「慈愛（あい）と誠実（まこと）と創造」が校訓

　1935年、東京府立第一高等学校の同窓会・鷗友会が創設しました。以来、ミッションスクールではありませんが、キリスト教の精神を基盤に「慈愛（あい）と誠実（まこと）と創造」を校訓として、心の教育を実践しています。「慈愛（あい）」で他者を思いやり、自分を大切にする心を育みます。また、神から与えられた可能性を一人ひとりが発見し、その可能性を「誠実（まこと）」に伸ばし、社会の中で発揮して「創造」的に生きることができるような人物を育てています。初代校長の市川源三は、良妻賢母教育が当たり前だった時代に、「みなさんは女性です。でもその前に一人の人間です。人間として社会にでて活躍しなさい」と教えました。その教えを創立以来大切にしています。

鷗友学園女子中学高等学校
大井 正智　校長

校訓の「恥を知れ」は「嗜みの心」

　1908年に大妻コタカが塾生15名で開塾。1917年に大妻技芸学校を創設したときに、校訓を「恥を知れ」と制定しました。この言葉は他人に言うものではなく、自分を律し、戒めるためのものです。根底にあるのは相手に対する尊敬や思いやりの心です。その心が形となったものが礼儀です。私はこの校訓を「嗜みの心」と理解しています。嗜みとは「平常の心がけ」「慎み、節制」で、この心があると気持ちに余裕が生まれ、他者への思いやりが生まれます。自分を律することや日々受けている多くの恩恵に感謝することができ、自分を高める努力を怠らない女性を育成しています。

大妻中学高等学校
梶取 弘昌　校長

生徒の隠れた才能を見出し、それを磨く

　1909年の創立以来、社会に貢献できる女性の育成に努めてきました。創立者の磯江潤は「天下の英才を得て之を教育す」という建学の精神に掲げています。英才とは秀才のことではなく、生徒一人ひとりがもっている秀でた才能を意味しています。生徒の隠れた才能を見出し、それを磨き上げていくことが本学園の教育理念です。さらに女子校として、校訓「清・慎・勤」を掲げ、創立以来、正しい心、思いやりの心、強くひたむきな心を育てる女子教育を続けています。

京華女子中学・高等学校
塩谷 耕　校長

近代女子教育の先駆者、下田歌子が創設

　近代女子教育の先駆者である下田歌子が16歳の時に、女子教育機関を作るという大志を抱いて岐阜から上京。その28年後の1899年に本校を創設しました。教育によって女性の品格を高め、社会に貢献できる女性を育成しようとしたのです。16歳の少女の高い志が本校の原点です。校名の「実践」は、学問を実際に役立てて実行するという意味で、学んだことを実生活で実践することを重視しています。

実践女子学園中学校高等学校
湯浅 茂雄　校長

社会に出て役に立つ女性の育成を目指す

　1922年、自分自身が学校で学べなかった経験を持つ十文字ことが、「学びたいと願う女性に教育の機会を与えるべき」という強い思いで創立しました。建学の精神は「身をきたへ　心きたえて　世の中に　たちてかひある　人と生きなむ」。身体も心も鍛えて、自立した、社会に出て役に立つ女性の育成を目指しました。その思いは今日まで脈々と受け継がれています。100周年を迎えた今年度の教育目標は「主体性の伸長」「基礎学力の徹底」「社会性の涵養」です。大きな夢を持ち、実現するために学び、人類の幸福のために率先して行動できる女性に育って欲しいと願っています。

十文字中学・高等学校
横尾 康治　校長

建学の精神は「世の光となろう」

　第一次世界大戦で世界が荒廃した1920年に、詩人で文学者の人見圓吉が、戦争で疲弊した社会が立ち直り、平和な社会を作るためには女性の活躍が必要だと考えて日本女子高等学院を創立し、今年で創立102年になります。「目覚めたる婦人」「正しき婦人」「思慮ある力強き婦人」の育成を教育の目標に掲げました。建学の精神は「世の光となろう」。世の中を照らせる光となれる女性を育てたいという思いは今も変わりません。

昭和女子大学附属昭和中学・高等学校
真下 峯子　校長

「志力を持って未来を創る女性」へ

　1892年に女子裁縫専門学校として開校。創立130周年を迎えた今年、完全中高一貫校になりました。「科学的思考で課題解決できる力」「挑戦する力」「世界で活躍できる力」をバランスよく育む6カ年のカリキュラムで、これまで以上に丁寧に、「志力を持って未来を創る女性」へと育てます。教育方針は「道義実践・勤勉努力・一能専念」。創設者である河村ツネの教育理念と建学の精神を第4代校長の二木謙三がこの3つの言葉で示しました。人として正しいことを実践し、コツコツと努力を積み重ね、才能を見つけて伸ばす教育を続けています。

