共感してほしい妻に、理詰めで正論を説く夫……確かによくあるすれ違いの例です。

 さらに、”教育”に関しては女性も問題解決型思考になるため、より注意が必要なのだそうです。

「日々の勉強、進路選び、将来設計と子育ては目標設定が不可欠です。つい命令や指示が多くなる。共感が減ると、家庭内の会話がギクシャクしがちなんです」

 では、いったいどんな会話が効果的なのでしょうか?

 黒川さんは家庭内の会話に必要なのは、正しさよりも思いやり、つまり「心の会話とちょっとしたコツ」だと言います。

「夫婦で脳の使い方が違うと、議論が成り立たず、お互いを認め合うことはなかなか難しい。そこで日ごろの接し方や会話のテクニックがコミュニケーションをとるうえで大切になってきます」

 具体的な夫婦の「トリセツ」をいくつか紹介します。まずは、自分たちのコミュニケーションを振り返ってみましょう。

<妻から夫へのトリセツ>
◎最初に会話の目的を伝える
問題解決型脳の夫には、経緯ではなく目的や結論から伝えて。「息子の塾を変えるつもり。理由は三つ。一つは…」と要点を論理的にプレゼンするのが、相手の意識をつかむポイント。

◎夫の言葉を裏読みしない
覚えておきましょう。多くの場合、夫の言葉に裏はありません。「おかず、これだけ?」「このゴミ俺が全部捨てるの?」は批判ではなく単なる確認。「そうだよ」と返せばOK。

◎自分のやっていることをキャンペーンする
家事の総体が見えていない夫には「朝の出勤前に洗濯と掃除をして、学童の迎え前にスーパー寄って、宿題見ながら夕飯作ったらこんな時間」など、事実を具体的にアピールすることも必要。

<夫から妻へのトリセツ>
◎気持ちを肯定してから論を言う
妻との話し合いで異なる意見があっても、否定から入るのは避けて。まずは共感し落ち着かせてから、「その考えもいいけど、こういう方法はどう?」など持論につなげる方がスムーズ。

◎LINEの返事に困ったらおうむ返しをする
妻が「オチのない愚痴」「今日の出来事」を延々と話してきて返信に困っても、スルーはNG。おうむ返しが効果的です。「急に雨が降ってきたよね」「それは大変だったね」というだけで、共感したように聞こえて妻の心は落ち着くものです。

1 2 3