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選ばれる 私学 子どもの力を伸ばす偏差値プラスアルファの教育

東大・医学部・海外大学 進学実績校 東日本編

国際社会は未曾有のパンデミックに翻弄されている。グローバル経済に翳りが見え、自国第一主義が台頭。第2の冷戦時代ともいわれる。地球環境の危機も待ったなしだ。今後求められる人材は、不透明な時代を拓くタフなイノベーターであろう。5月11日、緊急事態宣言下、万全の感染対策を施して集ったのは、東大、医学部、海外大学に高い実績を持つ8校の校長。未来を見据えた教育について語り合った。
学習塾運営を経て森上教育研究所を設立。中学受験塾や私立中高一貫校に向け、情報発信やコンサルティング等を行う一方、保護者の悩みに応える「わが子が伸びる親の技(スキル)研究会」を主宰。

Q1① 学校の特徴

野水(開成)
 開成は本年、創立150周年を迎えます。7月には記念プロジェクトの一期工事を終え、高等学校新校舎と体育館が完成。充実した設備・環境に生徒諸君を迎えることができます。
 創立者の佐野鼎は幕末の蘭学を学んだ砲術家。幕府の使節として福沢諭吉一行と共に欧米を歴訪して見聞を広げ、新しい日本のための教育を東京・神田の地で緒に就けました。初代校長は高橋是清。校名の開成は中国の古典『易経』から取った「開物成務」に由来し、人知を開拓し人としての務めを成すという意味があります。「質実剛健」「ペンは剣よりも強し」と共に、本校の基本理念です。
岡田(攻玉社)
 明治維新から5年遡る1863年に、明治期の六大教育者の一人、近藤真琴が開いた蘭学塾を嚆矢とします。校名は『詩経』の「他山の石以て玉を攻(みが)くべし」から引用したもの。周りの人から刺激を受けて、自分を伸ばす「切磋琢磨」を教育の柱としています。
 校訓は「誠意・礼譲・質実剛健」。海軍兵学校の予備校として名を馳せた歴史もあり、千変万化する大海原のような激動の日本で、時代を創る先見性、柔軟性、判断力そして責任感を育んできました。男子校には珍しく、1990年から帰国生のための国際学級を設け、多様性を重視しているのも特徴の一つでしょう。
小家(駒場東邦)
 医学部、薬学部など医療系学部を網羅する東邦大学の初代理事長・額田豊と元日比谷高等学校校長・菊地龍道が、1957年に創立した中高一貫の男子校です。戦後日本の再生にあたり、願いは青少年に楽しい夢、明るい希望を回復してもらうこと。「自立独立の気概」と「科学的合理的精神」を養い、人類の福祉を高める仕事に活躍できる有意な人材を育てることを、教育目標に定めました。「誠あれば熱あり、熱あれば光あり」の言葉をもって、生徒たちの高い志を鼓舞しています。
 この理念は極度に細分化した膨大な情報に囲まれた現代社会においても、信念をもって世界に羽ばたく人物の育成に有用なものです。
原口(桐朋)
 本校があるのは、東京といっても郊外の多摩地区。学内では「みや林」と呼んでいる武蔵野の雑木林に抱かれた、おおらかな学園です。先日はツミ(小型の鷹)のつがいが巣をかけているのを、生物部員が見つけました。
 開校は1941年。戦後の1947年、東京文理大学・東京高等師範学校の指導を受け、再スタートをきっています。初代校長は哲学者で、教育基本法の原案作成にも携わった務台理作。自由と民主主義を根幹に「自主的態度を養う」「他人を敬愛する」「勤労を愛好する」の3つの精神を教育目標に掲げています。クラス担任が6年間持ち上がりなので、生徒と教師の信頼関係が培われるのも大きな特徴。一人ひとりが個性を輝かせています。
杉山(武蔵)
 来年は創立100周年。「新生武蔵」は次の100年に向けて、新たな一歩を踏み出します。
 創設者は実業家・根津嘉一郎(初代)。渋沢栄一とともに全米を視察し、篤志家が社会から得た利益を社会に還元する姿に心打たれ、日本で初めての私立七年制高等学校を開きました。創立以来「東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物」「世界に雄飛するにたえる人物」「自ら調べ自ら考える力ある人物」の三理想を掲げており、特に最後の「自調自考」は先行き不透明な時代を生き抜くために、ますます重要になってくるでしょう。広いキャンパス内には大学もあり、深い緑の中をせせらぎが流れる自然豊かな学び舎です。
谷地田(北嶺)
 北海道の札幌市郊外の豊かな自然の中、北海道立札幌南高等学校長であり、北海道教育委員会委員長であった山口末一が1986年に創設した、まだ新しい中高一貫の男子校です。校訓は「目は高く足は大地に めざすなら高い嶺」。1学年120名の少人数制をとり、英国パブリックスクールを手本とした寮も完備。授業に柔道とラグビーが週1時間組み込まれているのも特徴で、文武両道。知・情・意・体の調和を備えたグローバルリーダーの育成をめざしてきました。学力も着実に伸び、開校時から東大など難関国公立大や国公立医学部の高い合格実績を上げております。
西村(海陽)
 三河湾を臨む広大なキャンパスに建つ、全寮制の中高一貫男子校で、2006年にトヨタ自動車・JR東海・中部電力など、名だたる企業80社を超える協力を得て設立されました。 「日本の将来を牽引する人材の育成」を目標に掲げ、海外のリーダー養成校の多くと同じ「全寮制」にしました。モデルとなった英国のイートン校には何度も視察に赴き、ノウハウを学びました。教育・学業の場だけでなく、家庭であり、社会であり、遊び場でもある“ハウス”での規律ある共同生活は、社会性や協調性、コミュニケーション能力、リーダーシップなどを涵養する基盤となっています。
南風原(広尾学園)
 明治の女子教育の先駆者・下田歌子が「理想に向かって着実に前進」を校是に掲げ、初代校長となった順心女子学園が母体です。国際化時代の多彩なニーズに応え、2007年に共学化。校名を広尾学園と改めました。教育理念は「自律と共生」。目標に達するために自分を律し、また他者と力を合わせる姿勢を培います。目標ごとに、文理の枠を超えて幅広く学ぶ「本科コース」、医学や科学に特化した「医進・サイエンスコース」、帰国子女受入れ指定校の実績を背景とした「インターナショナルコース」を設置。幅広いジャンルの専門家を講座に招聘する開かれた教育と、先端ICT環境や大学レベルの実験設備に定評があり、生徒の未来づくりに貢献します。
  • 開成中学校・高等学校

