――子育て漫画を描きはじめたきっかけは?

 出産前に夫の実家で同居をはじめたので、近くにママ友がいませんでした。育児の喜びや苦労を誰かと分かち合いたくて、子育て絵日記をインスタグラムに投稿しはじめました。初めのころは、離乳食作りやベビー服作りを上手にこなしているママたちの投稿を見て、落ち込むこともしばしば……。時間をかけて離乳食を作っても食べてくれないこともあるし、作った服より買ったほうが明らかに可愛い。「なんで私はできないんだろう。」と考えているうちに、「みんな、自分が好きで楽しいからできているんだ。お母さんだからって何でもできる必要はない。育てるだけで大変だもん!」と気づいたのです。なので、好きで得意な漫画は描いていますが、苦手な片付けは最低限で、完璧は目指しません!

――ご主人へのイライラは「寸劇」で伝えているんですよね。

 例えば夫から帰宅時間の連絡がなく、夕食がいるのかいらないのかも分からないとき、私は「ひとことLINEで連絡してくれるだけでいいのに!」とモヤモヤしてしまいます。でも夫に対してストレートに怒りをぶつけたら、けんかになる。それはかえって疲れるから避けたい。でもこの気持ちは伝えたい…。そんなときは、「怒りの寸劇作戦」です。普段の自分のキャラではないヤンキー風に強い口調で伝えてみたり、少女漫画の主人公風に目をウルウルさせて思いを伝えたり……。試行錯誤の結果、おもしろおかしく伝えることが、自分にとってはラクな方法でした。

【マンガ】怒りの寸劇作戦を読む(全6枚)

――「面白く伝える」も結構大変な気がします。

 なぜ私が「面白く伝える」ことに意識が向くのかというと、中学生の頃に、友達に嫌われた経験が大きなきっかけになっていると思います。「どうやったらこれ以上嫌われないだろう?『一緒にいたい友達』ってどんな子だろう?」と考えた結果、「面白い子になろう!」と決めたのです。幼い頃からバラエティ番組やお笑い番組が好きで、「笑い」にはものすごいポジティブなパワーがあると体感していたからかもしれません。それからは落ち込むたびに「おもしろくなろう! おもしろく考えよう!」という思考を繰り返してきたから、ネガティブな感情もおもしろく変換してこられたのだと思います。

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