「日本人の英語力が落ちているわけではなく、他の国がそれ以上に本気だってこと。日本の場合『勉強』はもう十分しているので、『使う』ことに重点をおくべきです。野球だって千本ノックだけやっていても試合に勝てない。実戦練習が必要です。英語も同じで、日本人同士でも英語を話せばいいし、英語以外の授業を英語でやってもいい。本気で学び方を変えなくちゃ」

 一方で、日本の公教育については高く評価している。

「どの店でもお釣りを間違えないし、領収書も書いてくれる。誇りを持って働く日本人を見ると『すばらしい教育をありがとう』と先生たちに感謝したくなります」

 しかし自分が教壇に立つと、気になることもある。

「東工大の学生は非常に優秀ですが、授業中に手を挙げないし、質問もしないんです。幼稚園の子はみんな手を挙げるのに、小中高と学年が進むと手を挙げなくなる。手を挙げるのが恥ずかしいなんて、誰が思わせているの?」

 大学の授業では、まず学生全員に手を挙げさせる。「聞きたいことがない人は下ろして」と言うと、半分以上の手は挙がったままだ。

「みんな内心は発言したいのに、行き過ぎた集団主義がその気持ちをつぶしている。社会人になって『人と違うアイデアを出せ』なんて言ったって、無理ですよ」

 生まれ育ったコロラド州の小学校には、こんな標語が掲げられていた。

“The only stupid questionis the one not asked”.

「『唯一の愚かな質問は、聞かれなかった質問だ』っていう意味です。本当にその通り。自分から聞かないと学ぶチャンスを失っちゃうんです」

長く続いた反抗期 未熟な親でも「大丈夫」

 2人の子どもは今16歳と14歳。ともにインターナショナルスクールに通っている。

「最初は日本の公立小学校に通っていて、家に帰ってから毎日英語のレッスンを受けさせていたんです。でもなかなか習得できなくて……。小4のとき、長男は私立中学の受験塾でパンクしそうになっていたこともあって、インターへの転校を提案しました」

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