2人の娘たちに思う真のグローバルとは

 現在、久保さんの長女は大学を卒業し、次女はハイスクールに通っている。

「娘たちは英語で話すほうが楽みたいですが、私はかたくなに日本語です(笑)」

 そんな娘たちも、11年に夫の転勤でカリフォルニア州に移り住んだときにはまったく英語が話せなかったそうだ。しかし1年経つと、10歳のときの久保さん同様、英語が自然と口をついて出るようになった。

「赤ちゃんも1歳くらいで話し始めますよね。言葉のシャワーを浴びているうちに、あるとき突然言葉があふれだす。英語も同じですね」

 最近、娘と話していてハッとさせられることがあった。

「次女のクラスに転校生が来たので『どんな子?』と聞いたんです。アジア系かそれ以外かなぁ、くらいの気持ちで。そしたら娘は『おもしろい子だよ』って。『髪の毛の色は?』と聞くと『え? わからない』って。ああ、私とは人の見方が違うんだと気づきました。娘は人種や文化を超えて『その人』を見ている。これこそが真のグローバルなんだと感じました」

 日本にいてもグローバルな視点を手に入れることはできると久保さんは考えている。

「ニューヨークには世界中から人が集まっているので、ウクライナの戦争もトルコの震災も身近です。でも、その視点は日本にいても持てたはずです。親が世界の出来事にアンテナを張って、おしゃべりの中で子どもに伝える。その小さな積み重ねで、世界は子どもに近づいてくるのかなと考えるようになりました」

※AERAムック『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2024」』より

(文・神素子)

【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2024 (AERAムック)

朝日新聞出版

【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2024 (AERAムック)
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