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社会が大きく変わりつつある今、教育の重要性は高まり、学校選びの視点も多様化しています。小社発行の『偏差値だけに頼らない中高一貫校選び2022』では、さまざまな視点から中学受験や中高一貫校を取材しました。オンラインを駆使した学びなど、コロナ禍でも教育は進化し続けています。次世代を担う子どもたちが、この時代に身につけるべき能力と、教育機関の現在の取り組みについて、ご紹介します。
  • 中高時代に身につけさせたいのはダイバーシティーの世の中を生き抜く力
  • 6つのキーワードで探るこれからの学校で大切なこと

中高時代に身につけさせたいのはダイバーシティーの世の中を生き抜く力

教育社会学、高等教育論を専門とし、社会調査を駆使した
分析・研究を行っている濱中淳子さん。中高一貫校の教育効果について聞く。
文=仲宇佐ゆり 写真=戸嶋日菜乃(写真部)

 私立の中高一貫校出身者と公立の進学校出身者とでは、将来的に何か違いが出るのだろうか?濱中淳子教授は私立の中高一貫の男子校である開成と灘、公立の進学校である埼玉県立浦和高校と神奈川県立湘南高校の卒業生を対象に調査を行った。いずれも入学難度が高い学校だが、違いを見てみよう。

 企業に勤める30~50代男性の年収を、私立の中高一貫校出身、公立の進学校出身、首都圏の高校を卒業した平均的な大卒者で比較したのがグラフ①だ。

濱中さんによる調査(出典:「学力トップ層の教育とキャリア-卒業生調査を用いた所得関数の計測から-」2020年)。30~50代男性のデータを抽出して算出した所得分布

「平均的な大卒は年収600万円までに集中しているのに対し、私立中高一貫校と公立進学校出身者の分布は右側に寄っています。年収は同じように高いですが、ばらつきの大きさも目立ちます」

 なぜ、年収がばらつくのか。分析からは、中高一貫校と公立進学校とでは理由が異なることがわかったという。
「中高一貫校出身者の場合は中高時代の人脈を生かしている人ほど、公立進学校出身者の場合は大学時代の人脈を生かしている人ほど、年収は高いです」

 学習面でも違いが確認された。中高一貫校の場合、年収にプラスの影響を与えるのは「中高時代の学習」と「就業後の学習」。他方で公立進学校出身者にとって大事なのは「大学時代の学習」だった。大学時代に〝小休止〟する中高一貫校出身者と、大学時代を糧にする公立進学校出身者。まさに対照的である。

均質な空間で
6年間を過ごす意味

帰宅から就寝までの「自宅裁量時間」が平日の授業外学習時間にどう影響するかの調査結果(濱中教授提供/首都圏の中堅校6校対象)。中堅校においては自宅裁量時間が4時間あるかどうかが重要な分岐点になっていることがわかる

 中高時代に獲得する能力でも差が見られた。中高一貫校では、課題を達成する能力や知識量などが伸びる。他方で公立校の生徒が高校卒業までに自信をつけるのは、対人関係能力と体力だ。ただ、こうした差は大学卒業までに消滅する。開成・灘の卒業生はキャンパスで女子や地方出身者と接するうちに、公立校の卒業生は学問に打ち込むうちに、新たな成長を遂げる。山登りに例えるなら登るルートが違うだけで到達点は同じということだろう。
「中高一貫校には能力も家庭環境も同じような人が集まります。均質な空間で伸びやすい力がある一方で、伸びにくい力というのもあるのではないでしょうか」

 濱中教授は今後の社会ではダイバーシティーがますます重視され、自分たちと異なる人々への想像力が重要になると見ている。そしてその想像力を養うには、多感な10代のうちに多様な人や場に触れることで、自分自身を相対化し、頭を柔らかくしておくことが必要だという。
「早稲田大学の場合も、高校時代までの多様な体験から得た疑問や違和感を大事にしている学生ほど、大学の学習環境を活用し、成長しているように見受けられます」