    理化学部の生徒が文化祭で発表をしている場面です。意欲的に研究をしたい生徒を資金面で後押しする仕組み(ペン剣基金)があり、その成果は毎年報告書にまとめられています。

  • 攻玉社中学校・高等学校

    国際学級を設置している本校が考えるグローバル人材とは、「日本の文化に対する深い理解を前提として、コミュニケーション能力・異文化理解の精神を身につけ活躍できる人材」 です。修学旅行では日本の歴史・文化・伝統を探究します。

  • 駒場東邦中学校・高等学校

    課外活動の一例~“ブラックジャックセミナー”です。中3の希望者対象に、隣接する東邦大学医療センター大橋病院の協力を得て外科医体験実習を行います。

  • 桐朋中学校・桐朋高等学校

    2020-21年度開講の特別講座「現代天文学入門」。プラネタリウムや口径40cmの反射望遠鏡を活用しながら、宇宙論や恒星と星間物質について整理し、最新の研究成果にも触れて宇宙の真理を学びます。

Q2 変わる教育

野水(開成)
 生徒一人ひとりが秘めている“尖った個性”を引き出すよう心がけています。その個性こそが政治、経済、科学、哲学、芸術等あらゆる分野で、新たな突破口を開く原動力になる。本校は教師も大学の研究者、小説家、アーティストなど“尖った”逸材揃いです。オリジナルの教材作成に努め、対等な対話を重視し、生徒の知的好奇心と向学心を刺激します。数学や情報の世界大会で金賞・銀賞受賞者を毎年のように輩出しているのも、その成果の表れでしょう。
 ボートレースや運動会、文化祭などの行事を生徒が自主運営する経験も見逃せません。6学年を通した縦の交流と、OBの応援の中で、協調性やリーダーシップが育まれていく。同時に独創的で多彩な仲間たちが合わせ鏡となって、自身のアイデンティティを見出すことが可能です。
 一昨日はこのコロナ禍の中、恒例の運動会を無事開催することができました。医療の世界へ進んだ卒業生がとても多いため、整形外科、内科、呼吸器科などジャンル別にOB会があるのですが、今回はOBと非OBの感染症科の専門家のアドバイスを仰ぎ、練習の段階からマスク着用と消毒を徹底することで、一人の陽性者も出すことなく乗り切ったのです。
岡田(攻玉社)
 世の中の風潮にあるように異質なものを排除するのではなく、一人ひとりの違いを認めて、互いに尊重する姿勢を大事にしたいと切に願っています。
 その試みの一つが帰国生を受け入れる国際学級。1学年240名のうち40名で、中学3年間は変わらぬ1クラスですが、部活動や行事は全校生徒で行いますので、文化の波及力は目覚ましいものがあります。算数の一教科入試も志願者が多く、一芸に秀でた生徒が加わります。多様性が担保された中で、互いに「切磋琢磨」し、将来の社会を担う若者に育っていく。それが本校の教育です。
 おかげで部活動も多彩で活発です。全国大会や関東大会に出場する運動部のほか、文化部もガンダム研究部、レゴ部、生物部などが校内外で存在感を示しています。男子校は女子生徒の目を意識する必要がないので、好きなことに没頭できるのでしょう。
 日常の授業で身に付けてほしいのはコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、質問力の3つ。失敗を恐れず不正解を正解に導く力へと昇華させます。高2からは進路に合わせ30人×8クラス編成とし、きめ細かな指導を行うことで、高い進学実績につなげてきました。
小家(駒場東邦)
 世界のあらゆる現象を、自分の感受性で冷静にとらえ、根拠をもって自分の頭で考えて自ら表現するという学びの姿勢を、生徒諸君に一貫して求めてきました。それが最も顕著に発揮されるのは、まず日々の授業です。創立当初から、理科実験や英語、数学で、学年によって1学級を分割する少人数授業を取り入れてきましたが、これも学習者の主体的な姿勢を引き出すための枠組みです。理科実験の授業では毎回自分の手で行った実験をレポートにまとめます。国語では年間10冊の文庫本を配り班ごとに研究発表します。大正の文豪から新進気鋭の作家までの作品に対峙して、自ら課題を設定して思索を深め、自らの言葉でアウトプットすることを求めます。社会では仮想政党を組織してマニフェスト策定から選挙までプロデュースしたり模擬裁判を行ったりといった取り組みを行っています。
 宿泊行事も段階的に学びが深まるよう配置しています。中1の「霧ヶ峰林間学校」では実地での観察レポート、中3の「奈良京都研究」では事前の文献研究と実地調査をベースに論文作成。高2の「修学旅行」は、目的地選定から行程の企画立案、事前学習の方法まで、すべて生徒が主体となって運営します。
原口(桐朋)
 「そこにいれば子どもが勝手に育つような場所をきちんと用意しておくこと」。哲学者の鷲田清一の言葉です。
 まさに学校の役目そのものですね。新校舎には4K規格の高精度画像が投影できるプラネタリウムや、口径40㎝の反射望遠鏡を備えた天文ドーム。6万5000冊の蔵書を擁する図書館はラウンジ席もあり快適。本物に触れ、学習意欲をかきたてる機会がふんだんに準備されています。
