AI時代、幸せな人生を送れる人と送れない人の決定的な違いは何か? それは、自分の軸を持ちつつも、社会に貢献したいという気持ちを持つこと。豊かな人間力の育成をし続けてきた女子伝統校9校の校長が熱く語ります。

アルカディア市ヶ谷7階「雲取」(2025年5月20日)

監修/森上展安
森上教育研究所
代表

司会/江藤真規
(株)サイタコーディネーション
代表取締役

鷗友学園女子
中学高等学校
校長 柏 いずみ
かしわぎ・いずみ

実践女子学園
中学校高等学校
校長 湯浅 茂雄
ゆあさ・しげお

淑徳与野
中学・高等学校
校長 黒田 貴
くろだ・たかし

昭和女子大学附属
昭和中学校・高等学校
校長 真下 峯子
ましも・みねこ

田園調布学園
中等部・高等部
校長 清水 豊
しみず・ゆたか

豊島岡女子学園
中学校・高等学校
校長 竹鼻 志乃
たけはな・しの

富士見
中学校高等学校
校長 善本 久子
よしもと・ひさこ

三輪田学園
中学校・高等学校
校長 加納 克也
かのう・かつや

山脇学園
中学校・高等学校
校長 西川 史子
にしかわ・ふみこ
変わらない理念と
進化するカリキュラム

司会:江藤
Q1
本日は首都圏の伝統女子校の中でも、先進教育に挑戦し続けている9校にお集まりいただきました。はじめに、各校の教育理念や校訓をご紹介ください。
本校は1935年に東京府立第一高等女子校の同窓会・鷗友会が創設した学校です。校訓は「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」。慈愛は自他ともに大切にすること、誠実は与えられている賜物(可能性)を世のために磨く姿勢、創造は自分の枠を超えた新たな価値観を生み出すこと。この3つを土台としながら、私はさらに「タフで愛ある人になってほしい」と生徒たちに伝えています。「女子」という枠を超えて、自ら心動くものに情熱を注ぎ、社会に貢献できる人になってほしいです。

柏
(鷗友学園女子)
本校は今から126年前、女性にまだ教育は必要ないといわれていた時代に、近代女子教育の先駆者・下田歌子によって創られた学校です。下田は実践的な教育によって自立の基礎をつくり、社会貢献できる人材の育成を目指しました。この考え方は時代が変わった今も変わらず、脈々と受け継がれています。本校にはたくさんいいものが詰まっていますが、一番自慢できるのは生徒たちです。失敗を恐れず、チャレンジをする姿、そして学園はいつも笑顔にあふれています。

湯浅
(実践女子学園)
本校は今から130年前、尼僧の輪島聞声が、「女性の淑徳(よい徳を身につけること)を養成したい」と小石川の伝通院境内に女子のための学校を開校したのが始まりです。仏教が持つ「感謝の心」と「お陰様の精神」が学びの土台にあり、人と人との関係性をとても大事にしています。聞声は良妻賢母がよしとされていた時代に、「進みゆく世に遅れるな。有為な人間になれ」という言葉を残しています。これは今でいう「女性の社会進出」ではないでしょうか。ジェンダーバイアスのない環境で自立心を育て、自分が持っている「いいもの」をどんどん伸ばしてほしいと思います。

黒田
(淑徳与野)
本校は1920年、創立者の人見圓吉が「第一次世界大戦で荒廃した日本の復興は女性の力にかかっている。それができる正しく力強い女性を育てる」と、強い思いを持って創立しました。一時期、昭和の子たちは、言われたことを言われた通りにきちんとやる子というイメージをもたれることがありました。しかし今、もう一度原点に戻って、自分の強みを磨いていく教育に変わろうとしています。これからの時代は、正しくて力強い女性が活躍していく。そのためには、自分自身の成長を止めてしまうリミッターを外し、女の子たちがのびのびと活動できるよう背中を押してあげることが大事だと考えています。

真下
(昭和女子大学附属昭和)
本校は来年創立100周年を迎えます。創立者の西村庄平は、日本郵船の外国航路の船長として欧州をまわっているときに、他国の教育制度に触れ女子教育の重要性を痛感。退職後、私財で本校を創り、女子教育に尽力しました。建学の精神「捨我精進」は難しい言葉ですが、生徒たちには「今の自分を超えるために努力していこう、そのために結果を恐れずに挑戦してみよう」と伝えています。中高6年間で自分としっかり向き合い、自分の人生を切り拓いてほしいと願っています。