 となると、どんな視点で中高一貫校を選べばいいのか? 濱中教授は、学力的には無理をしすぎないことをすすめる。
「授業についていくのに必死な生活よりは、勉強以外の活動にも時間を割けるほうがいいのでは、と思います」

 通学時間も意外と重要な要素だ。別途行った高校生調査のデータからは、学力中間層の場合、一定以上の学習時間を確保するには、帰宅してから使える「自宅裁量時間」が4時間以上必要だという結果が得られている(グラフ②)。タイムマネジメントは、中高生にとってかなりの難題なのだ。

 濱中教授自身にも小学生の娘がいる。進路という正解のない問いに、日々頭を抱えているという。
「娘なりの山登りをすればいいとわかっていますが、自分事になると難しい。ただ、どのルートであっても、強みと弱みの両方があることは忘れずにいきたいです」

濱中淳子さん
はまなか・じゅんこ/ 1974年富山県生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。大学入試センター教授、東京大学高大接続研究開発センター教授を経て、2019年から現職。著書に『「超」進学校 開成・灘の卒業生』(ちくま新書)など。

6つのキーワードで探るこれからの学校で大切なこと

首都圏模試センター
北 一成さん
首都圏模試センター取締役教育研究所長。学校情報、入試情報を専門とし、取材等で約400校の中高一貫校をのべ3000回以上訪問。
ICT環境

情報通信技術の活用で、学びの幅が広がる

 ICT環境とは、高速大容量通信ネットワークやタブレット端末といった情報通信技術を取り入れた環境のこと。学びの幅が広がったり効率化できたりするとして、小中学生に一人一台の端末を整備する「GIGAスクール構想」を、文部科学省が進めていることをご存じの方も多いだろう。
「その活用を加速させたのが、2020年の新型コロナウイルス感染症による休校措置です。特に私立中高一貫校は積極的で、5月末には95%以上がオンライン授業をスタート。それが呼び水となって、動画を見て授業の理解を深めるだけでなく、今では生徒がそれぞれの端末で授業の振り返りをしたり、クラス全員の考えを端末を通して共有したりと、上手に活用している例が少なくありません」
 そう話すのは、首都圏模試センターの北一成さん。「生徒の考えや意見を瞬時に共有でき、挙手が苦手な生徒の声も拾えるため、自己肯定感を高められると話す教員は多い」とも言うが、まさに過渡期にある。状況は学校によってさまざまなので、確認しておくと良さそうだ。

STEAM教育

科学技術分野で活躍する力を育む

 STEAMとは、「科学(Science)」「技術(Technology)」「工学(Engineering)」「アート(Arts)」「数学(Mathematics)」を表す英単語の頭文字をとった造語。科学技術の進化によって社会が急速に発展していくなか、ICT技術を使いこなせるだけでなく、それを使って問題解決したり、ものを生み出したりする人材を育てる必要がある。そんな考えのもと、理系4領域に「アート」を加えた上記5領域を、総合的に身につけていこうというのがSTEAM教育だ。
「科学技術にアート?」と思うかもしれないが、ものづくりにはクリエーティブな発想やデザイン性も欠かせない要素だ。また、アートにはリベラルアーツ(教養)という意味合いも含まれている。
「デザイン的思考はもちろんのこと、ライフデザインなどの哲学的な学びについて扱う学校もあります」と北さん。
 科学技術分野での競争力を高める目的で注目されるようになった教育法だが、教科の枠にこだわらず、これからの社会で求められる力をつける、新しい学び方ともいえる。

