世界最高峰のレースで優勝目指す日本の大学が、ソーラーカーの原型にワシを選んだ理由 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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世界最高峰のレースで優勝目指す日本の大学が、ソーラーカーの原型にワシを選んだ理由

キャプテンの尾崎大典さん(右、4年)は「メンバーが最大限に力を発揮するにはどうすればいいか、いつもそのことで頭がいっぱい」、リーダーの村田愛美さん(中央、4年)は「優勝に向けてみんなの気持ちをまとめられれば」と話す。濱根洋人監督は「優勝は夢じゃない。手ごたえはあります」と力強く言う(撮影/上浪春海)

キャプテンの尾崎大典さん(右、4年)は「メンバーが最大限に力を発揮するにはどうすればいいか、いつもそのことで頭がいっぱい」、リーダーの村田愛美さん(中央、4年)は「優勝に向けてみんなの気持ちをまとめられれば」と話す。濱根洋人監督は「優勝は夢じゃない。手ごたえはあります」と力強く言う(撮影/上浪春海)

今回参戦する「Eagle」。車体後部に載っているのが太陽電池パネル。7位に終わった前回の2017年大会の車両と比べ、約20%軽く、燃費も約20%向上した(写真:工学院大学提供)

今回参戦する「Eagle」。車体後部に載っているのが太陽電池パネル。7位に終わった前回の2017年大会の車両と比べ、約20%軽く、燃費も約20%向上した(写真:工学院大学提供)

(3)車体の軽さを追求

 車体には、金属に比べて軽く丈夫な「炭素繊維」を使うことで、車体全体の重さをわずか150キロに抑えた。厚さ0.06ミリの布のような炭素繊維を何枚も貼り合わせたものを、なめらかに削っていくという地道な作業のたまものだ。

 このほかにもいくつか注目すべき技術を紹介しよう。サスペンション(車体と車輪をつなぐ装置)には、路面の凸凹を吸収して車体が傾かないようにする特殊なものを使っている。車体が傾くと空気抵抗が大きくなりスピードが落ちるので、こうした装置も重要なのだ。モーターは、メーカーのエンジニアの指導を受け、「アモルファス」という特殊な金属に学生たちが自らコイルを手巻きして、市販品の性能を大きく超えるものを作った。

 レースに参加するのはドライバーとメカニック(整備士)だけではない。さまざまな役割を担う九つの班が協力しあって、最も有利な条件で車を走らせる。

 エネルギーマネジメント班の場合、今、どのくらいのスピードで走ると全体としていちばん効率がよいのか、一日に何度も計算してドライバーに指示を出す。たとえば雨が降っているとき、スピードを落として電気を節約しながら雨雲が通り過ぎるのを待つのと、高速で走って雨雲の下を早く通り抜けるのと、どちらが有利かを計算する。

 天気は日本に残った気象班が気象衛星ひまわりの画像をこまめにチェックし、雲の動きをコンピューターで予測して衛星電話でレース中のチームに伝える。レースは頭脳戦でもあるのだ。

 車が走れるのは朝8時から夕方5時まで。5時になると車を停止させ、すぐ近くでキャンプすることになる。その準備をするのがキャンプ班や買い出し班だ。夕方5時にレースの車がどのあたりで走行を停止するかを予測し、早めにその場所へ行って草を刈り、テントを設営する。遠征チーム約40人分の食料や水などは買い出し班が調達してキャンプに届ける。砂漠の中を走るコースなので、ときには最寄りの街まで片道300キロも走って食料を調達しなければならない。

 こうしたチームの総合力が、優勝を呼び寄せる。果たしてレースの結果は? 10月の結果を楽しみにしていよう!(サイエンスライター・上浪春海)

※月刊ジュニアエラ 2019年10月号より


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