清水
(田園調布学園)
本校は1892年に女子裁縫専門学校としてスタートした学校です。教育方針は「道義実践・勤勉努力・一能専念」。その考えは、今も変わらず大切にしています。建学の精神を受け継ぐ特色ある教育として、毎朝5分間の運針を行っています。特に近年は「一能専念」を重視し、自分の特技をどのように社会に生かすかを考えさせたいと、いろいろなことにチャレンジさせています。

竹鼻
(豊島岡女子学園)
本校の創設者・山崎種二は、米穀と証券と美術館という3つの異業種で成功した稀有な実業家です。本校はこれまでこのことを前面に出さず、学校運営をして参りました。しかし、この「米」「金融」「芸術」が、これからの時代を生きる女子に必要な学びに生かせるのではないかと、創設者の精神を引き継ぐ新しい学びのプロジェクトをスタートさせました。特に金融は女子にこそ必要な教育だと考えます。自分のお金で自分をマネージメントするだけでなく、他者の幸福のためにも生かすことができるマインドを持つ人に成長してほしいと願っています。

善本
(富士見)
本校の校訓は「誠のほかに道なし」。この「誠」には、他者に対する誠実さと、自分の夢や希望と真剣に向き合う気持ちが込められています。教育理念の「徳才兼備」の「徳」は、誰からも信頼される人間性といった普遍的な「徳」を意味すると同時に、現代に求められる「徳」として、正しいことを判断する力を持ってほしいと考えています。「才」は着実な努力で身につける知識・技能をベースに、現代社会で必須の国際教育とICT教育、自らの道を開く探究心を育んでいきます。

加納
(三輪田学園)
本校は今年創立122年を迎えます。創立者の山脇房子は先進的な人で、日本で初めて洋風の制服を取り入れた人でもあります。建学の精神は「豊かな教養と高い品格を身につけ、自ら行動する女性の育成」。つまり、社会で活躍する女性を育てること。生徒たちの持つ志=「自己実現」と「社会貢献」の種を開拓し、最大限に伸ばすことを本校の使命としています。入学当初は自分に自信が持てないという生徒もいますが、そんな思い込みの枠を外してどんどんチャレンジしていく仕掛けが本校にはあります。

西川
(山脇学園)
自分の“好き”に気づき
自走していく探究活動

司会:江藤
Q2
変化の激しい時代。未来を生きる生徒たちに身につけさせたい力も変わってきています。昨今、重視されている探究活動や国際・サイエンス教育についての各校の取り組みを教えてください。
本校では中学生全員に、未来社会で必要となる探究のスキルとマインドを育成する「総合知」というプログラムがあります。そして、中3から探究活動に入り、高1からは「リベラルアーツ」「サイエンス」「国際教養」の3つのコースに分かれ、さらに深めていきます。こうした取り組みが評価され、2024年からSSHの指定校に仲間入りしました。SSH指定校になったことで、これまで以上に大学や企業との連携、同じ志を持つ他校と交流が広がり、大きな刺激になっています。女子は「あの人みたいになりたい」というロールモデルや具体的な目標ができると、“憧れ”に近づくために自走し始めると感じています。外部との交流を通して成長した先輩たちの姿を見て、後輩たちも後に続いていく。そんな流れができはじめているように感じます。

西川
(山脇学園)
本校が今、最も力を入れているのが探究学習です。中学受験を経て本校に入学してきた生徒たちは、入試という正解のある世界で勝負をしてきました。そんな生徒たちに「これからは正解のない問いと向き合って、自分なりの解を探っていこう」と伝えても、多くの生徒は戸惑います。そこで、探究の基礎を学びながら、「失敗を恐れる必要はないから、自由に自分の考えを言ってごらん」と促し、生徒たちの心を解きほぐしています。すると、少しずつ生徒たちが変わっていく。探究学習は教員たちにとっても新しい教育です。教員も生徒もトライ&エラーをくり返しながら、よりよい探究活動を模索しています。本年度からはネイティブ教員を交えたT・Tで、探究型の英語プログラムMGC(Miwada Global Competence)がスタートしました。未来社会で活躍できるよう、グローバル人材に必要とされる「自己・他者理解」「世界の多様性」について考えを深めていきます。

加納
(三輪田学園)
先ほど、創設者・山崎種二の話をしましたが、本校では日本人の主食である「米」一粒から、世界を見通す力をつけたいと考えています。インターネットが発達し、何でも簡単に調べられるようになりましたが、物事の本質はやはり自分の頭と体を動かさなければ理解が深まりません。そこで昨年、本校敷地内に田んぼをつくり、苗植えから稲刈りまでを体験。収穫したお米を自分たちがパッケージデザインした袋に入れ、「富士見米」として文化祭で販売しました。こうした体験的な学びを通じて、食料生産と消費、自然環境について学びを深めていきました。グローバル社会において、他国を学ぶことは重要ですが、自国の文化について世界に発信できる力がこれからは大事。米づくりからSDGsの視点で社会課題解決への実行力を高めたいと考えています。