 教員も学問の面白さと学ぶ喜びを伝えるために、スキルアップを欠かしません。本校には教員を対象とした1年間の研修制度があり、各々専門分野の大学院や研究施設で積極的に充電しています。その成果は授業に加え、放課後の特別講座でいかんなく発揮。フィッツジェラルドの『グレイト・ギャッツビー』を原文と村上春樹の翻訳を対比して読み込む文体研究、正多面体の性質と展開図、江戸時代の日本の数学「和算」、映画論ゼミ……。本校OBであり、「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーを務めたJAXA宇宙科学研究所教授の津田雄一氏を「現代天文学入門」講座の特別ゲストに招いたときは大変な熱気でした。
杉山(武蔵)
 本物に触れることで幅広い教養、リベラルアーツを身に付け、「自調自考のエンジン」を始動してほしいと願っています。理数教育には定評があり、3年前には理科・特別教室棟を新築しました。物理・生物・化学・地学それぞれ独立した実験室・講義室を設けると共に、フーコーの振り子、天体ドーム、標本庫などを整備。研究のためにやぎも飼育しており、キャンパスのすべてが本質を追究する深い学びにつながっています。
 日常の授業では原典講読、論文・レポート作成、フィールドワークをはじめ、発表学習や討論学習など、探究的な学びが活発に行われています。高大連携のメリットを生かし、武蔵大学の講義も受講できます。教師陣もそのほとんどが大学院を修了。研究心があり、レベルの高い授業を行っています。また、1学年160名の小規模校のうえ、分割授業など少人数教育を積極的に取り入れています。生徒の好奇心を刺激する「わくわく」と、生徒間や教師との対話を重視する「わいわい」を大切にする教育方針は、昔から変わりません。
谷地田(北嶺)
 基本5教科の発展形として、7つのプログラムが用意されています。1つは英語と国際理解教育のための「グローバルプロジェクト」。高1生全員が渡米しハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の特別講座を受講。NY市内研修も行います。「サイエンスプロジェクト」は航空宇宙・自然科学分野に特化した教育でJAXAや高エネルギー加速器研究機構の研修やモデルロケット打ち上げ体験が可能。「メディカルスクール」は医学部進学希望者に応える実践セミナー。現役医師の講演会のほか大学病院や離島医療、救命救急医療の現場を訪ねます。
 「ロースクール」は社会の法体系やリテラシーを学び、裁判官、検事、弁護士などを目指す生徒を支援。「ビジネススクール」では第一線の経営者や公認会計士が、官僚機構、金融、起業など日本経済のリアルに肉薄。「プログラミングアカデミー」では、新時代のコンピュータサイエンスとプログラミング的思考能力を磨きます。さらに今年度からは、地元北海道の自然とフロンティア精神に迫る「HOKKAIDOプロジェクト」が始動します。
西村(海陽)
 ハウス(寮)を舞台とした「全人教育」を目指しています。各ハウスでは、父親にあたるハウスマスター1名と賛同企業から派遣されるフロアマスター2〜3名が生徒と寝食を共にし、その成長をすぐそばで見守ります。
 私自身は京都大学に在学中、アメリカンフットボール部に所属し、当時の監督から「人間力」の大切さや諦めない心など、今の私の礎ともなっている教育の哲学を学びました。銀行に7年勤めたのち、本校の設立プロジェクトに参画。開校時はハウスマスターでした。
 1学年120名、全校で720名。ハウスは12棟ありますので、60名ほどの生徒が同じ屋根の下で暮らすことになります。当然、人間関係のトラブルはありますし、個々人には学習や将来への不安・悩みなどがあります。でも、その中を皆で乗り越えていかなくてはなりません。「人は違って当たり前」という多様性を理解し、お互いが支え合う姿を見るのが何よりの喜びです。ここから異なる個をまとめられる真のリーダーを輩出していきたいと思います。
南風原(広尾学園)
 中高一貫の6年間は可能性に満ちた時期です。本校が用意した3つのコースには、それぞれに魅力を感じた生徒が入学し、専門性を高めていきますが、そこに閉じこもるばかりではいけません。部活や行事を通して互いに影響し合い、視野を広げ、柔軟に未来を拓くためのステージなのです。
 私自身は2年前まで東京大学の高大接続研究開発センター長を、その前は入試担当の理事として推薦入試の導入に関わってきました。広尾学園からも毎年のように合格者があり、探究心旺盛で独創的な生徒が多かったと記憶しています。縁あって校長に赴任してきましたが、生徒たちの特長は、本校の開かれたアカデミズムが培った美質なのだと納得しました。
 授業に加え幅広い分野の講演会、芸術鑑賞、海外の文化に触れる催しが多彩です。NASAの元宇宙飛行士ジョン・A・マクブライド氏の講演、DNA鑑定や病理診断などのサイエンス講座。日常生活では知り得ない世界に、生徒たちは目を輝かせています。