豊島岡女子学園中学校・高等学校
竹鼻 志乃　校長

建学の精神は「純真、勤勉、着実」

　後に山種美術館を開設した実業家・山崎種二が、1940年に「勝れた徳性を養い、高い知性をみがき、世界に冠たる富士の如く、内外に誇り得る女性を社会に送り出す」という思いで創立しました。建学の精神の「純真、勤勉、着実」は、感謝の心を忘れず、自分のすべきことを一生懸命に行い、自分の役割を見つけて責任ある行動をすることです。科学技術が発達しても、使うのは人間です。人類が共存して幸せに暮らせる世界を創造するために決して忘れてはいけない心を「建学の精神」が教えてくれています。この精神を踏まえた教育目標は、「社会に貢献できる自立した女性の育成」です。多様化する社会のなかで、さまざまな課題を自分事としてとらえ、その解決に取り組み、自分の人生を自分の力で切り拓いていける女性の育成を目指しています。

富士見中学校高等学校
佐藤 真樹　校長

鷗友生はやりたいことを諦めない

　本校の学びは、あらゆる栄養が備わっている「幕の内弁当」です。学習、クラブ活動、学校行事などすべてのことが生徒の成長につながると考えています。常に「生徒にとって何が大切か」を考えて、大切なことはどんどん実践する校風です。たくさんの生徒とコミュニケーションをとれるように、3日に1度の席替えを実施。部活動や学校行事など、たくさんの生徒とのかかわりあいのなかで自分の居場所を見つけ、｢一人の人間として認められている｣という意識を持てるようになります。「先生方は授業などでもコミュニケーションをとる機会をたくさん作っていただき、幸せです」と言ってくれた生徒もいますね。
　何もかも共感できなくても友達になれる、自分を隠さなくても認めてもらえる。そんな環境が鷗友にはあります。また、鷗友生はやりたいことを諦めません。コロナ禍で行事を今まで通りの10できなければ9、9できなければ8と考えて、粘り強く行動します。修学旅行も万全の感染対策を講じて実施しました。

鷗友学園女子中学高等学校
大井 正智　校長

それぞれの生徒に合った教育を展開

　現在の教育目標は、女性が50年間社会で働き続けられるようにとの思いから、前校長が制定した「大妻ビジョン50」です。「社会で働き続ける」というのは、収入を得る仕事をすることだけを意味しません。本校は世間から「良妻賢母」を育てる学校だと見られていた時期があるようですが、私は「良妻賢母」型の生き方も否定しません。家庭を守り、子どもたちを育てるのも立派な生き方だからです。今、社会は大きな変革期にあり、家族のあり方も多様化しています。
　本校は元気な生徒が多く、体育祭の応援団は声も大きく、パフォーマンスも素晴らしい。校長室を開放しているので、入学したばかりの中1から進路に悩む高3までよく来て、話してくれるのはうれしいことです。事あるごとに生徒に「社会を変えるのはみなさん」だと言っています。生徒は一人ひとり異なる個性と可能性を持っていますので、工業製品のように均質な生徒を育てるのではなく、それぞれの生徒に合った教育を心がけています。

大妻中学高等学校
梶取 弘昌　校長

「別学と共学のいいとこどり」をしていく

　本校にはさまざまな個性と才能を持った生徒が入学してきます。私たちは、生徒一人ひとりをダイヤの原石だと考えています。その原石に光をあて、輝き出すまで生徒とともに磨き続けます。その中で生徒と教員の絆が生まれ、自然に校訓の「清・慎・勤」の精神が育っていきます。ですから、本校の生徒はとても優しく、気配りができる思いやりのある生徒が多いのだと思います。
　また、2024年には新校舎が完成し、中高一貫の男子校と共学の商業高校があるキャンパスに移転します。英検対策講座や海外留学などを合同で行うことで相乗効果が得られるだけではなく、SDGsなどの課題解決プログラムやボランティア活動、生徒会や委員会を協働して行うことで価値観の違いを生かした活動ができます。さらに、三校合同のクラブ活動も活性化し、「別学と共学のいいとこどり」をしていくことで、生徒の視野を広げ、京華の新時代を築いていきます。

