「計算ドリルやワークで問題を解くだけだと“算数はつまらない”になってしまいがちです。それに今は、計算をただやって、答えを出すだけが目的ではない時代。算数は上の学年に行くほど紙と鉛筆を使い、考えて解くことが必要になってきます。だから、手を動かすこと、体験することが算数力の向上にはとても大切になるのです」(大迫さん)
また、図形力も算数では大事。図形は空間で捉える力、見えない線が見えるようになる力が求められます。
『さわって学べる算数図鑑』『タイショウ星人のふしぎな絵』、大迫さん監修の『おりがみ百科5・6・7才』は、手を使って遊んでいるうちに、そうした必要な力がついてくるイチオシの3冊。単元として学ぶ「等分」や「対称」などの考え方、平面と立体、分数について、本を使って手で遊び、自分でもつくってみることで、自然と理解を深めていくことができます。
さらに自分で体験すると、できあがりから「これはどうつくっていくのかな」と、さかのぼって考えるようになります。この“逆思考”が算数ではとても重要と大迫さんは言います。
「例えば、『お父さんがみかんを6個食べました。今、ここにみかんが4個あります。最初は何個あったでしょう』という問題。これを解くには、今ここにないもとの数を、過去にさかのぼって考える発想が必要です。それが逆思考と呼ばれるものです。算数には、こうした逆思考を必要とする問題がたくさんあるため、逆算して考える力、すなわち逆思考の力を培うことはとても大切なのです」(大迫さん)
これから先、AI(人工知能)が確実に進化していく時代になっていくことを考えると、課題発見力、問題解決力こそ求められるようになります。また計算力より算数で育まれる思考力や試行錯誤する力などもますます必要になってくるでしょう。
「どうやったら長く遠くまで飛ばせるかなと考えて、試行錯誤して紙飛行機を折ったり、順番を考えながら図形を組み立ててみたり、載っている作り方を見て自分でオリジナルの挑戦をしてみたり……、そこから算数的思考が多様に育っていくのです」(大迫さん)
紹介してもらった本は、どれも算数・数学好きのプロが「子どもたちにも何とか算数好きになってもらいたい」と願ってつくったものばかり。楽しく、おもしろく、算数的思考力を身につけられるでしょう。