Q3 変わる教育と進路選択

野水(開成)
 昨年3月、新型コロナウイルス感染症の広がりに危機感を持った前任校長・柳沢幸雄先生が陣頭指揮を執り、ICTプロジェクトチームが発足。始業式直後から遠隔授業が可能になり、工夫満載の動画や、ZOOMなどによる双方向授業を提供。中間試験は遠隔で例年のスケジュール通り実施できました。
 将来の進路は生徒の自主性に任されていますが、海外大学を選択肢とする例が増えてきました。私は化学の研究者ですが、前職の名古屋大学では交換留学プログラムを設立・推進し、年間200名の留学生受け入れと50名の名古屋大学学生を送り出しました。日本の将来のためには、優秀な学生が海外に飛躍することが大事です。本校でもネイティブの教師の支援を受け、各国の大学とコンタクトをとり説明会を実施。高校の7,8限で毎日特別英語講座を開いており、英語の4技能を伸ばすことができます。
 ケンブリッジ大やエール大など、海外トップ大学に直接入学するにはTOEFL iBT®は100、IELTS™7.5レベルが必要。高校3年生の30~40名がこのレベルに到達しています。
岡田(攻玉社)
 グローバル人材育成のため、1982年から海外語学研修プログラムを開始。中3・高1の希望者を対象に、オーストラリアでホームステイを行ってきました。ただ、英語だけ得意でも国際人になれるわけではありません。むしろ自分の足元の日本文化や伝統をしっかり学んでこそ、発信力を高めることができます。修学旅行は以前から京都・奈良、伊勢神宮・鳥羽で、生徒は自主研修の資料を自作して臨みます。
 私の座右の銘は「一隅を照らす、これ即ち国宝なり」。比叡山(天台宗)の開祖、伝教大師・最澄の言葉です。その意味は、「片隅の誰も注目しないようなものごとに、ちゃんと取り組む人こそ国の宝」。コロナ禍の混とんとした時代に、今までの常識は通用しません。誰も気付かないことの中に、正解が隠れているかもしれないのです。
 生徒も教師も心を一つにして、未知なる本質を照らし、世界をより良い方向へ導いてほしいと願ってやみません。  
小家(駒場東邦)
 探究型の学びは、本校はまさにその実践の場として設立した学校ですので、新たな取り組みとは言えないのですが、その内容は常に新しい発見に満ちています。
 外に出て本物に触れるチャンスを増やし、授業での学びを総合化する力の涵養を心がけています。震災の復興現場訪問、東邦大学大橋病院外科を訪ねる「ブラックジャックセミナー」、「東京大学先端科学研究センター見学」などは、学ぶ動機を多角的に掘り起こしてきました。将来にわたり創造性あふれる仕事を展開するには、その根拠となるリアルな体験と感動が欠かせません。
 米国・スティーブン校、台湾・台南第一高級中学との交換留学は、オンラインでの交流を行っています。同窓会組織「全米邦友会」の協力を得た「NYプログラム」、SDGsを考える「ベトナム・スタディツアー」などとあわせて、コロナ禍がおさまり次第、再始動の予定です。
 大学入学はゴールではない。目の前の点数に一喜一憂せず、自分がいかに充実した学びを得たか問う自己評価を大切に、将来の創造的営みへと道を拓いてほしいものです。
原口(桐朋)
 「先行き不透明、かつ未曾有の国難。しかし歴史上、先行きが見通せ、スムーズに進んだ時代があったのでしょうか? いつの時代も一人ひとりが自分の役割を誠実に果たし、助け合いながら未来を拓いていったのだと思います。問題を解決してくれるヒーローを安易に待ち望んではなりません」といった内容を、10年前の卒業式で生徒代表が語っています。
 教育に於いても、万能の処方箋などないでしょう。私は生徒たちの命を慈しむ心に期待したいと思います。先般の学年企画行事では、子どもが生まれたばかりの若い教員と家庭科の専任教員の主導で、男子生徒のための「妊娠・出産・子育て講座」を開催しました。事前にドキュメンタリー映画を鑑賞。当日は7人の助産師さんに来校いただいて各クラスで講話を伺ったあと、総勢15組の赤ちゃんとお母様をお迎えしました。生徒は危なっかしい手つきで抱っこさせてもらい、出産・子育てに関するさまざまなお話をうかがいました。みんな「母は偉大!」と、自分が今生きていることに感謝でいっぱい。
 お母さま方からは「桐朋の生徒さんはとても紳士的」と過分な褒め言葉を頂戴しました。
