仕事先で夫と出会い、結婚が決まりました。夫の実家を訪ねるうちに、料理にうとかった私も、さすがにレミさんのすごさがわかってきたのです(笑)。「どうしよう、レミさんてすごい人なんだ」と……。「こんなすごい人の息子と結婚するなら、私もがんばらなくちゃ!」と思って、料理を始めました。妊娠していたのも大きな理由でした。

 でも、レミさんに自分が作った料理を食べてもらうのだけは自信がなくて、絶対にイヤでした。包丁で食材を切るところを見られるのすら、もうダメ。

 ところが、ある日「お嫁さんがお義母さんに料理を食べてもらう」という企画のお仕事に呼ばれたんです。両目にものもらいができるくらいストレスでしたが(笑)、実家で母がよく作ってくれた煮物を作りました。そのときに、レミさんが「あら、いい舌をもってるじゃない!」と言ってくれたんです。とてもうれしかったですね。そして「人が作ってくれたご飯って、おいしいね」とレミさんがぽつり。そのとき、ああ、レミさんはずっと人にご飯を作り続けてきたけど、レミさんにご飯を作ってくれる人はいなかったんだな、と感じました。その瞬間、マインドが変わったんです。じゃあ、私が作ろう!と。食育インストラクターの資格をとったことも背中を押してくれて、本格的に料理のお仕事を始めました。

 よく、子どものお手伝いについても聞かれるのですが、和田家の子どもたちには、小さいころから積極的に料理に関わってもらっています。お手伝いというより、私がスーシェフで「はい、君はこれ、あなたはこれ!」とビシビシ指示を出し、それぞれに一皿作ってもらっています。「作った!」と実感できるように、やるなら最初から最後までお願いしますね。

 子どもの料理には、あまり口を出さないようにしています。包丁もかなり小さいときから使わせました。でも、広げた手で野菜を押さえていたのが、包丁で切り進むうちに自然にシュッと「猫の手」になったのを見たときは「教えてなくてもできるんだ!」と感動でした。そばで見ながら、かなりひやひやしましたが……。

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