(3)つまずくのは、教科書をしっかりと読んでいないから


 子どもが間違えた回答を指さして、「教科書(問題)をよく読まないからよ!」と怒ってしまった経験はありませんか? しかし、最近の教科書や問題の文章は、大人が読んでも意外と難しい表現が多いのです。実際に読んでみると「もとにする量」「くらべる量」「単位道のり」……。「えっ?」と思う表現がたくさんあることに気がつきます。教科書の解説や問題文は、子どもがわかりやすい表現に変換して教えてあげられるよう、親も目を通しておきましょう。

(4)「単位」や「数の感覚」は、生活の中で体感しながら覚える
 単位や数の感覚を、生活の中で「体験」することは大切です。しかし、たとえば買い物に行ったときに「ねえ、980円の3割引きはいくら?」「今、時速何キロくらいで歩いていると思う?」なんてやりとりばかりでは、子どももちっとも楽しくありません。しつこくしていると、子どもも算数が嫌になってしまいます。タイミングを見てたまに問いかける程度は有効ですが、つねに親が算数ネタを探しているのは子どももつらいもの。そこはほどほどを心がけましょう。また、単位の換算に関しては潔く、表で一気に暗記してしまうのが早道です。

(5)塾で難しい問題も解けるので、基本は理解できている
 塾のテキストで難しい問題を解いているから、基本は大丈夫。今さら計算の練習問題なんて……と思っていませんか? しかし、実はかけ算の7の段が苦手だったり、繰り上がりや繰り下がりがあやしかったり。意外と、基本中の基本である計算力に落ち度がある子どもは多いのです。それが先々の大きなつまづきの原因になりかねません。間違えた問題をもう一度親子で解き直してみましょう。意外と、基本の計算のやり方に問題があるかもしれません。

■一緒に問題を解くのは、絶好の親子コミュニケーション

「親と一緒に勉強したり、算数の理解度を確認するのは、親子のコミュニケーションにも役立ちます」と安波先生。

「一緒に、よーいどん!で問題を解いてみましょう。実際にやってみると、大人でも意外と難しかったり、子どもの計算の早さに驚いたりと、発見もあるはずですよ」

 子どもは、親に「喜んでもらいたい」「認められたい」もの。そんな子どもの感情をしっかりと受け止めて、親子で算数の壁を乗り越えていきましょう!

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2017年 07 月号 [雑誌]

安浪京子,加藤俊徳,親野智可等,高濱正伸

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AERA dot.編集部
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