京華女子中学・高等学校
塩谷 耕　校長

緑豊かな2万5000㎡のキャンパス

　渋谷駅から徒歩10分の場所に、緑豊かな2万5000㎡の広大なキャンパスが広がっています。本校の生徒はきちんと挨拶すること、思いやりの気持ちを言動で表現することが身についています。このことは本校の校風であり、大切な教育環境です。来校された方々から、「すれ違う生徒さんみんなが笑顔で元気に挨拶してくれます」と褒めていただいています。清掃スタッフも、「生徒さんが『いつもきれいにしてくださってありがとうございます』と声をかけてくれます」と話しています。また、部活動も盛んで、ダンス部、軟式テニス部は昨年、全国大会に出場しました。

実践女子学園中学校高等学校
湯浅 茂雄　校長

それぞれの能力を最大限に発揮できる学校

　互いに多様な個性と才能を認め合いながら、それぞれの能力を最大限に発揮できる学校です。生徒にはいつも、「挑戦しよう。失敗してもいいんだよ」と伝えています。育てたい能力・資質は、挑戦する力、創造力、傾聴力、自己肯定感、表現力、共感力の6つです。これらを育み、生徒一人ひとりが自立した女性として社会で活躍していくことを願っています。卒業生の声としては、「友だちは皆オープンな性格で話しやすかった。たくさんの友達に恵まれ、友だちは私の一生の宝」「全力で取り組む環境が自分を成長させてくれた」「自分自身を見つめ直す機会が多く、夢へ大きく前進することができた」などがあります。
　6つの能力に加えて、学力も伸ばします。6年間を通して参加費なしで、放課後の講習や講座、長期休暇中の補習、講習を実施し、手厚くサポートしています。生徒一人ひとりを大切にする本校の教育を守りながら、新たな挑戦を行い、教育をグレードアップしています。

十文字中学・高等学校
横尾 康治　校長

自分らしく、力強く生きる女性を育成

　幼稚園から大学院までがワンキャンパスで、敷地内にはBST（ブリティッシュスクール in Tokyo）、TUJ（テンプル大学ジャパン）もあるグローバルな環境です。2016年に、自分らしく、力強く生きる女性を育成するために、新カリキュラム「SHOWA NEXT」を開始しました。
　2年前に本校に着任した時、生徒会執行部の生徒が訪ねてきました。「『敷かれたレールの上をちゃんと走りなさい』という教育から、『自分でレールを敷いて自分で行きなさい』という教育に変わり、私たちは『SHOWA NEXT』の先頭を走ってきました。校長先生が代わったので、また教育が変わることはないですか？」と心配そうでした。私は「変わりませんよ。自分たちが考えて、いいと思うこと、やりたいと思うことをどんどんやってください。心配だったら先生に相談しながら、チャレンジしてください」と話しました。女子校は男子生徒がいないジェンダーフリーの環境ですから、異性の目を気にすることなく、自分の力を信じてやりたいことをのびのびとやれる環境です。自信を持って、いろいろなことに取り組んでほしいですね。

昭和女子大学附属昭和中学・高等学校
真下 峯子　校長

一人ひとりが持つ「一能」を見つける

　伝統を受け継ぎながらも、時代のニーズに応えて新しいことにチャレンジし、常に進歩する学校です。生徒一人ひとりが持つ「一能」を見つけるために、クラブ活動に全員が参加し、興味のあることに全力で取り組んでいます。クラブの数は文科系、運動系合わせて約50あり、今年度、新たにクイズ研究部ができました。130周年を記念した演奏会では、放送部が司会、コーラス部、吹奏楽部、弦楽合奏部、琴部、桃李連(阿波踊り部)が演奏を披露。有志生徒がプログラム作成を担当し、オリジナルデザインの記念グッズも製作。それぞれの生徒が「一能」を発揮し、讃え合いました。
　さまざまなチャレンジができる場があり、生徒たちは互いに切磋琢磨しながら高め合っています。生徒の言葉によると、豊島岡は「好きなことを好きと言える環境」なのだそうです。

豊島岡女子学園中学校・高等学校
竹鼻 志乃　校長

知的好奇心を持ち、学校外での学びにも積極的

　建学の精神に基づいた基礎基本を大切にする堅実性と、未来に向け、社会と繋がる学びを重視した先進性とのバランスを保った校風です。将来必要となる力を「17の力」と定め、「ルーブリック」で自らを振り返り、自己肯定感を高めていきます。また校内には60数点の名画が飾られており、豊かな心を育みます。富士見をよりよくするために、全学年のホームルームを生徒会が運営し、学校生活のさまざまな課題について意見交換するなど、本校生徒は富士見愛が強いですね。人の意見を踏まえて自分を客観的に振り返り、自分の成長に繋げようとする生徒が多く、お互いの多様性を認め合える寛大さもあります。知的好奇心を持ち、学校外での学びにも積極的です。新たな気付きを任意で報告してもらっていますが、昨年は延べ120人以上の体験談が全校で共有されました。「私もやってみよう」と、互いによい刺激となるだけではなく、教員も生徒の頑張りと新たな一面を発見しています。

