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詳しくはhttps://www.nodai-1-h.ed.jp/実践的な学びを通じて知を耕し、
共創して新しい価値を生み出す
「本物に触れることは
思考の際の一番の基礎」
教育理念は「知耕実学」。社会に役立つ実践的な学びを重視し、世の中に寄与できる知をじっくりと耕していく。社会への貢献を見据えているから、机に向かう勉強はもちろん、普段の教室を飛び出した学習も重視されている。幸田諭昭校長が話す。
「本物に触れることは思考の際の一番の基礎だと思っています。自らの五感を通して物事と向き合うことで、子どもたちは『どうしてこうなんだろう?』『なぜこうなるのだろう?』という思いを強めます。そして自分なりに仮説を立て、そうした仮定を念頭に実験や実証を通じてわかったことを考察し、表現したり、行動したりしていく。本校では中等部のうちからこうした思考のプロセスを体験する機会を多く設けています」
本物に触れて知的好奇心をかき立てる場面は、中等部に入学してすぐに用意されている。例年6月、中学1年生は東京農業大学の専用農場で田植えを実施。イネという植物がどう成長するのかを学びながら除草や稲刈りも行う。1年生たちは、秋に自分たちでつくったお米を収穫し、米づくりの苦労と喜びを噛み締める。
一年間を通した稲作体験は中学2年生の学びにつながっている。幸田校長が言う。
「米づくりで五感を刺激された生徒たちは、それぞれに知的探究心を抱いています。そうした興味に応じるために、中学2年次には『お米の科学』という時間を設けています。東京農業大学教授の指導のもと、大学の研究室や顕微鏡を使って新米と古米の違いなどを調べ、研究の第一歩を踏み出します。併設大学の資産を活用できるのは本校の強みですね」
東京農業大学と連携した「知耕実学」はほかにもある。中学3年次には大学の食品加工技術センターで味噌づくりを体験、大学教授から発酵や麹などに関する講義を受け、実際に約半年をかけて日本の伝統食品をつくる。教科書で習った化学変化を感じるとともに、商品とその品質や衛生面などキャリア教育的な側面も学ぶ。高校1、2年生の希望者は「醤油を科学する」という講座で大学の発酵学の講義を受け、実際に菌を培養して酵素の働きを科学的に観察しながら醤油づくりを進めていく。
こうした「知耕実学」を通した「どうしてこうなんだろう?」「なぜこうなるのだろう?」という思いは、中学3年間の探究学習にもしっかりと反映されている。中学生は各自1年次にテーマ探し、2年次にテーマ決定・調査実施、3年次に資料作成・発表という過程を経て、課題研究発表という学びに取り組む。興味あるテーマの幅は広く、2024年は「電気自動車って本当に地球にやさしい?」「インターネット依存症の原因とその解決方法」「コーラvsカルシウム」などといった発表が行われてきた。幸田校長が胸を張る。
「3年間準備してきたのでプレゼンテーションの精度は相当高いです。3年生の発表を1、2年生も聞く。そこでまた知的好奇心が刺激されます」
「一中一高ゼミ」で
教養を広げていく
課題研究発表と同様に、特徴的な探究学習が「一中一高ゼミ」だ。中高の壁を取り除いた自由参加型の学びの場で、年間で80ほどの講座が放課後に開催される。単発のものもあれば、月1回で一年間を通じて行われるゼミもある。掛け持ちも可能で、これまで「数学を目で見よう」「建築模型講座」「合唱コン指揮者のための指揮法講座」「走り方講座」といったゼミが開催され、多様な角度から生徒たちは社会を豊かにする知を耕してきた。幸田校長がその経緯やねらいを説明する。
「もともとは夏期講習などで教科横断型のような形式で行われていたのですが、『これからの社会を見据えたら、中学の時点から教養を広げていく事は意義があるのでは』という意見が上がり、今の形ができました。『一中一高ゼミ』は大学生や社会人になってからの活躍を支える基礎固めといった位置づけにあります」
多様な人や場所と共に
教養も将来も広げる
「一中一高ゼミ」や普段の授業でもペアワークやグループワークが少なくない。お互いに意見を交わす際には「ポジティブフィードバック」「アクティブリスニング」「オーバーコミュニケーション」の3点が重視される。前向きな反応、聞く際の能動的な姿勢、濃厚な肯定は、社会で生きる建設的な議論と活発な知の交流を生み出す。
完全中高一貫校となる2025年を前に「共創し、新たなステージへ」というスローガンを掲げた。幸田校長が説明する。
「友人と共に、先生と共に、あるいは先人と共に学び、多様な人や場所とつながることで教養も将来の可能性も広がっていく。本校が重視している創造性は、言い換えれば社会課題の解決や新しい価値を生み出す思考に結びつきます。これからも社会に役立つ『知耕実学』をしっかりと追求していきます」
完全中高一貫校の
新校舎は共創空間
2025年度入試で高校からの募集を停止し、完全中高一貫校として新たなスタートを切る。「全員が6年間を通じた学びができるため、ゆとりのあるより充実した『知耕実学』が展開できると期待しています」と幸田校長。変化を見据え23年秋には新校舎の1棟目となる新2号館が完成した。26年には理科の実験室や図書館を含む新3号館が出来上がる予定だ。共創空間を意図してつくられた新2号館には約250人を収容するラウンジがあり、生徒たちは共同の自習室のように使っている。幸田校長は「高校3年生だけでなく中学生も多く利用しています」と話す。
幸田 諭昭校長
新2号館にある広いラウンジでは、生徒たちが共同で自習を行っている
❶中学2年生は米の研究に励む❷「一中一高ゼミ」は年間80ほどの講座が開催される❸中学1年生の理科の授業ではメスを使いアジの解剖を行う❹中学3年生はシンガポール/マレーシアに修学旅行へ。多文化理解を深める❺中学1年次には大学の施設で米づくりを体験し、本物に触れる
中等部のSAKURA Sports Festivalではクラス対抗の大根リレーで盛り上がる
提供:東京農業大学第一高等学校中等部