善本
(富士見)
本校のスクールミッションは「志力を持って未来を創る女性」の育成です。探究活動に取り組む過程で、志と志を実現する力(志力)を育て、より良い社会の創り手として成長を続けることを願うもので、2018年のSSH指定時より掲げています。「未来を創る力」として、「科学的思考で課題解決できる力」「挑戦する力」「世界で活躍できる力」の3つの力をバランスよく育てています。課題探究や豊島岡独自のモノづくり「T‒STEAM」などの探究活動は、中学生から段階的に取り組めるカリキュラムを整え、高2で全員が、課題探究の成果を論文にまとめます。自分の強みを生かした大学の推薦入試での実績も増えてきています。

竹鼻
(豊島岡女子学園)
本校の建学の精神「捨我精進」には、「今の自分を超えるために努力する」という意味が込められています。そのためには、6年間、自分としっかり向き合い、自分とは何者かを考え、自分軸を持つことが大事。本校では、中学では身近なことから、地域、社会へと視野を広げ、社会課題について考えさせます。そして、高校では自分でテーマを設定し、探究活動を行っていきます。また、グローバル化が進む社会において、「自分の軸を持つ」「自分を客観視する力」は欠かせません。本校のグローバル教育は、英語圏の欧米諸国だけでなく、フィリピン・マニラにある私立高校と連携して相互訪問のプログラムを立ち上げるなど、アジアの国々との交流にも力を入れています。

清水
(田園調布学園)
近年、探究が注目されていますが、探究学習はやり方を間違えてしまうと、ただ「○○をやりました」や調べ学習で終わってしまうところがあります。本校はそこをもう一歩踏み込み、探究の時間だけでなく、すべての教育活動と紐付ける探究の最上位目標を設定しました。それは「つくる(モノを作る、企画を作る、組織を作るなど)」です。そのために必要な力として「さぐる」「ねばる」「つながる」「ためす」の4つ力を育てていきます。すべての教育活動において、今はどの力を伸ばそうとしているのか意識しながら取り組むようにしています。同時に、探究活動の土台となる「知的好奇心」、失敗を恐れずに挑戦する「リスクテイクの勇気」を持つよう働きかけています。

真下
(昭和女子大学附属昭和)
本校は昨今の探究活動が注目される以前から、中学で「創作・研究」、高校で「研究小論文」を1年間かけて取り組んできました。しかし、AIがこれだけ発達してくると、すぐにネット情報に頼ってしまう生徒も多く、論考が発展しないという課題を抱えていました。そこで、2年前から「デジタルデトックス」を呼びかけ、本をたくさん読むように促しています。具体的には、中1で多くの本を読んでテーマを探し、中2でテーマに関する本を複数読み、多様な視点に気づくとともに比較検討し、中3でいよいよ自分の考えをまとめるというように、段階的に探究の進め方を学び身につけ、アカデミックな内容に近づけています。

黒田
(淑徳与野)
本校には「未来デザイン」というオリジナルの探究授業がありますが、今後はそれにプラスして、ソーシャル・アントレプレナーシップ教育に力を入れていきたいと考えています。本校の建学精神は「女性が社会を変える、世界を変える」。創立者の下田歌子は、女性の地位向上に尽力し、数々の学校設立・運営に携わるとともに、海外からの留学生を受け入れるなど、多くの社会活動を実践しました。まさに、下田こそが「ソーシャル・アントレプレナー」であり、その思想を受け継ぐべく、中高大と学園全体で、未来のために自ら社会や世界をより良くしようとするマインドを生む教育を行っていこうと10年計画で進めているところです。その第一歩として、世界有数のICT立国であるエストニアの企業や大学と連携を図り、さまざまな社会課題を解決するためのSTEAM研修を行っていく予定です。

湯浅
(実践女子学園)
生徒達のチャレンジは、企業への企画提言・野生動物保護活動・模擬国連・地域医療体験・カンボジアボランティア・農業支援など多彩です。これらは教員が与えた課題ではありません。自分の心に響くものを発見し、自分で一歩踏み出すことで、さらに「もっとこうしたい」と次の目標をみつけて挑戦しています。各々、その中で共感するさまざまな人と出会い、タフさを身につけていきます。国際プログラムでも、「NYでリーダーシップ研修に参加したいから、英語力もB1レベルまで伸ばす」というように、具体的な目標を掲げ自走していきます。各々が“実現したい世界”を求めて、海外に活動拠点をおくことも視野に入れ、TOEFL®・IELTS™講座も開講しています。