富士見中学校高等学校
佐藤 真樹　校長

自分で調べて考える探求的授業を重視

　生徒が能動的主体的に学ぶ教育を創立以来大切にしており、自分で調べて考える探求的授業を重視しています。たとえば中3の化学の授業では、36年以上前からずっと「10種類の未知の粉について、生徒たちが分析方法を考えて粉を特定する実験」を行っています。
　英語教育にも力を入れていて、1940年の戦時中にも時間割に英語があり、学徒動員で登校できなくなったときには校長の石川志づが、生徒が働く工場で生徒を集め英語の詩を読み聞かせていました。現在は中1からオールイングリッシュによる英語の授業を行い、校内には2万冊以上の洋書があります。中学3年間で100万語以上読むことが目標です。また、校内には園芸実習園があり、創立当初から「園芸」の授業を続けています。中1と高1が必修で、一人ずつに与えられた小さな畑で野菜を作り、日々成長する生命を育てる驚きと喜びを体験します。

鷗友学園女子中学高等学校
大井 正智　校長

創立以来、時代の要請に応える教育を実践

　伝統とは昔からあるものを守るだけではなく、守りつつ常に新しい風を取り入れ、「変わらないために変わり続ける」ことが大切です。本校は創立以来、時代の要請に応える教育を実践してきました。女子校の存在意義についてよく尋ねられますが、私は野菜作りと同じだと感じます。野菜はそれぞれ相応しい時期に種を撒き、肥料や水のやり方も違います。地温があがらない時には発砲スチロールなどに入れて保護しますが、育ち始めてからは余計な手間をかけません。女子生徒を育てる時も、ある時期までは生徒を守る必要があります。成長の度合いは生徒ごとに違いますから、守りながらも、社会に出た時に活躍できるよう一人ひとりを大切に育てていきます。

大妻中学高等学校
梶取 弘昌　校長

小規模校ならではのきめ細やかなサポート

　生徒には失敗を恐れずに様々なことに挑戦するように言っています。一般的に女子は共感力があるため、たとえ失敗したとしても、「大丈夫だよ」「ゆっくりでもいいよ」と、声をかけ合い、支え合います。男子の目を気にせずに自分らしく思い切って挑戦できるところが、女子校の良さだと思います。
　本校は、6学年あわせても生徒数550名前後の小規模校で、アットホームな雰囲気があります。その和やかな校風の中で、様々な価値観を受け入れ、自ら考えて行動することによって、自立した女性に成長していきます。みんなの前で発表する機会を多く設けていますので、次第に人前で堂々と自分の意見を言える自信がつきます。教職員も女子のデリケートな心の動きに寄り添って、どんな時にも最後まで応援します。小規模校ならではのきめ細やかなサポートが、本校では当たり前のように行われています。

京華女子中学・高等学校
塩谷 耕　校長

高い志とぶれることのない自己を以て貢献

　創立者の下田歌子は、19世紀のアメリカの詩人の詩の一節を借りながら、「揺籃（ようらん）を揺るがすの手は以てよく天下を動かすことを得べし」という言葉に思いを込めました。揺りかごを揺する女性の手で世界を動かすという気概を持って学び、実践せよという教えです。また、歌子は日本の文化、伝統を誰よりも理解し、高い志とぶれることのない自己を以て社会に貢献しなさいと教えました。これらの教えは創立以来変わらずに目指してきたものです。その教育理念を大切にしつつ、変えるべきは変え、未来に必要とされる人材を送り出していきます。

実践女子学園中学校高等学校
湯浅 茂雄　校長

創立から続く「実践主義」と「本物志向」

　実際に本物に触れ、体験する「実践主義」と「本物志向」は創立から変わりません。建学の精神を具現化したものが、「自彊術（じきょうじゅつ）体操」で、創立以来続いています。中国の易経の文言に、常に自分を鍛え続けるという意味の「自彊不息（じきょうやまず）」があり、これも建学理念の一つです。毎朝校庭で約10分間この体操をすることによって、頭がすっきりとして1日を過ごすことができます。「肩こりが治った」と話す生徒もいます。体操で身体を鍛えるだけではなく、コツコツと続けることの大切さも学びます。