医学部進学

6年間かけて医学の道に進む準備を整える

 コロナ禍で医療従事者の活躍がクローズアップされるなか、〝手に職"といった意味でも、根強い人気が続いているのが医学部進学を視野に入れた学校選びだ。
「ただし、理系科目を強化して、とにもかくにも医学部合格をめざすという学校は少なくなっています。もちろん理系科目を重視することに変わりはありませんが、最近はメディカルサイエンスなどというくくりで、医学や薬学を幅広く学ぶところも。また、先端的な研究に触れたり、現役医師の話を聞いたりしながら、医師として活躍するために必要な基礎知識から心構えなどまで手厚くサポートしてもらえる学校が増えていますよ」(北さん)
 毎年、医学部合格者数上位の学校はほとんどが私立中高一貫校だ。医療分野の仕事についてのイメージや知識を高め、同じ道をめざす仲間と切磋琢磨しながら、6年間かけて最難関とも言われる医学部受験への準備ができる点も、中高一貫校ならではの強みだろう。

非認知能力

学力の土台となる、テストでは測れない力

 目標に向かってやり抜く力、感情をコントロールする力、コミュニケーション力、仲間と協働してものごとに取り組む姿勢……。非認知能力とはこのように、テストで測ったりIQ(知能指数)で表したりできない能力のこと。いわゆる学力の土台となり、社会で活躍するうえでも欠かせない力として、世界的に注目を集めている。
 明確な定義はなく、探究学習から行事まで、非認知能力を高めると位置付けている取り組みは学校によってさまざまだ。
「授業以外の部活動や行事を通して得られること、友達や教員と過ごすなかで身につくことも、まさに非認知能力を育てるのかもしれないと私は感じています。最近では、入試で

適性検査や英語、自己アピールやプレゼンテーションなど、ペーパーテスト以外の試験を課す学校が増えていますから、非認知能力を大切にしている学校なのかどうかの目安になるかもしれません」と北さん。
 わが子が6年間を楽しく過ごせるかどうかということも、非認知能力を育むためには大事な要素かもしれない。

グローバル教育

語学力だけでなく、国際感覚も身につける

 大学入試でも英語4技能(読む、聞く、話す、書く)の評価が検討されているように、グローバル化が進む今、英語を身につけることはもはやスタンダードになっている。
「英語というと留学や海外研修をイメージするかもしれませんが、それがカリキュラムに組み込まれていたり、海外に提携校を持ち、生徒同士が交流していたりする学校がかなり増えてきています。コロナ禍で海外へ出ることが難しい現状もありますが、オンライン上で海外の生徒と協働したり、国内にいる留学生と交流したりと、異文化を経験するためのさまざまな工夫が各私立校で見られます」(北さん)
 子どもたちが大人になる頃には、多くの人が外国人と肩を並べて仕事をするだろうとも言われる。英語でコミュニケーションをとれることに加えて、異文化を受け入れ、グローバルな視点でものごとを考えられる力などが必要不可欠だ。親世代は語学習得の面ばかりに意識がとらわれがちだが、異文化に触れるという視点で今一度チェックしておきたいカテゴリーだ。

探究学習

主体的に課題に取り組み、未来を切り開く力を育む

 自分で課題を設定し、情報収集したり分析したりしながら解決の道を探っていく探究学習。主体性、思考力、判断力、表現力などを育む学習スタイルとして重視され、すでに小・中・高校ともに「総合的な学習(探究)の時間」に導入されている。2022年度から始まる高校の新学習指導要領では、「探究」が中心的なキーワードになっており、「理数探究」など七つの「探究」科目が新設される予定だ。
「何かしらの課題や問題をみんなで解決していくケースや、自分の興味を持ったことを深めていくケースなどさまざまですが、生徒の成長を実感して、全教科で取り入れる学校も出ているほど。取り組み方によっては、学校の偏差値に関係なくいい成果が出ていて、私も探究学習の重要性に驚いています」と北さん。

 そんな探究学習に、6年間かけて取り組めるのが中高一貫校のいいところ。各校の取り組みについてはぜひ確認しておきたい。「今まさに探究学習に力を入れ始めたばかりという学校も少なくありません。直近の中学1、2年生の取り組みをぜひチェックしてみてください」(北さん)

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