古墳が世界遺産に登録されるかもしれない。世界遺産登録には、何が必要なのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員・今井邦彦さんの解説を紹介しよう。
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7月31日、国の文化政策について助言する文化審議会は、日本から2019年の世界文化遺産登録を目指す候補として、大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」を推薦することを決めた。これから、両古墳群の価値などを説明する推薦書をユネスコ(国連教育科学文化機関)に提出するための準備が本格的に始まる。
堺市の百舌鳥古墳群と、羽曳野・藤井寺両市にまたがる古市古墳群は、4世紀後半から5世紀にかけてヤマト王権の大王の墓とされる巨大な古墳が築かれたエリアだ。日本最大の古墳、大山古墳(仁徳陵古墳、全長約486メートル)は百舌鳥古墳群、第2位の誉田御廟山古墳(応神陵古墳、全長約425メートル)は古市古墳群にある。この2基を含む計49基の古墳が、世界文化遺産として推薦される予定だ。
世界文化遺産に登録されるには、その遺産が人類全体にとって「顕著な普遍的価値」を持っていることを証明する必要がある。大山古墳を築くためには15年以上の年月と、のべ約680万人の労力が必要だったという試算もあり、古墳の巨大さで当時の王権の強大な権力を視覚的に実感できるという「わかりやすさ」が評価されたようだ。
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