柏
(鷗友学園女子)
校内の枠を超えた
社会とつながる学び

司会:江藤
Q3
近年、多角的な視点や、進路選択・社会を知る機会として、校内の枠を超えた高高連携・高大連携・企業連携が活発に行われ始めていると聞きました。各校の取り組みをご紹介ください。
本校は現在、芝浦工業大学、法政大学、北里大学など8つの大学と高大連携を締結しています。協定締結大学以外にも、東京大学、東北大学など多くの大学や研究者の方々に講演や実験講座などを実施していただき、中学生から本物の学びに触れる機会を数多く設けています。こうした機会を通して、生徒たちは視野を広げ、自分の「関心」「適性」に気づき、自らの志を進路選択につなげています。

西川
(山脇学園)
本校は2015年から法政大学と高大連携協定を結んでいます。法政大学全15学部において各2名、最大30名が推薦入学できるため、進学枠に注目されがちですが、私は「大学」という専門性があり、かつ幅広い世界を高校生のうちに体験できることに大きな意味を感じています。全12回の高大連携講座では、学長および8学部の講義を受講でき、大学での学びがどういうものなのかを知ることができます。また、データサイエンス講座やアントレサマーキャンプ、留学生との交流会など、大学が主催する各種イベントやセミナーに優先的に参加することができ、生徒たちの学びの幅を広げています。

加納
(三輪田学園)
理工学部や薬学部など、理系を志望する生徒の増加を受け、2020年度より東京理科大学と提携協定を締結し活動も5年目です。理科大生と一緒に放課後研究室(アフラボ)を開催したり近隣の小学生に3Dプリンターの使い方を教えたりと科学や自然現象への関心を高めています。DXハイスクールの指定を受け「データサイエンス」を科目開設する等、将来を見据え専門性の高い学びに触れさせています。また、昨年から力を入れ始めた金融教育では、課題解決したい分野に携わる企業に仮想投資し、投資額だけでなくレポート内容を競うストックマーケットゲームや、金融のスペシャリストによる講演会を実施。当事者意識をもちお金を適切にマネジメントし、自分だけでなく他者の幸福のためにお金を活用できる人を育てています。

善本
(富士見)
本校では、生徒たちの課題探究の内容(工学・物理・地学・化学・生物・数学・情報・社会実装など)によって異なる専門の連携先を多数設け、外部連携により探究活動の質を高めています。課題探究の成果発表の場Academic Dayにも外部連携先の方が来て、評価・アドバイスをくれるので、生徒の学びも深められています。また、モノづくりは一人ではできないので、「T‒STEAM」を通して経験してほしいのは、チームで試行錯誤すること、アイデアを形にする難しさと奥深さを学ぶこと、そして「積極的な失敗」です。希望者と他校生を対象に行われる「T‒STEAM: Pro」の2024年度の課題は「障害を回避する自律走行型ロボットを開発せよ!」でした。コースを走破したチームは無かったですが、校内では出てこなかった発想・着想など、学校を超えて他者から学べる良い機会となりました。

竹鼻
(豊島岡女子学園)
本校の探究活動は、学校生活での困りごとから始まり、地域、企業が抱えている困りごとについて、デザイン思考を用いて解決策を考えます。2023年度はカルビー、24年度は本田技研とコラボ学習を実施しました。高等部では、自分の強みや興味関心から没頭できることを発見する「BOTTO」プロジェクトに取り組みます。テーマによっては、企業や大学の協力を得ながら探究活動を行い、成果をまとめていきます。このように、地域や社会(企業)と連携を組みながら、課題解決の経験の場を積んでいます。

清水
(田園調布学園)
非常に多くの大学との連携を進めていますが、特に本校は40年以上にわたり、昭和女子大学と、高3の時点で大学に通って科目履修ができる五修生制度を実施してきました。これと同様の仕組みを、2025年度から昭和医科大学とも実施することになりました。同大学とは2017年から特別協定校として、大学教授による出張授業などを実施してきましたが、五修生制度では高3の1年間に大学1年生と同じプログラムを受講することができます。医学という専門性の高い学問を1年早く学べることで、「Gap year」を利用して、研究や海外留学などさらに学びの視野を広げることができます。これは、専門性を深めるために大きなチャンスだと思います。