十文字中学・高等学校
横尾 康治　校長

「思慮ある力強き婦人」を目指す

　創設者の人見圓吉が、「第一次世界大戦で荒廃した世の中を背負っていけるような女性を育てよう」との思いで本校を創設したとき、教育目標のひとつに「思慮ある力強き婦人」を掲げました。「よく考えて、やるべきことを頑張れる、力強い女性になりなさい」という思いが込められています。時代は変わり、教育手法も変化しましたが、そのような女性を育成する教育は今も変わりません。リーダーシップを育成するために、経済同友会、昭和女子大学教授らによるキャリア講演も実施しています。

昭和女子大学附属昭和中学・高等学校
真下 峯子　校長

努力の積み重ねや基礎の大切さを知る

　建学の精神を受け継ぐ特色ある教育として、毎朝5分間の運針を実施しています。無心になって布に針を進めることによって、努力の積み重ねや基礎の大切さを知ることができ、集中力を高めて物事に取り組む姿勢が身につきます。今でいうマインドフルネスということになるのではないでしょうか。「道義実践」として、新入生は礼法マナー教室で他者に対する思いやりの心を形として学んだり、中学生と高校1年生は弁護士による「いじめ予防授業」を実施したりと、正しい判断と行動ができるような取り組みも行っています。

豊島岡女子学園中学校・高等学校
竹鼻 志乃　校長

生徒が模索して正解のない課題に向き合う

　「高3の創作ダンス（扇の舞）」が伝統です。全員で協力し、話し合いながら作り上げます。生徒が模索して正解のない課題に向き合う姿勢は現在の「探究活動」に生きています。
　女子校の生徒は中高6年間の多感な時期、ジェンダーを意識せずに、自分らしく過ごすことによって、自己と他者を大切に思う心を育みます。またのびのびと自分を発揮しているときに、より果敢にチャレンジし、新たな発見をしながら成長していきます。

富士見中学校高等学校
佐藤 真樹　校長

国際理解教育プログラムが充実

　基本的には、本校がこれまで実践してきた「探究」などの教育方法が、現代では先進的教育方法とされていると考えます。2018年には新たに高校生にBYOD（私的デバイスの持参）を導入したのに続き、今年度から中学生にもBYODを導入しました。高校生が「勉強でおすすめの使い方」「校友会活動でおすすめの使い方」などをまとめた冊子「BYODのすゝめ」を作成し、全校生徒に配布しました。自分の使い慣れたデバイスを学校に持参し、文房具のひとつとして授業や課外活動で活用しています。グローバル教育にも力を入れていて、授業やHRで学ぶほかに、希望者を対象にしたイェール大学研修、チョート・ローズマリー校サマースクールなどの国際理解教育プログラムも充実しています。

鷗友学園女子中学高等学校
大井 正智　校長

海外セミナーや医療系探究講座なども実施

　十年一昔という言葉がありますが、現代はもっと短いサイクルで動いています。今までは主に自主性、共創、リーダーシップを育ててきましたが、現在はそれらに加えて、予測困難な現代社会を生きるために必要な「問題解決能力」「創造力」「探究心」も育てています。近年はICT教育にも力を入れており、2018年からは生徒一人に1台のタブレットを導入。生徒は遊びの感覚でパワーポイントを私よりも上手に作るので、その伸びしろのすごさに驚いています。希望者を対象にAI開発やプログラミングを学ぶ特別講習も実施しており、今後は工学系に進む生徒が増えそうです。このほか、大妻女子大学の協力による中国語講座、海外セミナーや海外研修、医療系探究講座なども実施しています。

大妻中学高等学校
梶取 弘昌　校長

「探究Ⅱ」では企業からのミッションを解決

　現在の教育の3つの柱は「共感力」「グローバル力」「学力」です。他者の価値観を尊重し、世界的視野に立って考える力を身につけることで、自分の世界を広げながら「21世紀型の賢い女性」に成長します。共感力育成のために体験型・探究型の授業やボランティアプログラムを用意しています。グローバル力を磨くために、イングリッシュキャンプ、海外研修、授業でのオンライン英会話などがあり、2020年からは「セブ島バーチャル留学」も実施。学力を育成するために習熟度別授業や放課後講習に加えて、スタディサプリなどの自学自習システムも導入しています。
　探究学習にも注力しており、中学の体験型授業を高校ではさらに発展させます。高1の「探究Ⅰ」では社会問題などについて考え、議論し、発表するための「シンキングツール」を学びます。高2の「探究Ⅱ」では企業からのミッションを解決し、発表するプログラムを導入。2年連続で、探究プログラムの全国大会「クエストカップ」に出場しました。

