覚や発音は、若いうちの方が圧倒的に早く身につきます。そのため、中1・中2は英語的な感覚を先に身につけさせるような学びを重視しているのです」
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