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首都圏女子実力校編

鵜﨑(女子学院)
 本校は、1870年にプロテスタントの女子校として創立され、今年150周年を迎えた学校です。創立以来一貫して、キリスト教精神に基づき、自らを治める高い知性と自主性を育む教育を行って参りました。本校は制服や細かい校則がないことで知られていますが、これも生徒を自主的に考えることができる人間に育てていきたいからです。これまで話し合いを重視した教育を行ってきましたが、今回の事態を転機に、本質を見失うことなく、生徒の成長を助けるための新しい挑戦をしていきたいと考えています。
成島(大妻)
 本校は、112年前に大妻技芸学校から始まった学校です。創立者の大妻コタカ先生が残した「良き職業人たれ 良き家庭人たれ」を合言葉に、伝統と新しきことのバランスをとって、これからの時代を切り開く女性を育てたいと思っています。新型コロナウイルス感染症で世界は大きく変化しますが、女性の旧来の価値観に囚われない大胆な決断力と柔軟な思考力が、世界を救う鍵になると生徒たちに伝えています。大妻の授業はすべて「ごきげんよう」の挨拶から始まりますが、人を柔らかく包む協働の心も育んで参ります。
横尾(十文字)
 本校は、2年後に100周年を迎えます。建学の精神「身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ」(校歌)に象徴される通り、生徒の知と心を育み、自立して社会の役に立つ人を育ててきました。豊かな未来を切り開くためには、心身共に健康である事が欠かせません。そこで、創立当時から、スペイン風邪が流行ったときに有効であった自彊術体操を毎朝実施して来ましたが、今回の事態でも遠隔授業のはじめに必ず行っています。部活も盛んで、昨年はサッカー部がインターハイで優勝しましたが、今回の厳しい状況下でも自主的にトレーニングを行うなど、一人ひとりが考えて行動しています。
國清(国学院大学久我山)
 本校は、昭和27年に國學院大學と合併し、昭和60年に女子の募集を開始しました。女子部は、「品性の涵養」と「日本の伝統文化を正しく学んで理解し、その本質を次世代に伝えていくこと」を教育の大きな目標に据えて、それを世界に発信するための国際感覚を磨くメニューも取り入れてきました。男子部に比べてこじんまりしている分コンセンサスを取りやすく、新しい試みはすべて女子部から始まっていると言っても過言ではありません。新しいものを取り入れて改革に取り組んでいる学校です。

鵜﨑(女子学院)
 本校にとっては、探究教育は特に目新しいものではありません。そもそも、キリスト教教育の中には、探究的な学びがそのまま含まれているからです。草創期の宣教師の言葉に「自分のつとめを怠ったり、自分に力があるのに他を助けなかったときに、苦痛を感じるような女性になりなさい」という言葉があります。生徒たちは常に、自分の意思でなにができるのか、自分は何の役にたてるのかということを自問自答しています。我々は一助として、社会で何が起きているのかを生徒が知ることを手助けし、次のステップとして、掘り下げたものを他者と共有しながら発信する力を磨いていく機会を設けています。中高一貫教育の中で「修養会」をはじめとした話し合いの機会を数多く取り入れていくことで、生徒たちは自分自身と向き合い、考えを深め発信力を鍛えていきます。
成島(大妻)
 大事にしたいのは、生徒の意欲です。そして大規模校という事を活かし、様々な価値観がぶつかり合う中で思考を深める機会を取り入れています。社会で働く約50年間で通用する力を育むために、実社会との繋がりの中で軌道修正する力を身に着けること、これが、私が考える探究教育です。できれば好きなことと社会で役立つことが重なり合う所で働けるように、中3からキャリア教育を行い、大規模な模擬国連を開催するなど、生徒が群れて議論しながら考えていく機会を設けてきました。「感染リスクの高いグループ学習を控える」、といった専門家会議の提言を見て悩んでいたところ、生徒からオンライン模擬国連の開催という企画が上がってきました。その意欲に応えたいと、今年もオンラインで開催することに致しました。授業でも、小グループでディスカッションさせるなど新たな取り組みが始まっています
横尾(十文字)
 探究学習と切っても切れない要素が2つあります。一つが主体的な学び。2つ目が、正解のない問いにどう取り組むかということです。長く行われているのが、中1の上野動物園での観察探究です。1体の動物を観察し続け、その動きや意味をとことん追求し発展させる取り組みです。これが、本質を見極め発展させていく学びのスタートです。さらに中2で職業調べ、中3でデータ分析から個人研究まで落とし込みます。高校では、高1でグループワークを行います。クラスを超えてグループを作り、8つのテーマの中からさらに細かくテーマを設定して調べ、分析・発表まで行います。高2はマインドマップを活用しながら、個人研究を行います。このように、調べたことを深堀りする体験を将来につなげていくことが大事だと考えています。
國清(国学院大学久我山)
 総合的学習のテーマで人気があるものの上位として、職業 、国際理解、伝統文化という資料があります。本校でも、この3つについて取り組んで来ました。まず6年間を通して「働くということ」をテーマにし、フィールドワークも行っています。その中で、課題を見つけて、それを基に考える土台はできていると感じています。国際理解は、國學院大學や他大学の英語圏以外の地域からの留学生を招いて話を聞く「Friendship Meeting」を実施したり、『The Kugayama Times』という英語新聞を発刊するなど、様々なメニューを取り入れています。伝統文化については、女子部の特別講座で、華道、茶道、能楽、さらに日本舞踊を通して伝統文化の所作を学ぶ機会も設けています。今後はこれらの取り組みを、生徒の内面の充実に昇華させていきたいと考えています。このように、敢えて探究学習とは言わずとも従来から行っていることはあるのですが、今後はさらに、他校の先進的な取り組みも参考にさせて頂きながら、充実させていきたいと思っています。