京華女子中学・高等学校
塩谷 耕　校長

「生涯学び続ける力」の獲得を目指す

　3つの教育を柱にしています。
　「グローバル教育」では、持続可能な世界を作ることに貢献する人材の育成を目指しています。本校には10人のネイティブ教員が常駐し、授業以外にもオールイングリッシュの体験学習、放課後英語講座などを用意。また、国内外の模擬国連への参加を目標に活動する「グローバル研究会」からは、何度も受賞者が出ています。
　「探究教育」では、「未来デザイン」の授業でSDGs（持続可能な開発目標）のための教育を展開。現代社会の課題を教科横断型で、各教科の教員が協力して作成したプログラムで持続可能な社会や環境を志向する能力、資質を育てます。なお、探究教育に関連して、今年度中にユネスコスクールに認定される予定です。
　「感性表現教育」では、中1の必修科目「日本文化実習」で華道、茶道、筝曲、和装着付、仕舞からひとつを選択し、1年間体験。中1と高3は礼法の授業があります。3つの教育を通して、人生100年時代に必須の力である「生涯学び続ける力」の獲得を目指しています。

実践女子学園中学校高等学校
湯浅 茂雄　校長

中高生ともに個別最適学習を実施

　各教室に電子黒板があり、常時オンライン視聴が可能なハイブリッド型の授業を行っています。ICT教育に力を入れていて、中学生にはICT機器を貸与。中高生ともにLibry、スタディサプリ、navimaを活用した個別最適学習を行っています。生徒一人ひとりが自分のレベルに合わせた問題と進度で勉強することで、レベルアップをはかれます。
　今年度から高校は、「自己発信」「特選（人文・理数）」「リベラルアーツ」の3コース制となりました。中1生と高1の自己発信コースに今年度から導入した、本校独自の数学の個別最適学習プログラム「J－PALM」も好評です。これはLibryを活用したもので、自分で計画を立てて、主体的に学ぶことが目標です。数学が得意な生徒はどんどん先に進むことができます。数学があまり得意ではなかった生徒からは、「中学のときは数学が大嫌いだったけど、自分のペースでひとつずつ納得しながら進められて、数学好きになれそう」「わからないときには動画を見たり、グループのメンバーや先生に質問したりしています。学習の仕方もノートの使い方も改善できました」といった声が寄せられています。

十文字中学・高等学校
横尾 康治　校長

東京大学、東京理科大学などと連携

　本科、グローバル留学、スーパーサイエンスの3コース制で、特に力を入れている先進教育は「グローバル」「STEAM」「探究」です。敷地内にあるBST、TUJの教員が本校の生徒へ英語の授業を行ったり、生徒同士が共同プロジェクトに取り組んだりして、全コースでグローバル教育に力を注いでいます。グローバル留学コースでは全員が10カ月間カナダに留学します。
　STEAM教育では昨年度からプログラミングの授業を開始。卒業時にアプリ開発の基本的スキルを身につけるのが目標です。さらに、今年度中にデータサイエンスの授業プログラムも実装予定。また、東京大学、東京理科大学、千葉大学、東京学芸大学、芝浦工業大学、昭和大学、東京女子医科大学との連携プログラムも用意しています。探究では、2019年に文部科学省から指定された「地域との協働による高等学校教育改革推進事業〔グローカル型〕」が終了しましたが、高校生のグローバル型のLABO活動、ローカル型世田谷区との協働サービスラーニング活動などは継続しています。

昭和女子大学附属昭和中学・高等学校
真下 峯子　校長

科学的思考で課題解決できる力を育てる

　特に、探究活動に力を入れています。2015年度から探究型の学びを大切にしていましたが、2018年度からは探究活動を授業時間に取り入れ、科学的思考で主体的に課題解決できる力を育てています。中学生は希望者が探究Basicに、高1は全員グループ探究、高2の理系は科学探究、文系は総合探究に取り組み、Academic Dayで成果発表します。SSHに指定されているため発表の場は校外にも大きく広がっています。本校独自のSTEAM教育である「T－STEAM」では、中学生からモノ作りに取り組み、希望者は他校も参加する難易度が高いものに挑戦します。
　英語についても特色を持たせています。従来からの中学英語弁論大会の実施、高1のディベート英語、高3の科学英語などの授業の他に、今年度から中学の英会話では習熟度別少人数制とSTEAM要素を加えたり、上級レベルの英語力を有する中学生にEnglish Special Lessonsを実施したりと工夫しています。中止となった海外研修の代替行事も企画し、夏休みに実施予定です。

