今回、一番問題なのは、父親である相談者さんが、禁止事項を守らなかったことにつきると思います。「絶対ダメ」ということを、自分の勝手な理屈で違反したのです。マイカーどころかタクシーを校門前に停車させるのだってだめなはずです。みんながそれをやったら、学校の周りの道路が渋滞して、大変なことになるからです。他の走行車の迷惑になる、近隣住民の迷惑になる、学校に苦情がくる、学校運営に支障が出る……という他者への配慮や想像力が欠けているから、ついついマイカーを使ってしまうのでしょうね。
人としての生き方を説いた「論語」には、失敗に関する孔子の名言があります。
「過(あや)まって改めざる、是(こ)れを過まちと謂(い)う」(衛霊公第十五)
相談者さんの文面からは、内心どこかで「遅刻できない状況で仕方なくやった自分は正しい」 と考え、反省していないように感じます。「バレなきゃいいだろう」とか、「1回くらいならいいだろう」という考えには、「自分の都合のいいように、あるものは使ってしまおう」という下心が隠れています。息子さんの受験の失敗をきっかけに、しっかり痛みを心で感じて、ぜひ直してください。
それから今度のことは、相談者さんだけの問題としてきちんと反省してくださいね。親の願望を息子さんに押しつけ、「第2志望校」なんて口にして通学させているのだとしたら、息子さんの自尊心は傷つけられて、いつかひねくれるに違いありません。
孔子はこうも言います。
「人、遠き慮(おも)んぱかり無ければ、必ず近き憂い有り」(衛霊公第十五)
「人がもし、遠い将来に対する考えがなく目先のことばかり考えていると、必ず困ったことが起こる」という意味です。やってはいけないことは、やってはいけません。それは、孔子が大事にしていた「礼」と呼ぶものですが、「小学校受験の失敗」が、「礼」を守らなかったことから起こったことを、相談者さんはどうか肝に銘じてください。
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