鵜﨑(女子学院)
 探究活動はライフワークに関わってくることであり、大学進学は探究活動の手がかりに過ぎません。生徒は、短期的目標に対しては、モチベーションを持ちますが、それだけではないということを教えていきたいですね。卒業生の進路を見ていると、夢にまっしぐらに自分に与えられた場で活躍している方々もいますが、どこに自分の足場を持つのかを考え続けながら、生き方を定めている方々も多いです。社会が流動していく中で、一つのことにこだわらず自分は何をしなければならないかを考え続ける姿勢が大切ですし、実際に実践している生徒が多いと感じています。転機が訪れた時に次の一歩が踏み出せるか、自分が次に行くための準備ができているかが問われるのだということを中高の間に考えてほしいですし、その種を育むのが探究活動ではないかと考えています。
成島(大妻)
 社会で50年活躍するにあたり先の見通しを立てる材料を、特にSTEM分野で、生徒に渡しています。具体的には高校の情報の授業で慶應義塾大学矢上キャンパスと提携し、量子コンピューターを研究する准教授の授業を実施しました。21世紀の手に職は何か?の視点から、テクノロジーやデータサイエンス分野では、人材が不足していることやコーディングができる、できないで待遇に差が出るといった情報も生徒に提供しつつ情報教育を強化しています。全生徒が一人一台のタブレットを持ち情報科の授業においてはプログラミングをパイソンで経験し卒業します、これがAI時代に役立つと考えます。また今後推薦の割合は増加と予想し、論文指導体制を強化するため予備校の出前授業を医歯薬系と慶應大志望の生徒向けに実施する計画を立てています。
横尾(十文字)
 ここ10年で、探究活動を評価する大学が増えています。特に探究活動を高く評価しているのが慶應義塾大学です。お菓子について探究し、毎日ブログでアップし続けていた生徒がいました。「お菓子」で世界の恵まれない子どもたちを幸せにしたいという壮大な夢を語り、慶大そして大学院へと進学しました。その夢は現在も進行しています。また、本校では部活動も探究的活動と捉えていますが、サッカー部のある生徒は、スポーツ界では共生社会への取り組みが遅れていることを危惧して、ブラインドサッカーの研究をして大学に進学。海外の大学院に進学し、新興国の女性のためにスポーツ普及や寄付活動という形で支援し活躍しています。こうした例を見ていて、探究心を持って自主的、主体的に学んでいる生徒は、大学受験のみならず、本人のライフワークや社会に大きな影響を与えられると感じています。
國清(国学院大学久我山)
 探究では課題の設定が一番キーになりますが、口で言うほど簡単なことではありません。本校では、前述の「働くということ」というキャリア教育のスタートとして、中2で職場訪問というフィールドワークを行っています。一つの例ですが、今年ANAのCAに採用された卒業生が、このフィールドワークでANAを訪れたことがきっかけとなって、将来の職業はこれだと直感し、その目標を実現するためにどうしたらいいかを考え、努力を続けた結果、目標を達成したと報告にきてくれました。最後の面接では、中2の職場訪問の体験と、その折に頂いたCAの方からのお手紙が今日に至っているとの熱い思いを話して採用になったようです。自分の思いを持ち続けていくことが、大学から先の人生に結びついていくのだと実感しました。いわゆる偏差値が高い大学にいくことが目的ではなく、何をしたいかを考え、目標に向かって努力し、時には反省しながら努力を継続していく、この探究の過程の繰り返しが大事だと考えています。