豊島岡女子学園中学校・高等学校
竹鼻 志乃　校長

海外大学進学希望者へのガイダンスも実施

　未来の社会に貢献できる自立した女性となるために、「自分の意見を形成する力」「論理的に考える力」といった「17の力」を教科学習や探究学習、あらゆる生徒活動の中で育んでいきます。特に「探究心」を育てることには力を入れ、6カ年の独自プログラムを展開しています。中1の「問いを作る」をテーマにした「モノ探究」から始まり、中2では地元の練馬区と連携して課題解決に取り組みます。中3の「my探究」では自分でテーマを決めて探究します。
　高1では「SDGs探究」にグループで取り組み、企業訪問やフィールドワークを通して社会の課題について解決策を考え、高2から高3にかけては1万字の卒業研究に取り組みます。また、グローバル教育にも注力し、海外の姉妹校、提携校との相互交換留学やオンライン交流、ベトナム研修を行うほか、毎年アジア各国から長期留学生を受け入れています。生徒が運営する校内模擬国連から、全日本高校模擬国連大会にも出場しています。専門スタッフが常駐するグローバルセンターでは、在校中の留学や海外研修のサポートのほか、海外大学進学希望者へのガイダンスも行っています。

富士見中学校高等学校
佐藤 真樹　校長

84人が東大、京大などの国公立大学に合格

　さまざまな授業、クラブ活動、学校行事などの経験から自分が進みたい道を見つけています。文理の割合はほぼ半々で、芸術系に進む生徒もいます。今春の入試では卒業生229人のうち84人が東大、京大をはじめとする国公立大学に合格。海外大学に合格した生徒もいます。
　具体的な事例をあげると、全員の前で歌を歌ったときにすごく楽しかったから声楽科への進学を決めた在校生、オンライン学園祭でのパソコンを使った活動から情報系に進路を決めた卒業生、園芸の授業から「食品ロス」の問題を考え、農学部で研究をしている卒業生、幼い頃から宇宙に興味があり、大学院修了後にJAXAの研究開発部門へ就職した卒業生らがいます。

鷗友学園女子中学高等学校
大井 正智　校長

医歯薬看護学部合計で88人が合格

　高1の5月に実施する2泊3日のオリエンテーションでは、教員の講話、女性の生き方や進路選択などについてのクラスミーティングなどを行います。私たち教員の高校時代の話を聴いた生徒たちは「先生たちも悩んでいたのだ」と、親近感を覚えてくれたようです。約20の大学から講師を招く「大学模擬講義」は高1と高2全員が受講し、将来の進路について考えます。教育が進路選択につながった例をあげると、探求レポート作成の過程でAIを医療にどのように活用できるかを考え、臨床医学の研究事例を調査した生徒が、大学で小児のアレルギー疾患について研究しています。中学の頃から国際関係に関心があった生徒は、本校での模擬国連やオーストラリアセミナーに参加して英語力に磨きをかけ、国際的な基盤が強い大学に進学しました。
　昨年度から研究者・医療従事者と本校教員による医療系探究講座やSTEAM探究講座、起業探究講座などを開講しており、理系の志願者が増加しています。今春の入試では医学部の10人をはじめ、医歯薬看護学部合計で88人が合格。海外大学にも3人が合格しました。

大妻中学高等学校
梶取 弘昌　校長

海外大学への進学者の増加が予想される

　ここ数年で大学進学状況が急速に向上しています。国公立大、早慶上理、GMARCH、難関三女子大に45名合格（卒業生121名）をはじめ、大学進学希望者のほとんどが現役で合格しています。さらに、海外大学への進学希望者が増えていることから、「海外大学進学協定校推薦制度」に加盟し、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの70大学に協定校推薦で入学できるシステムも導入しました。また、高校では3年間通学する留学生を中国・香港などから毎年3～5名受け入れています。その影響もあって留学を身近に感じる生徒も多く、今後は海外大学への進学者が増えることが予想されます。

