【Vol.5】未来をつくる子どもになくてはならない技術。それがブロックチェーン
木村恵子(以下、木村):私には子どもが2人いるのですが、すでにタブレットやスマホが日常に入り込んでいます。デジタルネイティブは、使うことはとても上手ですが、やはりリテラシーはまだ伴っていない印象です。親としては個人情報の管理などが気になっています。
佐藤一雅(以下、佐藤):かつては情報というと、自分の身の回りのものや本・テレビなどマスコミュニケーションが主流で、親や周りの大人の目の届く範囲の情報を見て、子どもが育ってきました。今は情報がタブレットやスマホの中にあって、親御さんが把握することが難しくなっていますね。ネットにはいい面もたくさんありますが、一方で、いじめや誹謗(ひぼう)中傷などに悩まれている方はたくさんいます。ネットワークにおいてもさまざまな接点で、大人が子どもを見守っていける新しい子育て社会を作る必要があると思います。
木村:昔は親だけでなく、近所の人も公園などで見守っていました。ネットワークでも、テクノロジーによってそういったことが可能になるのでしょうか。
佐藤:ええ、我々の技術の一端がそのお役に立てると思っています。ブロックチェーンはトレーサビリティ(追跡可能性)が特長のひとつ。通常は匿名でも、逸脱した発言があれば、誰が発信元か追いかけられます。これは「半匿名」とも呼ばれています。たとえば、お子さんがあるコミュニティにアクセスしたとき、ユーザーの身元はブロックチェーンにより認証され、かつふだんは匿名で、公開する情報を調節しながら交流できます。
木村:リアルの世界でも、相手によってどこまで自分の情報を出すのかは、自分で調節しますよね。ネットの世界は一度個人情報を出すと拡散されて、ずっとさらされてしまうのではないかという不安がありましたが、自分で出し入れが調節可能になるのは、便利だし安心です。
佐藤:この仕組みは子どものお悩み相談などにも応用できます。今の子どもたちは電話よりもチャットのほうが話しやすいと言いますよね。そこで、チャットでは匿名で相談を受け付けて、緊急性のある事象があれば、許諾のもとブロックチェーンによって本人を特定できます。
木村:匿名性を確保しながら相談できるのはいいですね。
成績管理も自分自身で
教育方法が変わる可能性も
木村:学校現場ではいかがですか。GIGAスクール構想によって先生方も今、ご苦労されていると思います。子どもたちの情報管理などにもブロックチェーン技術は役立てられますか。
佐藤:我々の「パーソナルデータロッカー」というサービスを使えば、子どもたちは自分の成績を自分で管理できるようになります。今は「小・中・高・大」とバラバラで書類で管理されているものが、自分で成績を一元管理できるようになれば、「中学では数学が苦手だったけれど、高校では得意になった」といった分析も簡単にできます。これまでどのように成長してきたかを先生と共有することで、教育方法も変わってくるのではないでしょうか。
ブロックチェーンで新しい
互助社会が生まれる
木村:そもそも子どもに「ブロックチェーンって、何?」と聞かれたら、どう説明すればいいでしょうか。
佐藤:難しい質問ですね。改ざんできない、トレーサビリティがあるといった話はできますが、その根幹の部分の説明が大切です。これまでは真ん中にサーバーを管理する人がいて、みんながデータを預ける中央集権型だったけれど、ブロックチェーンは相互に確認し合って改ざんできないようにしていく仕組み。かっこいい言い方をすると「自律分散」であり「データの民主化」です。真ん中に管理者がいなくても、「スマートコントラクト」といってブロックチェーン上に約束ごとのプログラムを書くので、約束は必ず守られるようになっています。お互いの信頼関係を保てる形にできているんです。そういった互助社会は、これまでは地域単位が主流でしたが、今は遠い国の人とも作ることができます。それを可能にするのがブロックチェーンです。
木村:テクノロジーによって社会のあり方、考え方も変わっていきそうですね。
佐藤:そうなんです。自分のデータを開示・利用することは「危険だからダメ」と言ってしまいがちですが、そうするとあらゆる面でデジタル変革が進みません。使うことを止めるのではなく、関心を持って見守っていただけるとありがたいですね。
木村:おっしゃる通りです。時代の流れに逆らうことはできませんし、私が子どものときには知り得なかったような知識を、ネットを通して得ていることは間違いありません。お話を聞いて、ブロックチェーンによって安全性が増すとわかり、希望を持つことができました。
佐藤:次世代の子たちが中央集権ではなく、民主的な方法でデータコミュニケーションを行い、新しい発想で次の社会を作ってくれることを信じていただきたいと思います。
佐藤一雅
ジャスミー株式会社 代表取締役社長
2000年、ソニースタイルドットコム・ジャパン社長。その後ソニー クリエイティブセンター長などを歴任し、10年、ソニー退社。16年、ソニー元社長・安藤国威とともにジャスミー設立。
木村恵子
AERA編集長
1999年、朝日新聞社入社。新潟、千葉支局で司法、行政を担当。2004年からAERA編集部。14年、副編集長。その後、ジュニアエラ編集長、AERA with Kids編集長を兼務。22年4月から現職。
ジャスミー株式会社
東京都港区北青山一丁目2番3号 青山ビル11階
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文:安楽由紀子 写真:松崎浩之(INTO THE LIGHT) イラスト:森優
デザイン:弾デザイン事務所 制作:朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ企画:AERA dot.ADセクション
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