■段階を踏んで英語絵本に慣れ親しむ

 もう一つ、小さな子どもが英語にふれる方法として斉藤さんが推奨するのが、絵本の読み聞かせだ。日本語の絵本同様、英語の絵本も声に出して読む楽しさを味わえるよう、音やリズムに工夫がこらされているものが多い。まずは大人が読み聞かせてあげることから始めよう。

「発音に自信がないという保護者も、心配せず読み聞かせをしてあげてください。子どもの気持ちに影響を与えるのは、親の英語力ではなく、子どもと一緒に英語を楽しもうとする姿勢です。子どもと一緒に、肩の力を抜いて絵本の世界を味わってみてほしいですね」

 フォニックスで文字と音の関係性を理解し始めたら、少しずつ音読を促してみるのもいい。音源付きの絵本ならば、音声を聴きながら声に出したり、文字を指で追ったりしてみよう。

「音読は、文字の情報を目で拾い脳にインプットする、拾った情報を声に出す、その声を耳から聞く、と何重にも負荷がかかる作業。その分、高い学習効果が望めます」

■最も大切なのは英語を楽しんだ経験

 斉藤さんによると、幼児期にフォニックスや英語絵本に親しんだ子どもは「中学生以降になっても、格段に発音がいい」という。正しい発音の理解は、リスニングやスピーキング力にも直結する。

「音声を通じた学習の力を信じてほしい。フォニックスと英語絵本で養った英語の基礎は、その後、必ず生きてきます。しかし何より大切なのは、『英語って楽しいな』と思える原体験をどれだけ積み重ねたかです。幼児期の楽しい思い出は子どもにとってかけがえのない財産となるもの。好きじゃないと結局は続きませんから、『楽しんで英語にふれる』経験が、その後の英語との付き合い方に大きく関係してくるだろうと思います。学びを継続できるための素地を作ってあげることこそ、保護者の役割ではないでしょうか」

斉藤 淳(さいとう・じゅん)
1969年山形県生まれ。中高生向け英語塾「J PREP斉藤塾」代表。元イェール大学助教授。プリスクール、小学生向け英語学童保育も運営し、広く子どもの英語教育に携わる。著書に『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)。

(文/木下昌子)

※『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2021」』より

【AERA English特別号】英語に強くなる小学校選び 2021 (AERAムック)

【AERA English特別号】英語に強くなる小学校選び 2021 (AERAムック)
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木下昌子
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