京華女子中学・高等学校
塩谷 耕　校長

個々のニーズに合わせた進路指導

　生徒の個々のニーズに合わせて、進路指導をきめ細かく行っています。実践女子大学と國學院大學と連携しており、授業を履修することができますから、大学での学びをイメージできます。
　実践女子大学へ内部推薦制度で進学した生徒は明確な目標を持って、粘り強く学ぶ学生が多い印象です。たとえば入学時から国語の教員を目指し、卒業後に東京都の区立中学の国語の教員になった卒業生や、書道家の家に生まれ、在学中も卒業後も粘り強く実績を積み重ねて名のある書道家となった卒業生もいます。また、指定校推薦も豊富です。割合でみると内部進学が23％、指定校推薦が22％、公募推薦・総合型選抜が19％、一般選抜が36％です。毎年、海外大学に進学する生徒が3～5人います。どんな進路を選んだとしても、確固たる自己を持ち、他者に思いやりを持って接することができ、主体的に行動でき、社会を支え、発展させる人材の育成を目指しています。

実践女子学園中学校高等学校
湯浅 茂雄　校長

「社会に貢献したい」と考える生徒が多い

　中1から探究学習に力を入れており、そのことが進路選択に影響しているようです。授業だけではなく、NEC見学、医療体験など多種多様な企業や機関とも連携しています。また、十文字女子大学、東京薬科大学、慶應義塾大学と連携したキャリア教育にも力を入れています。
　建学の精神から「社会に貢献したい」と考える生徒が多く、特に医療系学部への進学が多いです。担任していたクラスの同窓会に行ったところ、医師、看護師、薬剤師、放射線技師などの医療従事者がたくさんいて、「病院ができる」と思ったほどです。最近は、起業する卒業生が増えました。卒業生に来校して話をしてもらうと、卒業生がロールモデルとなり、自分の将来をイメージしやすいようです。

十文字中学・高等学校
横尾 康治　校長

難関大学に挑戦する生徒が増加

　本校は、中高を5年で修了し、6年目に大学の授業を履修する「五修生」という制度を設けています。この制度と昭和女子大学のダブルディグリープログラムを活用すると、5年間で昭和女子大学と協定大学の2大学の学位を取得できます。協定大学は米国州立テンプル大学、上海交通大学、淑明女子大学校、クイーンズランド大学の4大学です。
　最近は、昭和女子大学への推薦入学資格を持ちながら、他大学を受験する生徒が増えています。特にスーパーサイエンスコースでは難関大学、理工系の大学に一般入試で挑戦する生徒が増加。海外大学も含めて、進学の選択肢が広がっています。

昭和女子大学附属昭和中学・高等学校
真下 峯子　校長

東大推薦入試、京大特色入試などを利用

　「志力を持って未来を創る女性」の育成には、ロールモデルを見せることが大切だと思っています。クラブ活動で活躍する先輩、学校行事で中心となっている先輩を見て、「私もあんな風になりたい」と考えたり、「先輩ができるのだから私もできるかもしれない」と思ったりすることはすべての原動力になります。また、卒業生の大学生が、探究活動でティーチングアシスタントに入ったり、TGサポーターとして学習や悩みの相談に乗ったりして、卒業生もロールモデルになっています。中2では各方面で活躍する卒業生にインタビューして、仕事のやりがいや夢をきくことによって、卒業生の話が自分事になり、将来に対してのイメージが膨らみます。
　探究活動に熱心に取り組んだり、SSHの全国大会に出たりした生徒は、東大推薦入試、京大特色入試、お茶の水女子大の新フンボルト入試など、一般選抜以外の入試においても力を発揮して希望する大学に入学しています。

豊島岡女子学園中学校・高等学校
竹鼻 志乃　校長

6年間の探究プログラムが進路にも大きく影響

　本校の探究学習の原点である「問う」という学びが知的好奇心に繋がり、6年間の探究プログラムは生徒の進路にも大きく影響を与えているようです。たとえば、中3の「my探究」で「スペースデブリ」をテーマにした生徒は、その後外部の宇宙関係のイベントやセミナーにも参加し、将来はJAXAの研究員になり、「スペースデブリ」を回収するロケットを作りたいと思うようになりました。卒業研究のテーマ「認知症患者の介護」と大学で学んでいる言語学が繋がって、「子どもの言語の学習障害」にどんな支援が必要かについて研究している卒業生もいます。
　富士見生は、自分がどうありたいのか、そしてより良い社会を創るために自分の役割は何か、という意識を持ち、自分の進路に妥協はしません。そこには建学の精神を忘れず、よりよい環境で学び続け、未来の社会の担い手として成長していく姿があります。

富士見中学校高等学校
佐藤 真樹　校長