真下
(昭和女子大学附属昭和)
2024年度より、医学部・難関理系学部を目指す「医進コース」が設置されました。同コースの新たな取り組みとして、「お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所」と連携を図り、年8回本校に講師を招き、実験講座を行っています。実はその研究所に本校の卒業生が勤務していて、そこからつながりが生まれました。中1では基礎的実験講座、中2では探究的な実験を行い、中3以降は今後、科学コンテストや学会発表などにも挑戦する予定です。
また、昨年度は埼玉医科大学との連携も進め、中1医進コースの生徒を大学に連れて行き、医療現場で使用する医療機器を実際に触れたり動かしたりする機会をいただきました。このように、“本物”に触れさせることで、生徒の好奇心を刺激しています。

黒田
(淑徳与野)
本校では2023年から、山崎製パン株式会社全面協力のもと、ランチパック共同企画開発を行っています。生徒がオリジナルのランチパックを考え、実際に商品として販売するというもので、生徒たちに大人気のプロジェクトです。昨年は、「う〜タコス!」という商品名のフィリング味のランチパックを開発しました。創立者・下田歌子の「うたこ」と「タコス」を掛け合わせたユニークな商品名で、「ときわ祭」で先行販売し、7000個が完売!3年目となる今年は、商品開発のみならず、販売戦略を考えるチームができ、生徒たちにとっては新たな挑戦となりました。今年も秋に関東エリアで一般販売される予定です。ぜひ、お楽しみに!

湯浅
(実践女子学園)
本校は東大、東京科学大他多くの大学や三菱モルガンスタンレーとの連携による学びも大切にしています。東北大との連携では、最先端科学技術と産学連携のオープンイノベーションを体感するものでした。大学キャンパス内で昨年から稼働した放射光施設「ナノテラス」は、ナノの世界を見る巨大な顕微鏡で、基礎研究から産業分野まで幅広い利用が期待されています。生徒の心を動かしたものはその施設のすばらしさだけではなく、それを生み出した理事長の情熱でした。「この施設が、人・もの・ことが融合して生み出されたものと知り感動した」と感想をのべるとともに、大臣や起業家として活躍する女性の存在に自分たちの未来を重ねていたようです。これからも、たくさん“本物”に触れ、生徒たちの視野を広げていきたいですね。

柏
(鷗友学園女子)
女子校ならではの
キャリア・進路指導

司会:江藤
Q4
中高の6年間は、自己を見つめ、「なりたい自分」を模索する時期。異性の目を気にせずのびのびと過ごせる女子校だからこそ実現できるキャリア教育・進路指導をお聞かせください。
「チャレンジ&アクション」をキーワードに、自分の力を発揮する場を「マイ・ステージ」と名付け、さまざまな学会やコンテストに挑戦してみるよう、生徒たちの背中を押しています。人文・社会科学、自然科学分野のコンテストなど、昨年の1年間だけでも200件を超える受賞があり、その都度、全生徒の前で表彰しています。こうした姿を見て「次は私も!」と生徒たちの励みや刺激になっています。また、こうした成果を強みにして、総合型選抜で志望大学を目指す生徒もいます。本校の進路指導は、生徒一人ひとりが「志」を実現する大学・学部へ進学できるよう、学年・学習進路部・教科の教員が連携して指導しています。75大学、186学科という多様な進路へ進学しているのは、その表れだと自負しています。

西川
(山脇学園)
本校の進路指導は、生徒一人ひとりの「納得進学」を心がけています。まず「どんな自分になりたいか」「何を目指したいか」をじっくり考えさせ、その夢を実現するには「何をやらなければいけないか」「そのための努力はできるのか」徹底的に対話をします。その上で、一般選抜で挑戦するならテスト対策を、総合型選抜を選ぶなら面接や論文対策をサポートしています。個々に合わせたサポートは正直大変ですが、それをやってこそ三輪田だと思っています。

加納
(三輪田学園)
本校はこれまで「こつこつと勉強し合格点へ」という従来型の進路指導を行ってきました。ですが、6年間系統的な探究学習を推進した結果、自分の「好き」や「興味・関心」をもっと深めたいと主体的に進路選択をする生徒が増えています。今春の入試では、探究的な学びで培った主体性や表現力が評価され、東京科学大学や東北大学等、難関国立大学に総合型選抜で合格する生徒が多く出ました。こうした成果から、教員たちも自分たちがこれまでやってきた探究学習に対して手応えを感じています。今後は一般選抜、総合型選抜などいろいろな形で、生徒たちの進学をサポートしていきたいと考えています。