杉山(武蔵)
 「思い切って外へ もっと先へ」。新生武蔵のグローバル構想を象徴するスローガンです。国内外の急速なグローバル化が進む現在、武蔵生がフロントランナーの自覚をもち、世界に視野を広げられるよう支援します。
 これまで取り組んできた第二外国語授業(独語、仏語、韓国朝鮮語、中国語)の延長上にある「国外研修制度」では、6ヵ国8都市の提携校で1~2ヵ月間学びます。また、在学中に海外サマーセミナーにチャレンジしようとする生徒や、海外大学への直接進学希望者には、その費用を一部負担する奨学金制度を新設。さらに、大学や学園との連携も武蔵の強みで、「IELTS™対策講座」や、英語で科学を学ぶ「REDプログラム」などへの参加とともに、学園国際部が行う個別相談など留学に向けた様々な支援も受けられます。
 2020年度は4人の生徒が海外大学に挑戦し、サウサンプトン大学(英)やミシガン大学(米)などに合格しました。
 ICTについても、コロナ禍をチャンスに変え、オンライン授業体制を構築しました。今後は生徒に一人一台のタブレットを持ってもらい、武蔵のアナログによる学びの良さをデジタルによってどう進化させられるか、みんなで知恵を絞っているところです。
谷地田(北嶺)
 21世紀を生きるこれからの生徒には様々な探究型、体験型の学びをさせたいと考えています。世界を知るためには、日本を知り、日本を知るためには自分たちがいる北海道を知ることも必要と考え、本年度始動したのが「HOKKAIDOプロジェクト」です。このプロジェクトを通じて、開拓者のフロンティアスピリットを学ぶと共に、中1時に雄大な大自然を体感してもらうべく、2005年に、日本で3番目に世界自然遺産登録がされた「知床」を探訪し、絶滅危惧種が生息する特徴的な生態系への理解を深めます。中2では独自の文化を維持してきたアイヌの人々を理解するため、白老町にあるウポポイ「民族共生象徴空間」へ。教科書だけでは知り得ないアイヌ独自の世界を五感で受け止めることができます。中3では道庁赤れんがの研修や道議会傍聴などで地方自治を学ぶ予定です。従来から赤平市でのロケット打ち上げ体験や北海道内の山々での全校登山を実施しており、最終的には道内最高峰の旭岳などを全員で踏破する経験もできます。
西村(海陽)
 今年度、教職員で31のプロジェクトをスタートさせました。たとえば人材教育成果の“見える化” です。学力と比べ人間力は数値化しにくいのですが、対人能力や問題解決能力、自己管理能力などいくつかの指標を設定し、指導に役立てていきたいと思っています。
 また、世界のボーディングスクールのように「アート」への造詣を深め、演劇や音楽、美術系など芸術に関心を持ちリベラルアーツにも通じる素地を築くことも大切な課題です。科学の甲子園、数学、化学、地学の世界大会、ロボカップジュニアなどで優秀な成績を修めるなど、理数系が強いという印象の本校ですが、他分野での活躍も徐々に増えています。
 国際交流は、英国イートン校、ハロウ校、ラグビー校でのサマースクール参加や、イートン校との交換留学、ギャップイヤー生の受入れなどの実績があります。さらに海外の提携校を増やし、ハウスにも多くの留学生を迎えます。日本に居ながらにして世界との距離が縮まることでしょう。
南風原(広尾学園)
 国際化教育の一層の充実を図ります。本校では「インターナショナルコース」の英語の授業に「本科コース」や「医進・サイエンスコース」から参加出来る取り出し授業の制度もあります。「医進・サイエンスコース」では修士や博士を修めた教員の下、専門学会からも評価を得るハイレベルな論文を執筆する生徒がいますが、コースを超えた学びにより海外大学でも即戦力となるでしょう。
 AP(アドバンスト・プレイスメント)の導入も進んでいます。これは米国の非営利団体カレッジボードが、高校生に大学の教養レベルのカリキュラムと試験を提供するもの。海外大学に進学したとき、そのまま単位として認定されます。その分、専門分野に集中できますし、在学期間が短縮できれば学費の節約にもなる。今年は延べ222名の海外大学合格者を出していますので、利用者は増えていくはずです。早期に本格的な学問に触れることは、進路選択の役にも立ちます。
  • 武蔵高等学校中学校

