思春期の前段階にあたる「プレ思春期」。個人差はありますが、小学4年生くらいからからだの成長も急激に進み、子どもたちの心にも大きな変化があらわれ始めます。そこで、プレ思春期の親子に多く見られる心配やお悩みについて、臨床心理士・公認心理師の松丸未来さんにお話を聞きました。

その言葉には「もう言わないで」「わかってるよ」という気持ちがこめられています

<プレ思春期・親の心配事>

「先日、子どもから『くそばああ』『うざい』とも言われて大ショック……。つい大声を出して親子バトルを繰り広げてしまいました」(小4男子の母)

――こんなことを言われたら、かなり動揺してしまいそうです。

 そうですね。親としてはかなり傷つくものです。思わず攻撃に出て親子げんかになるか、どんと落ち込んでしまうかのどちらかでしょう。

 まず、「くそばばあ」「うざい」という言葉の裏には、「親を黙らせよう」という意図があると思うのです。かなり強い言葉であることは子どもも理解しているでしょう。親が傷つくことを承知で、あえてその言葉を口にしたのですから。最後の決め台詞のような感じですね。

 でも、それくらい「嫌」だったということなのです。この言葉を翻訳すると「もう言わないで」「わかってる」「これについての話はもうおしまい!」というニュアンスではないでしょうか。

――そのときは、自分が言われたことに対してショックを受けて、子どもの気持ちまで思い及ばないかもしれません。

 インパクトのある言葉ですから、その瞬間に落ち着いて「子どもはこう思っている」と感じとるのはなかなか至難のわざですよね。でも、事前にこれを知っておくと、これから思いとどまることができます。

 親としては、つい言葉に反応して「なんてこと言うの!」と感情的になってしまいがちです。でも、その裏にある子どもの気持ち、なにを伝えようとしているのかを読み取ってあげられるといいですね。

 子どもは、言葉のレパートリーがまだまだ少ないので、精一杯の「くそばばあ」「うざい」になってしまうのですが、「この話はもう終わりにして」「ストップ!」ということを訴えている。ですから、「くそばばあ」と言われたら、もうおしまいのタイミング。機会を見て仕切り直し。そう思っておくといいですね。「くそばばあ」を最後の決め台詞にして、すっと切り上げてあげましょう。

(取材・文/三宅智佳)

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三宅智佳
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