海外に目を向けると、ハンガリーやフィンランドではすでに初等教育でプログラミングが導入され、STEM教育(Science 科学、Technology技術、Engineering 工学、Mathematics 数学の4分野に力を注ぐ)を導入する国も多い。イングランドでは14年から、5~14歳の子どもたちは週1時間の「コンピューティング」が必修化されている。

「たとえば、イングランドの5歳児クラスでは、先生が子どもの指示を聞いて、サンドイッチをつくっているそうです。『四角い白いパンの上に、トマトをのせて、レタスをのせて……』と、子どもが先生に細かく的確な指示を与えないと、望んだ通りのサンドイッチが完成しません。つくるプロセスを細分化し、順序立てて的確に指示をする。これもプログラミングの授業のひとつで、身近にあるものから子どもたちの論理的思考を養っているのです」(石戸さん)

 プログラミングというと難しく聞こえるかもしれないが、料理のプロセスもプログラミング教育への導入になる。小学校で学ぶ前に子どもに準備をさせたい場合は、このイギリスの例を参考に、まずは料理のお手伝いなど、親子で一緒に取り組めることから始めるのもよいだろう。

 また、CANVASでは、プログラミングのワークショップを実施するほか、学校や地域施設と協働し、カリキュラム提供や指導者研修も行っている。全国で開催されるイベントはCANVASのホームページから確認できるので、親子で参加してみるのもおすすめだ。(文/野口理恵)

●プロフィール
石戸奈々子/NPO法人CANVAS理事長、慶應義塾大学教授。東京大学工学部卒業後、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ客員研究員を経て、CANVASを立ち上げる。近著に『プログラミング教育ってなに? 親が知りたい45のギモン』(ジャムハウス)や、翻訳・監修に『さわって学べるプログラミング図鑑』(学研プラス)、監修に「プログラミング ガールズ!」シリーズ(偕成社)など。

※『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2020』から抜粋

【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2020 (AERAムック)

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野口理恵
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