鵜﨑(女子学院)
 ICT教育には取り組みつつあったので、課題を配信したり、質問を受け付けたり、段階を追ってスムーズに移行はできています。しかし、これまで対面での話し合いを中心とした授業を大切にしてきましたので、オンラインの限界も感じました。日常当たり前にやってきたことの大切さを再認識すると共に、これまでの実践で何を実現できてきたかを再認識する時間になっています。生徒同士はSNS等でつながっていたと思いますが、教員との連携はできていない部分もありましたので、そこに気づけたことは大きな学びとなりました。生徒が学校に戻った時には、リアルの授業はこれから違ったものになると考えています。今回の事態に対して、生徒は学びの意欲もあり、保護者の皆様には、学校の挑戦に暖かい眼差しを向けていただいています。皆様に協力いただき、助け合えていることを感謝しています。
成島(大妻)
 一人一台タブレットは導入していましたが、登校禁止になってから、春休み期間に準備を進めて生徒個別相談センターも立ち上げ、4月から、単位数を確保できるオンライン専用大妻時間割を作り全学年で授業を行っています。今回の事態は、教育変革のいい機会になったと同時に、直接顔を合わせて繋がれる学校という場の意義を再認識しています。在校生には、歴史感を持って時代を捉えよ。新入生には大妻で何をしたいのかを今一度じっくり考える機会にしようということを伝えたいです。新型コロナウイルス感染症による混乱と共生しながら、新たな日本や世界を作るときが必ず来ます。皆さんはその中心で取り組みに参加しリードすることになります。それに備えての今の学び、視野を広げる機会にしていただきたいと願っています。
横尾(十文字)
 4月は準備段階として、PCやWifiルーターの貸し出しなど環境整備を行って繋がることを目指し、遠隔ホームルームを開催。5月から本格的に、オンラインで授業を行っています。ビデオ授業を配信したり、Zoomを使った双方向授業を行っています。授業スタイルが大きく変わったことで、反転授業に対する先生の意識が変わり、生徒も変わってきました。「教える」から「学ぶ」への変革が起きていると感じており、新しい教育の形ができてきました。反対にそこに乗れないと差が出てしまいます。今後は、いかに主体的に学べるかが大切です。今回のことは、教育改革が大きく前進していくチャンスだと思っています。学ぶことへの前向きな態度や自分を見つめ直す機会と捉えて、大きく成長して欲しいと願っています。
國清(国学院大学久我山)
 4月から5月上旬までは主に、スタディサプリやクラッシーなどを使用して、生徒の質問に応える形で対応していました。今回の事態は、個人で自主的に学ぶことを学ぶ良い機会だと思っています。5月からは、Zoomを使用したホームルームやオンライン授業、YouTubeを利用した授業の配信を始めました。ただ、こうした経験を通して、オンラインの強みと弱みを感じています。できれば従来と同じ形で生徒の顔を見ながら授業をしたいという思いが強いです。生徒たちにも、みんなが同じところで同じものを学ぶことがどれだけ意味があるかに気付いてくれて、今後に生かしてくれたらと願っています。今の経験が、従来の授業形態に戻った時に活かせるようにしていきたいと思っています。
本日はありがとうございました。

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学校紹介

座談会を終えて

 この「首都圏女子実力校編」座談会は、各学校様のご協賛を頂き、2004年から開催してまいりましたが、初めて朝日新聞出版のニュースサイト「AERA dot.」で紹介することになりました。
 当初、一堂に会し座談会を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で座談会の実施も不透明な状況となる中、急遽オンラインで開催致しました。名門の私立中高が確固たる建学の理念の下どのような取り組みをされているのかを、各校のトップから直接お話しいただき、中学受験を考える保護者や受験生に紹介する内容になっております。
 元々のテーマ「探究的学びと大学進学」だけでなく、各校がこの事態にどのように対応しているのか、また社会の変化に対応する資質や能力の育成についてもお話しいただき、改めて私学の力強い取り組みに共感を致しました。司会の森上先生をはじめ、参加校代表者の先生方、広報担当者、取材スタッフの皆様のご協力のおかげで、企画が実現できたことに心より感謝しております。
株式会社シーエム