そんな矢先、23年9月、関東大震災が発生。日本橋の魚市場も焼失した。その移転先になったのが、現在の築地市場だ。鉄道路線に近く、川沿いで船を接岸することもできる広大な空き地があった。

 中央卸売市場は、生産者から受け入れた生鮮食料品などを確実に売り、商店など小売業者に、いつでも購入できるようにするという役割があるが、もっとも重要なのは公正な価格で衛生的な品物を安定して供給することだ。消費者の安心・安全な食生活は、この機能によって支えられてきた。

 その市場も、開かれてから80年以上がたち、老朽化が進んだ。紆余曲折を経て、いよいよ豊洲市場がオープンする。温泉やホテルなどさまざまな施設を設けるという。名前の通り「豊かな」市場になるか、注目したい。(文教大学生涯学習センター講師・早川明夫)

(※注)米騒動=1918年、この年からのシベリア出兵を見越した買い占めなどにより米の値段が急激に上がった。富山県の主婦たちが米の県外積み出しに反対し、安売りを要求。これが全国に広がった。

【築地市場の豊洲移転問題】
東京都は2001年に豊洲への移転を決めたが、後に移転先の土壌から環境基準を大幅に上回る有害物質が検出された。都はただちに土壌汚染対策をしたが、16年11月の移転を目前に対策が十分でないことがわかり、延期に。追加対策をして、今年10月11日に豊洲市場は開場する。

※月刊ジュニアエラ 2018年10月号より

ジュニアエラ 2018年 10 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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