    中学2年生時の「みなかみ民泊実習」では、地域研究とあわせて民泊実習を行っています。実際に地域に入り、調査や稼業体験を通して地域の課題や解決策について考え、学びをつなげていきます。

  • 北嶺中・高等学校

    グローバルプロジェクトではニューヨークでの国際理解研修も実施。国連、メトロポリタン美術館、アメリカ自然史博物館などを訪問します。

  • 海陽中等教育学校

    科学の甲子園の準備をする生徒。夜も活動できるのが寮生活のメリットです。

  • 広尾学園中学校・高等学校

    広尾学園を会場に世界から170以上の大学が集結した海外大学フェア。広尾学園はSATの試験会場になっており、APの試験も実施されている。

Q4 メッセージ

野水(開成)
 学校行事、部活などで培われた先輩・後輩の絆は強く、OBはよきアドバイザー、ロールモデルとなっています。高1の「ようこそ先輩」企画では年5〜6回の講演・懇談会を実施。進路選択の羅針盤となっています。卒業生は誠に多士済々なのですが、あえて若手から“尖った個性”をあげるなら一人はクイズ王の伊沢拓司氏。クイズ研究会に所属し「全国高等学校クイズ選手権」史上初の個人2連覇を達成。現在(株)QuizKnockのCEO。まさかクイズで生計が立てられるとは思いませんでした。メディアアーティストの落合陽一氏もユニークな逸材。作品制作のほかコンピュータと応用物理を組み合わせた視聴触覚への情報提示や最適化計算などで、未来社会に寄与しています。
岡田(攻玉社)
 本校の生徒、OBの特長をあげるならポテンシャル(潜在能力)の高さ。一般企業に就職後、一念発起して医師や弁護士に転身した諸先輩も多く、医療現場で新型コロナウイルス感染症治療に尽力した教え子たちに、感謝しかありません。みんな“伸びしろ”がたっぷりあり、楽しみです。
 校訓の「誠意・礼譲・質実剛健」を体現した大先輩に、1945年、日本を終戦に導いた鈴木貫太郎総理大臣がいます。同年4月12日、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトの死去に際し、アメリカ国民に対し、深い哀悼の意を表明しました。それは世界各国で反響を呼び、その武士道精神と礼儀正しさに敬意を表す論評もありました。その軌跡を深く心に刻み、本校の生徒には「至誠一貫」を実践して欲しいと思っています。
小家(駒場東邦)
 本校には互いのこだわりを応援し、失敗を許容して、あくなき挑戦につなげる協心戮力の精神が生きています。大学卒業後も燃え尽きることなく、生涯をかけて学びを深め“なりたい自分”を達成していきます。
 出雲充氏は、バングラデシュの飢餓に胸を痛め「ミドリ虫で世界を救う」と、バイオベンチャー、ユーグレナを起業。優れた健康補助食品、ミドリ虫の培養に成功しました。危惧する声の多い中、本校の仲間たちは面白がって応援してくれたとか。近年はバイオ燃料の原料としても期待を集めています。一方、東大先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏は、透明人間になることを真面目に研究中。ヒトの生理的知覚と情報技術を融合させ「人機一体」のシステム構築で、バーチャルリアリティの新しい地平を拓いてきました。
 発見の喜び、人の役に立つ楽しさ。成功の根幹は本校6年間の日常体験にあります。
原口(桐朋)
 昨年の生徒会の活躍を報告させてください。本校の桐朋祭(文化祭)は通常6月に来場者1万人を迎える盛大なイベントです。コロナ禍で開催が危ぶまれる中、生徒会は他校との人脈を生かして全国規模で実態と対策の調査を行い、そのデータを基に実行委員会は我々教職員と交渉しました。その結果、9月に延期の上、飲食出店を中止し、来場者を在校生と家族に限定することでGOサインを出しました。代わりにバンドライブや展示をオンラインで実況配信し大好評を博したのです。校内はパーテーション設置、マスク着用を必須とし、場面によってはフェイスガードも義務づけ、消毒を徹底し、陽性者はゼロ。開催の可能性をあくまで追求した生徒たちの粘りと創意工夫に頭が下がります。
