
「本物に触れる」を重視した全人教育
知性と品性を磨きあい個性を伸ばす
本校は1885年に開設され、今年140周年を迎えます。「その時代にふさわしい知性と品性を身につける」という教育方針の礎は、時の皇后陛下(昭憲皇太后)より賜った御歌「金剛石 水は器」です。金剛石(ダイヤモンド)の原石である生徒が、学習に励み、互いに磨き合いながら輝く個性を伸ばす教育を目指しています。
開設当初から先進的な学びを取り入れ、英語教育においても、外国人教師を招いて生きた英語を学ぶ環境が戦前から整えられました。現在は、海外帰国生や留学生の受け入れ、海外留学派遣にも取り組み、英国イートン校の寮で過ごすサマースクール、姉妹校でのオーストラリア研修のほか、2023年からは米国シリコンバレー研修も始まりました。
芸術、体育、文系、理系を
バランスよく学ぶ教育課程
感性を養う芸術や、健やかな体をつくる保健体育に力を入れていることも本校の伝統です。芸術の授業を担当するのは、実際に芸術活動を行っている教師です。高等科では日本画、西洋画、工芸、書道、声楽、器楽と幅広い選択肢を用意しています。
体育施設は広いグラウンド、体育館(2棟)、テニスコート(10面)、温水プールを備え、球技・水泳・ダンスなどを幅広く学ぶことができます。特に命を守るために必要な水泳では、初心者も含め、殆どの生徒が卒業時には個人メドレーを泳げるようになります。運動会、臨海学校、林間学校(登山)、スキー教室などの行事も豊富です。多様な体験は教養を育み、人生を豊かにする宝物となります。
どの教科においても、指導の柱は、「本物に触れる、過程を大切にする、表現力を身につける」です。国語で思考・判断・表現に役立つ日本語力を養い、理科は実験を重視。数学は中1の代数、中2の幾何など基礎となる学習を20人の少数教育で行い、論理的思考と証明の表現力をしっかりと身につけます。
人間の「芯」をつくる
学校でしかできない教育を
中高の6年間はその人の「芯」をつくる大切な時期です。学ぶよろこびや自分の好きなことを探究する楽しさを、友と深め合う中で、「芯」は育まれます。第4次産業革命の只中で、学校でしかできない全人教育を行うことが本校の務めだと考えています。
八重桜祭や学校説明会・オープンスクール、受験生・保護者を対象に高3が構内を案内する桜ツアーなど、本校に触れていただく機会は多くあります。生徒たちが緑多い環境でのびのびと学び、自由に可能性を追い求める姿をぜひ見ていただきたいと思います。

長沼 容子 科長

シリコンバレー研修では最先端の企業を訪問し、有名大学の見学も。知的刺激に満ちた1週間となった

未経験でも一から教えてもらって楽器を弾けるようになる「器楽」の授業は生徒に人気
提供:学習院女子中・高等科

一人ひとりの主体性・共感性・可能性を
培う探究活動とグローバル教育
VUCA、混沌として予測不能な時代と言われます。生徒たちには惑うことなく主体的な人生を歩んでほしいと願っています。
主体性には2つの意味があって、一つは「好きなことに前向きに打ち込むこと」。もう一つは「自分で決めること」です。
本校は探究の授業とグローバル教育に力を入れており、好きなことに出会い自分を高めるプログラムが多彩に揃っています。中1は著名人のドキュメントを追う人間探究。中2は提携先企業のミッションに企画提案をするコーポレートアクセス、中3は世の中の困りごとを考える社会課題解決探究。高校では、各コースの特色にあわせた探究を行っています。なかでも自己発信コースでは地元商店街活性化などに始まり、環境、医療、心理学などの自由課題をハイレベルな論文にまとめます。
グローバル教育は中3のオーストラリア研修や高1~2の短期・長期留学などさまざま。
昨年は台湾と縁があり、台湾フェアで来日した18大学の教授陣が、中高18クラスで台湾の文化や歴史を紹介しました。また台湾實踐大學とは友好協力関係の下、特別講義を定期的に実施。國立嘉義女子高級中學とは日頃よりオンラインでも交流を深めています。
新しい試みは米国ワシントン大学との連携協定締結。直接教授が来日し講座を開催するほか、来年は現地で様々な学問領域の授業を受講予定です。大学のあるシアトルはマイクロソフト、アップルなどグローバル企業が拠点を置く先端技術都市。異文化のシャワーを存分に浴びることができるでしょう。
自分のため、皆のため
行動する主体的な力
校内では生徒たちの主体的な姿勢が定着しています。まず校内ではチャイムを廃止。特に差が出やすい数学では、個別最適化学習を導入。生徒は自身の学習計画を基に授業にのぞみ、理解度を1週間単位で確認し「自己調整力」を身に付けます。
有志の生徒からなる生徒広報委員会では、SNSで本校の魅力を積極的に発信。小学生と保護者を招く学校説明会では、プランの立案から校内案内、個別相談を主導します。本校で創立以来行っている「自彊術体操」を受験生に身近に感じてもらうため、“顔はめパネル”を手作りし、好評を博しました。
また生徒会では校則を見直し、セーラー服に合うスラックスや通学用リュックのデザインを考え、業者と交渉の上で完成させています。
民主的な話し合いを経て日々の暮らしを改善する。誰ひとり取り残さず幸せを届ける。生徒たち自身が決める「主体性」は、やがて社会へ、世界へと繋がり、新しい時代を切り拓くことでしょう。「たちてかひある人」。創立者・十文字ことの教育理念が叶いつつあります。