善本
(富士見)
ロールモデルとなる社会人や大学生・院生の卒業生から学ぶ機会を通して、自分の生き方を考えるきっかけを作っています。中学では講演会「輝く先輩に学ぶ」や「卒業生インタビュー」、「先輩に学ぶミライの作り方」、「先輩に学ぶ勉強法」など、自分の進路を考える機会をたくさん設けています。中2の夏休みに行う「卒業生インタビュー」では、ボランティアで毎年多くの卒業生が手を挙げてくれます。弁護士の卒業生が裁判所に連れていってくれたり、病院や研究所、オフィスなど、職場を案内してくれたりする卒業生も多く、みんな親身になって受け入れてくれます。また、結婚、出産、子育てなど女性が現実に直面する経験談も聞けて、自分の将来をイメージしやすいようです。先輩たちの活躍を見て「私にもできるかもしれない!」と前向きになっています。「憧れ」はすべての原動力になります。ロールモデルとなる卒業生がたくさんいるのが、本校の強みです。

竹鼻
(豊島岡女子学園)
本校は理系進学者が毎年45%程度、多い年には50%を超えることもあります。こうしたことから、「理系学部を目指すなら田園調布へ」と塾などで言われているようですが、本校は理系に強い女子を育てているつもりはありません。ですが、「自分は理系科目が苦手……」と思い込んで入学してくる生徒たちも、本校の6年間で「自分は苦手だと思っていたけれど、授業が楽しくて好きになった」「自分のやりたいことを実現するためには理系科目も頑張らなきゃいけないと思った」など、自らの枠を破った結果、このような進学実績になっていると感じています。難関大学への合格実績を上げることは大事ですが、「何を学ぶためにその大学へ行きたいのか」、生徒一人ひとりとじっくり対話をしています。一学年約200人いますが、進学実績にはすべての大学名学部学科名を記載しています。多様な進学先が本校らしさだと感じています。

清水
(田園調布学園)
本校はキャンパス内にブリティッシュスクールとテンプル大学の日本校があるという非常に恵まれたグローバル環境が整っています。また、学園の海外キャンパス「昭和ボストン」での学びもあります。こうした背景から、毎年、海外の大学に進学する生徒が1〜2人いましたが、今年度は飛躍的に増加し、17人の生徒が70校以上の海外大を受験しました。その中には、QS世界大学ランキング(2025年)16位のコーネル大学に合格した生徒もいます。また、高大連携をしている東京理科大学と私が縁のあった早稲田大学の学生さんをメンターとして受け入れ、学習のサポートや研究のTAなどに参加してもらっています。年齢の近い先輩にさまざまなアドバイスをもらえるので、進路選択の良い刺激になっているように感じます。

真下
(昭和女子大学附属昭和)
進路指導においては、自己を見つめ、社会に目を向け、自分は社会でどんな貢献ができるかをじっくり考えさせることが、非常に大事だと考えます。本校のキャリア教育の一つに、「インパクト体験棚卸し」というものがあります。これまでの人生で一番インパクトの大きかった体験を友だちと共有することで、その経験が自分をどう成長させたかを振り返り、そのような体験から「実現したい社会」や「なりたい自分」を考えていきます。また、6年間の探究活動を通じて、自分の進む道を模索していきます。進む道が決まったら、あとは地道に努力するのみです。

黒田
(淑徳与野)
本校は長年、「私立文系」志向の強い生徒が多かったのですが、近年は「国公立・理系」を志向する生徒が増えています。その背景に、本校のオリジナル探究授業「未来デザイン」が大きく影響していると感じています。中1〜高3まで継続的に探究活動を行うことで、「自分が何になりたいか」が明確になり、大学進学の方向性が見えてきたのでしょう。その多くは「社会をもっと良くしていきたい」という思いであって、それぞれが「自分は何で社会に貢献をしたいか」考えた結果の大学・学部選びになってきていると実感しています。

湯浅
(実践女子学園)
卒業生は、芸術、建築、医療、IT、起業家など、さまざまな分野で活躍しています。本校の進路指導は、大学の先にある未来を見て、「学びの場」を選択するよう指導しています。9月の「かもめカミングデー~卒業生と話そう~」では、例年100人の大学生や社会人卒業生が集合し、在校生に専門領域や大学の実際など、直に話してくれます。日頃、生徒には、あなたならではの賜物(可能性)を大切に磨き、自分はどう生きるかを考えてほしいと伝えています。多様性の中で自分の軸を失わず、しかも自己満足で終わることなく、社会のために貢献できる人になる。そして、毎日をクリエイティブに生きる。それが、本校が目指す「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」です。

柏
(鷗友学園女子)
AI時代を生きる
受験生・保護者の方へメッセージ

司会:江藤
Q5
AI時代、求められる力も変わってきています。そんな中で、各校が大事にしていること、求める生徒像をお伝えください。
AI時代、生徒たちが生きていく未来がどのようになっているかは誰も予測はできません。しかしどんな時代であっても、Well-being(一人ひとりの多様な幸せ)な社会を志向し、自分そして他者や社会と真摯に向き合い、社会に貢献しようとする女性を育成していきたい。生徒の持つ志の種を最大限に伸ばし、自分にも他者にもWell-beingを創り出せる豊かな人間性の涵養を目指す本校の多様なチャレンジとアクションに、これからもご期待ください!

