日常を支える。鉄道を超える。JR東日本の挑戦

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改良工事によって美しく快適に生まれ変わった千駄ケ谷駅をバックに、笑顔を見せる松澤さん(左)と多々良さん

10 世界が集うステージのその先へ 積み重ねた経験をレガシーに

東京2020オリンピック・パラリンピック開幕に向け、JR東日本では「JR東日本2020Project」として、大会の円滑な運営に貢献するための取り組みを実施してきた。その足取りと社員たちの思いを聞いた。

文/音部 美穂 撮影/吉場 正和 デザイン/スープアップデザインズ 企画/ AERA dot. AD セクション 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ

広々としたコンコースを通り、改札を抜けると、目の前に広がるのは東京2020大会のメイン競技会場となるオリンピックスタジアム。JR東日本の千駄ケ谷駅は、あと数日で期待に胸を膨らませた人々を出迎える。

JR東日本では、東京2020大会を見据え、2014年から千駄ケ谷駅の改良の計画を進めてきた。計画に携わった営業部設備グループの松澤陽さんが語る。

「千駄ケ谷駅はホームが一面しかなく、コンコースも狭いため、大きなイベントが開催された時は、ホームやコンコースが混雑することが課題となっていました。そこで、もともとあった臨時ホームを新宿方面の専用ホームとして使用し、ホームを二面に。コンコースを拡張して混雑緩和を図り、お客さまの動線をスムーズにするため改札口を移設しました。また、千駄ケ谷駅ではバリアフリー設備を充実させるため、エレベーターを大型化し、トイレも拡張。多様なお客さまが快適に使える駅を意識し、改良工事を実施してきました」

同様の工事は、大規模な競技会場に隣接し、東京2020大会期間中に利用が多く見込まれる有楽町駅・原宿駅・新木場駅などでも実施されている。

駅の工事には制約が多い。工事をするからといって鉄道を止めることはできないからだ。

「工事のための計画づくりが重要です。その後、設計を経て、建設会社が施工します。実際工事を行う際には、鉄道の運行やお客さまのご利用に支障が出ないように駅社員とも連携を取り、関係者全員が必ず開催に間に合わせるという気概で進めてきました」(松澤さん)

結果、千駄ケ谷駅の改良工事は、昨年6月に完了。東京2020大会は延期になったが、松澤さんはこの1年間を前向きにとらえて、準備を進めてきたという。

「オリンピックスタジアムでイベントが開催された際には、ご利用になるお客さまの動線や混雑状況の確認など、狙いが機能しているか、足りない部分はないかなどを確認しました。駅での誘導や案内など、ソフト面についても検討を重ね、万全の体制で東京2020大会を迎えたいと思っています」

スムーズな運行のため他の鉄道会社とも連携

競技会場を利用する観客の鉄道輸送も大きな課題とされてきた。運輸車両部在来線輸送計画グループの多々良和孝さんが説明する。

「東京2020大会では夜間に行われる競技も多いため、大会期間中は終電を延長し、特別ダイヤで運行する予定です。また、東京近郊エリアの大規模な会場で競技が開催される日は、臨時列車の運行も予定しています。スムーズにご利用いただけるよう、これまでの大規模イベント開催時のデータをもとに、お客さまの動きを分析・予測し、運行計画を立ててきました」

都内やその近郊には東京メトロやその他地下鉄、私鉄各線が走っており、各社との連携も不可欠だ。

「日頃、他の鉄道会社と一緒に仕事をする機会はあまりないのですが、今回、終電時刻の設定などにおいて打ち合わせを重ねる中で、各社の考え方を知り人脈を構築できました。今後、お客さまにとってより快適な運行計画を策定するうえで、とても大きな財産になると思っています」

多々良さんは、これまで主に鉄道運行に関する業務に従事してきた。車掌や運転士、輸送指令など過去の経験がダイヤを考えるうえでも非常に役立っているという。

「ダイヤを変更すれば、乗務員だけでなく、メンテナンス担当者など多くの社員のスケジュール調整が必要になります。現場を知る身として、ダイヤを動かす重みを認識しながら運行計画を考えてきました」

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ダイヤを見て運行計画に関する打ち合わせを行う多々良さん(右)。「鉄道にとって時刻は商品」というだけに、ダイヤのすみずみまで細かくチェックを行う

職場横断のプロジェクトでアイデアや知識を共有

現場の視点は、別の形でも生かされている。大宮運転区の運転士、長谷川貴哉さんと武渕慎哉さんは、日本の鉄道に慣れていない海外のお客さまに向けて整列乗車などの鉄道マナーなどを知ってもらおうと、マナーを説明する動画を作成した。長谷川さんが語る。

「日頃お客さまに接する機会が少ない運転士にもできるおもてなしはないかと考え、日本のおみやげになるようなカードを考案。美しい春の風景の中を埼京線が走行する写真を用いたカードにマナー動画の二次元コードを載せ、手軽に動画を見ていただけるように工夫しました。このカードなら、ホーム上でお客さまに道を尋ねられた際などに、ご案内とともにサッと手渡すことができます」

この取り組みが評価され、長谷川さんと武渕さんはJR東日本が実施する「複数職場合同のプロジェクト」に参加。これは同社内の110職場・470人が参加するプロジェクトで、アイデアや知識を共有し、レベルアップを図ることを目的としている。ここで長谷川さんらは「鉄道利用マナー向上プロジェクト」として、各職場の社員と共同で新たなマナー動画を作成。東京2020大会には海外のお客さまの来場は叶わなかったが、このプロジェクトで得た経験は大きいと武渕さんは言う。

「社内での横のつながりが強化され、現場から積極的に声を上げる雰囲気が生まれました。それは、より安心・安全で快適な輸送の実現につながると考えています」

東京2020大会を通じて蓄積された経験は、大きなレガシーとして今後、さまざまな形で私たちに還元されていくことになるだろう。

連載は今回が最終回です。ありがとうございました。

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複数職場合同プロジェクトのオンライン会議で進行役を務める武渕さん(左)と長谷川さん

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※記事の掲載内容は5月下旬時点のものです。

※東京2020大会の特別ダイヤについては、JR東日本ホームページで最新情報をご確認ください。