横尾 康治 校長

学校説明会に続き女子中フェスタでも「自彊術体操」の顔はめパネルが大人気

台湾實踐大學教授の特別講義では、共同作業を通しイノベーション思考を学ぶ

夢を描き、自分らしく生きる力を育む
伝統校の蓄積をもとに
多様な学びを展開
本校は、明治14(1881)年の創立以来、144年にわたり「女子教育一筋」で歩んできた伝統校です。誠実な雰囲気と堅実な姿勢を大切にしながら、時代に応じた学びを積み重ねてきました。
2025年4月より、私が中学の校長も兼務する形で中高の校長に就任しました。幼児教育から大学まで、幅広い教育の現場に携わってきた経験を生かし、生徒一人ひとりに寄り添う教育を目指す中で、「ヴァンサンカン・プラン」を柱とする教育プログラムが本格的にスタートします。「ヴァンサンカン・プラン」は、生徒一人ひとりが理想の「25歳の自分」を思い描き、そこに向かってどのように生きていきたいかを考えるプログラムで、「未来ひろがる体験」「未来創造プログラム」「未来実現プログラム」の3つの取り組みと連動させ、生徒一人ひとりの「夢」の発見につなげます。
その一つとして、教科横断型の体験的学び「クリエイティブラーニング」も始動しています。多様化する世の中において、生徒自身が学ぶ意味を見出さなければいけません。そのために必要なのは、「遊び」や「楽しさ」です。東京家政大学の造形表現学科の石窯を使ったピザづくりなど、遊びと学びが交差する創造的な活動を通して、「学ぶって面白い!」という気持ちを育みます。高校生は大学の図書館も利用でき、探究活動の幅もさらに広がっています。
2025年度から
高校に新コース制を導入
偏差値だけでは語れない学びを大切にする本校では、生徒の個性に応じた学びのアプローチを組み合わせ、学びの意欲を育てる「学びサポート」を充実させています。さらに、2025年度からは高校にコース制を導入し、制服もリニューアルしました。国公立大学を含む多様な進路に対応するカリキュラムを整備するとともに、内部進学や他大学を目指す生徒には、幅広い学びと教養を重視したコースを設置。東京家政大学との連携もより強化され、内部推薦枠や併願推薦枠の拡大も進んでいます。これに伴い、中学のクラス編成も新コース制に合わせて刷新されました。
海外大学との連携やDXを活用した新しい学びなど、未来を見据えた教育も進行中で、「これからの時代を生きる楽しさ」に満ちた学校へと進化を続けています。女子教育の伝統を大切にしながら、今の時代に必要な力を「楽しく・実践的に」育む本校で、自分らしく夢を描いてみませんか。

大澤 力 校長

「人生100年時代における通過点としての25歳」自分らしい人生のデザイン力を育てます。

東京家政大学と連携し、ピザづくりを題材にした教科横断型の「クリエイティブラーニング」を実施。楽しくおいしく、学びを深めます
提供:東京家政大学附属女子中学校・高等学校

米・金融・芸術を新たな学びの柱とし
社会に貢献できる自立した女性に
本校の創設者・山崎種二は米穀・証券・美術の3つの異なる分野で成功した希有な実業家でした。美術を愛し、横山大観ら日本画家を支援。日本初の日本画専門美術館「山種美術館」も設立した人物です。私は昨年校長に着任して以来、山崎種二の建学の理念を体現し、「世界で活躍できる自立した女性の育成」を目指して、「米・金融・芸術」を柱とした新たな探究的な学びの展開を推進してまいりました。
「米」は日本の文化や生活に根ざした、コンピューターや机上だけではできない学びです。学校の敷地内に田んぼを作っているほか、千葉の農家と契約し、中1の全員が田植え、稲刈りを体験します。収穫した米は「富士見米」として文化祭で販売し、大変好評でした。パッケージデザインは生徒に募集し、デザインコンテストで決定しました。また、本校所在地の練馬区は都市型農業推進の拠点でもあり、本校でも田んぼの横に練馬大根も植えます。今、稲作は水を使いすぎると環境の視点で海外から指摘があったり、5年後には国産米が食べられなくなるとの予想があったりと、米の食文化を守ることは世界レベルの課題と言っても過言ではありません。本校では中1から実際に米作りを体験することにより、自分事として考え、その課題と向き合います。
富士見が目指す
金融教育と芸術教育
金融教育は結婚、出産などのライフプランにより経済状況が変化し、経済的に弱い立場に置かれがちな女子にこそ必要です。そこで、本校では社会の動きと金融を知り、自分の欲望と家計をマネジメントし、自分の幸せと他者の幸せの両方にお金を活用できる人を育成します。金融業界で働くスペシャリストの方を招いて講演会を開催したり、生徒たちが仮想1千万円を課題解決できる企業に投資し、運用成績やレポート内容を競い合うゲームで、金融を実践的に学んだりします。
本校には400点を超える美術品があります。この環境を生かし、世界に出て自国の芸術や文化を語れる情操豊かな人になるよう、芸術教育を重視しています。美術の授業で学習指導要領にはない日本画の制作を行い、塗料の実験や日本画の歴史を学ぶなど理科、社会科とも連携し、学びを深めます。
本校は東京理科大を始めとした高大連携による先進的な学びを実現。海外研修などグローバル教育にも力を入れています。また、自習室を夜の8時まで開放。養護教諭2名に加え専任看護師を配置し、24時間有人の警備体制を敷くなど、安心して通える学校を目指して最善を尽くしています

善本 久子 校長

中1の生徒は全員が田植え、稲刈りなど米作りを経験。文化祭で好評だった「富士見米」はパッケージを生徒がデザイン

情操豊かな女性を育てたいという思いから日本画を授業に取り入れている
提供:富士見中学校高等学校