西川
(山脇学園)
これからの社会でAIを使わないという選択肢はありません。だからこそ、AIを活用できるスキル、AIに振り回されない判断力、AIが持つことのできない非認知能力を身につけることが大切になります。伝統私学の教育理念は、その本質を維持しつつも、時代に合わせてアップデートしています。変化を恐れない柔軟性があり、AI時代に必要とされるこれら3つの力を育むのに最適な場だと確信しています。

加納
(三輪田学園)

アルカディア市ヶ谷7階「雲取」(2025年5月20日)
富士見の生徒たちは、非常に共感力が高いです。さまざまなことがAIにはできますが、シンパシーを持つことは人間にしかできません。本校はこれからも共感力の高い人を育てることに尽力します。こうした非認知能力の育成に関心をお持ちのご家庭は、ぜひ本校にご期待ください。

善本
(富士見)
どんな時代であっても、自分のやりたいことを見つけ、自分の人生を切り拓いていける人になる。それが本校の教育方針です。時代に流されることなく、自分の道を進んでいきましょう!

竹鼻
(豊島岡女子学園)
豊島岡の竹鼻校長とまったく同じ考えです。昨今、「AI時代」という言葉があちこちで聞かれますが、どんな時代であっても、主体的に複眼的に物事を考えることが大事。生徒には自分が持っている力を閉じ込めることなく、いろいろなことにチャレンジしてほしいですね!

清水
(田園調布学園)
AI時代に必要なのはリサーチして深堀するPHD力。すなわち探究心です。AIはあくまでもツール。それをうまく活用しながら、「さぐり」「ねばり」「つながり」「ためし」て、自分だけの何かを「つくる」人になれるよう、まずは基礎力と学びの体力をつけていきましょう。

真下
(昭和女子大学附属昭和)
AIは優秀ですが、万能ではありません。人と人との付き合い方は、人間にしか学べません。仏教の教えを「心の教育」の根底とする本校では、他者に寄り添う気持ちや命あるすべてのものを大切にする教育が根付いています。本校は生徒一人ひとりの個性を大切にしています。

黒田
(淑徳与野)
AI時代であっても、変わらずに残り続ける大切なものは、人と人とのコミュニケーションだと思います。冒頭で「本校の自慢は生徒です!」と申し上げました通り、本校は人間力(=非認知能力)の高い子たちが集まっています。また、学校でもこの力を伸ばすことに全力を注いでいます。本校でぜひ、お子様の花を咲かせましょう!

湯浅
(実践女子学園)
AI時代はこれまで以上に、人間教育や豊かな感性を育てることが大切になってくると思います。豊かな知性と感性を土台に、内なる軸をもってタフに生きる力が求められます。中高の6年間はさまざまな変化を楽しみながら、自分の世界を広げていきましょう!

柏
(鷗友学園女子)
各校のイキイキとした学園生活が伝わってきました。多様化が叫ばれる時代ですが、女子には女子の指導やアプローチの仕方があることが分かり、とても参考になりました。本日はありがとうございました。

監修:森上

〒156-8551 東京都世田谷区宮坂1-5-30 TEL.03-3420-0136
学びの特色
1935年創立。校訓は「慈愛と誠実と創造」。ミッションスクールではありませんが、キリスト教精神による全人教育を基盤に、心の教育を大切にしています。創立以来、受け継がれている授業として「園芸」があり、校内の畑で土を耕し、野菜を育てながら、生徒たちの心を耕しています。近年、理系進学が多いことで注目されていますが、その背景には「目に見えるものから学ぶ」、「それはなぜか?から始まる仮説検証型実験を行う」といった特徴のある学び方が大きく影響しています。



〒150-0011 東京都渋谷区東1-1-11 TEL.03-3409-1771
学びの特色
建学の精神は「女性が社会を変える、世界を変える」。校名の「実践」は、学問や教養を身につけるだけでなく、それを応用し活用するという意味が込められています。さまざまな実践を重ね、多様な人とつながることで「自分はこう在りたい」という志を見つけてほしいという思いから、2020年からオリジナル探究授業「未来デザイン」がスタート。その成果が認められ、2022年に「ユネスコスクール」に認定。未知の課題に主体的に挑み、国際社会に貢献できる人の育成を目指しています。