 政府による布マスク2枚の全戸配布時にも、生徒会の代表は、対象から外れるホームレスのために手作りマスク2700枚を用意する活動を立ち上げ、NPOの協力を得て無事手元に届けることができました。
「逆境のときこそ桐朋生はイキイキする」。若い力が漲っています。
杉山(武蔵)
 武蔵卒業生の特徴は、「独創的」で「柔軟」だと思います。自分の考え、意見を持っている。それでいて他者を受け入れる器の大きさがある。
 最新の学校案内では、3名のOBに登場願いました。1人は「はやぶさ」のカプセル回収を成功に導いたJAXA理事で、宇宙科学研究所所長の國中均氏。小惑星イトカワへの旅は2003年〜2010年、7年がかりのプロジェクトです。2人目はビルゲイツ財団リーダーシップチームで途上国へのワクチン分配に尽力している馬渕俊介氏。新型コロナウイルス感染症の大惨事を二度と起こさないための独立パネル事務局に、唯一のアジア人として参画しています。最後は日本の漁業を考え環境問題を解決しようと取り組んでいる日本漁業認定サポート代表の鈴木允氏。在学中は農業実習や重油流出事故現場でのボランティアに参加し、現在のエネルギーの源泉になったといいます。
「自調自考のエンジン」を装着した多くの卒業生が、多種多彩な分野で活躍しています。
谷地田(北嶺)
 北嶺には「北嶺ファミリー」という言葉があります。生徒の4割強が暮らす「青雲寮」をキーステーションに、同期生はもちろん、保護者、先輩、教職員は家族。楽しい時は喜びを分かち合い、苦しい時は助け合う。人生の宝物だと思います。
 生徒が進路を考えるとき、もっとも強力なサポーターはOBです。「グローバルプロジェクト」のハーバード大学やMIT訪問では、ワークショップなどを支援してくれますし、「首都圏難関大学ツアー」でも案内役や相談役を買って出てくれます。
 医学部進学者が3割を超えますから、その人脈でさまざまな医療体験も可能に。月に1度の講演会で産婦人科の医師に講演をお願いし、さらに帝王切開の手術見学までさせていただきました。命の誕生に感激した生徒から、産婦人科希望者が続出です。成績がいいから、といった脆弱な動機では医師は務まりません。寮でも卒業生の医学部生が後輩を指導するチューター制を導入していますが「北嶺ファミリー」の結束力に改めて感謝です。
西村(海陽)
 卒業した1期生がまだ28歳と若い学校ですので、気質を語るにはあと20〜30年が必要でしょう。
 卒業生の感想で面白いと思うのは、大学生が「海陽で生涯の友ができた」と言い、社会人は「意見の合わない子、嫌いな子でも協力しなければならなかった経験こそが重要」と言います。これらから、他人に対し深い関わりを求め、かつ寛容になれる傾向があるのではないでしょうか。
 大学卒業後の進路は、トヨタ自動車など協賛企業への就職が25%ほど。フロアマスターから会社の実体験を聞いていますから、親近感があるのかもしれません。また経済のリアルな情報に触れる機会にも恵まれているため、学生時代に起業するケースも目立ちます。また、宇宙飛行士やレーサー、デザイナーをめざす生徒もおり、それぞれの道で社会貢献を果たしてほしいと思っています。
南風原(広尾学園)
 知性と品格ある生徒を育てたいと思っています。英語も日本語もきちんと文法を学び、折り目正しい表現を身に付けること。言語は人間性を表出する大きなファクターであり、海外へ出たときは評価を大きく左右します。
 知性と品格は、他者に対する寛容と思いやりでもあります。先日、あるマンションの清掃の仕事をされているという高齢の女性の方からお手紙をいただきましたが、本校の生徒が、通学の途中でいつも気持ちよく声をかけてくれて、自分が手首を痛めて不自由だったときには、何日間も大きなゴミ袋の運び出しをしてくれた、と感謝が綴られていました。本校が大事にしていることが浸透してきているようで、うれしかったです。
森上
本日はありがとうございました。
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学校紹介

