彼女の受験に並走したことは、僕にとっても大きな転換期となりました。本人の意思よりも先に、「とにかく一校でも受かる」ことを優先し、アドバイスするのは違うのかもしれない、と思うようになったからです。合格したからこそ言えることですけれどね。

 本人の「絶対に受けたい」という気持ちと、「校風に合っている」という感覚をもっと大切にしていきたい。生徒の秘めた能力を伸ばせるところはどこか、を見極めたい。そのためには、やはり前受けをどう組んでいくかも大切なんですね。本人の強い思いと、数値で表せない頑張りを最大限尊重しながら受験日を迎えられるよう、これからも指導していきたいと思っています。

(聞き手/古谷ゆう子)

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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