〒338-0001 埼玉県さいたま市中央区上落合5-19-18 TEL.048-840-1035
学びの特色
仏教に基づく情操教育を建学の精神に、1892年に創立。人間だけではなく、あらゆる生きとし生けるものを尊厳する教えを大切にしています。そのため、医学・看護・福祉について学ぶ機会が多く、進路選択もその道に進む生徒が多いのが特徴。また長年、国際教育にも力を入れていて、中2の台湾海外研修と高2のアメリカ修学旅行ほか、海外姉妹校での語学研修も豊富です。国際活動として、「JHP・学校をつくる会」の活動に協力し、カンボジアに「淑徳与野なでしこスクール」を建設。



〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57 TEL.03-3411-5115
学びの特色
社会でリーダーシップを発揮できる女性の育成を教育目標に、1920年に創立。時代の変化に応じて、新たな取り組みをスタートした「SHOWA NEXT」以降は、附属の昭和女子大学への進学だけでなく、国公立や海外大学など多様な進路の選択肢を広げています。生徒のキャリアデザインの構築のため、「本科コース」「グローバル留学コース」「スーパーサイエンスコース」の3つのコースを用意。また、アメリカの昭和ボストンでの研修をはじめ、キャンパス内はグローバル環境が充実しています。



〒158-8512 東京都世田谷区東玉川2-21-8 TEL.03-3727-6121
学びの特色
2026年に創立100周年を迎えます。特色のある教育として、社会的・国際的な課題に取り組む「探究」をはじめ、分野の垣根を越えた「教科横断型授業」「理数教育」「土曜プログラム」などがあります。教科横断型授業は、音楽×数学、物理×情報など、6年間で約40種類の授業が行われています。理数教育は実験や実習など体験的な学びを通じて、「理数」を興味関心を持たせる授業を展開。国公立の理系学部や医学部への進学が多いことから、「理系に強い女子校」と言われています。



〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-25-22 TEL.03-3983-8261
学びの特色
1892年、裁縫専門学校からスタート。教育方針は「道義実践・勤勉努力・一能専念」。人として正しいことを実践し、コツコツと努力を積み重ね、生徒一人ひとりの才能を見つけて伸ばす。「志力を持って未来を創る女性」の育成を目指しています。中学から段階的に探究に取り組み、年2回課題探究の成果を発表する場を設けています。探究授業のティーチングアシスタントや進路相談サポーターとして、卒業生を活用。身近なロールモデルにし、“憧れ”を原動力にしています。



〒176-0023 東京都練馬区中村北4-8-26 TEL.03-3999-2136
学びの特色
1940年に創設。「社会に貢献できる自立した女性の育成」を教育目標とし、2年前から、創設者の精神を受け継ぎ現在社会でも重視される、「米」「金融」「芸術」を新たな学びの柱としたプロジェクトが始動。DXハイスクールとして先進的な理数教育にも取り組んでいます。また、6年一貫の体系的な探究プログラムの集大成である1万字の日本語論文を高2までに完成させ、高3では、生成AIを適切に活用しながら抄訳英語論文を執筆し、英語で概要を発表することに挑戦します。



〒102-0073 東京都千代田区九段北3-3-15 TEL.03-3263-7801
学びの特色
創立138年。校訓「誠のほかに道なし」、教育理念「徳才兼備」。徳とは豊かな人間性、才とは三つの才。①努力で身に付ける知識と技能、②情報化社会のスキル(英語+ICT)、③不確実な時代に自らの道を切り拓く力をいいます。法政大学、東京女子大学、津田塾大学との高大連携、模擬国連、高校生直木賞、カナダ・イギリス・マルタ・シンガポール海外希望者研修、オーストラリア留学、新英語授業MGC(Miwada Global Competence)に挑戦する三輪田生。一人ひとりに居場所がある温かい学び舎です。



〒107-8371 東京都港区赤坂4-10-36 TEL.03-3585-3911
学びの特色
1学年280名、全校約1600名と都内女子校では大規模校ですが、生徒一人ひとりの「好き」や「得意」を生かした学びを大切にしています。中学では総合知カリキュラムや中3チャレンジプログラムを通して、全員が探究学習の基礎を身につけ、高校からは、学際的な学びを探化させる「リベラルアーツ」、自然科学分野の研究活動に取り組む「サイエンス」、高度な英語力を身につけアントレプレナーシップ精神を学ぶ「国際教養」の3つのコースに分かれます。


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