ただ、内容は理解できていても、雑音の中では先生の指示が聞き取れないこと、複数が同時に話す議論は理解が難しいこともあり、やはり普通級での授業は大変でした。ずっと、学校への行きしぶりはありましたね。
きょうだいともに困りごとがあるときは、すぐ学校に相談していました。例えば、息子が学校に行きたがらない理由をその都度伝えることで、授業を聞き取りやすいように教室前方の壁側に席を置いてもらったり、睡眠障害があって遅刻してしまうことを理解していただいたり。学校の先生には、いきなり「こうしてほしい」「わかってほしい」と言うのではなく、「こんなことで困っている」と相談すると親身になってくれました。
娘が服薬の調整で、眠気が出たり落ち着きがなくなったりしたときなど大きな相談はできるだけ支援コーディネーターや学年主任の先生にもかかわってもらい、ケース会議を依頼しました。担任と1対1で話して誤解が生じるより、学校でできること、家庭でできることを複数の先生が確認してくれるので、安心感はありました。
娘は卒業前に、女子グループの強い子から目をつけられてしまい、みんなの前でひどいことを言われたことがあります。それをきっかけに一時不登校になってしまったことも。そんなときも先生が来てくれて「君は悪くないから卒業式に出よう」と勇気づけてくれて、無事卒業できました。
どんな先生にめぐり合えるか、普通級がいいか、通級・支援級がいいかは人それぞれですが、多くの人に助けてもらうのは本当に大切だと思います。親だけで抱えて、適切な支援が受けられないと結局子どもを傷つけてしまう。できるだけたくさんの関係をつくることが大切だと思います。
「AERA with Kids春号」では、発達障害のタイプや学校での支援、家庭でのサポート方法などを専門家にうかがい、解説しています。(取材・文=玉居子泰子)