インターに通って3日目、息子は父に文句を言った。

「なんでこんな楽しい学校に最初から入れてくれなかったんだ!って(笑)。行儀よく座って話を聞く日本式の授業より、自分で資料をつくってプレゼンしたり、討論したりするインターの授業が、息子には合っていたようです」

 子どもの進路を親がどの程度コントロールすべきか、迷う人は少なくない。パックンさんにも迷いはあったが、「子どもの幸せ」が基準にあれば、ある程度の誘導はやむを得ないと考えたと言う。

「親が考える“幸せへの近道”を子どもに勧めるのは当然のこと。ただし、子どもが本気でイヤがった場合には丁寧に話し合う必要があります。最終的に本人が、have to (すべき)ではなくwant to(したい)と思えればいい」

 そう言いつつも、「でも、僕は偉そうには言えない」と苦笑する。

「僕は息子に対して、patience(寛容さや忍耐)が足りない部分がありました。そのせいか息子の反抗期は7歳から15歳まで続き、何度もぶつかりました。とても後悔しているんです」

 それでも「自分を責めすぎないように」と心がける。

「ぼくもまだ52歳の子どもです。未熟な親と未熟な子が向き合っているのが家族なんだから、仕方がない。でも最近、息子が僕に思いやりを見せるんです。疲れていると、『パパ、大丈夫?』って」

「大丈夫?」「うん、大丈夫」。そんな会話がうれしいのだと言う。

「大丈夫も素敵な日本語です。英語の『OK』とは全然違う。だって『大きくて丈夫』なんですから(笑)。皆さんも、きっと大丈夫です!」

※AERAムック『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2024」』より

(文・神素子)

【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2024 (AERAムック)

朝日新聞出版

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