  • 開成中学校・高等学校

    進取の気性と自由の精神
     本年、150周年を迎えた開成。新築となった高等学校校舎と体育館が生徒諸君を迎えます。校名の由来は中国の古典『易経』にある「開物成務」。すなわち一人ひとりの個性と素質を開花させ、社会の中で務めを果たす人間を育てる教育がモットーです。将来は政治、経済、科学、哲学、芸術などあらゆる分野で新たな突破口を開き、国際社会に大きく羽ばたくことが可能になります。そのために教師も柔軟な発想を持ち、教材も指導法にも工夫を凝らし、生徒の知的好奇心と向学心を刺激することが肝要。数学オリンピックや情報オリンピックの世界大会で、毎年のように金賞・銀賞受賞者を輩出しているのも、その成果の表れでしょう。
     ボートレースや運動会、文化祭などの行事を生徒が自主運営する経験も見逃せません。6学年を通した縦の交流とOBの応援で、協調性やリーダーシップが育まれ、同時に自分のアイデンティティを見出す契機ともなっています。
  • 攻玉社中学校・高等学校

    誠意・礼譲・質実剛健
     江戸末期の蘭学者で、のちに明治の六大教育者に数えられた近藤真琴の私塾をルーツとする伝統ある男子校。校名は『詩経』の「他山の石以て玉を攻(みが)くべし」から引用しており、周りの人から刺激を受け、自分を伸ばす「切磋琢磨」を教育の柱としています。
     1990年から帰国生を受け入れる国際学級を各学年1クラス設置しました。生徒は部活や行事を通じて多様な文化と価値観を共有。算数の一教科入試を突破した個性派も加わり、潜在能力が磨かれていきます。
     授業ではコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、質問力の3つに重きがおかれ、失敗を恐れず不正解を正解に導く力へと昇華されます。この力が不透明な時代の中、物事の本質を見極め、社会をより良い方向へ導くよすがとなるでしょう。
     高2からは適性に応じた30人×8クラスの少人数教育できめ細かな指導を行い、高い進学率を誇っています。
  • 駒場東邦中学校・高等学校

    自ら考え、自ら行動する
    「自主独立の気概」と「科学的精神」を養うことで、人類の福祉を高める仕事に活躍できる、有為な人材を育てることを目標に創立。将来の明るい夢に向かって邁進するように、若い生徒たちを鼓舞しています。
     学びのモットーは「自ら考え、自ら行動する」こと。与えられた課題を単に消化するのではなく、自ら課題を設定。問題点を発見し、思索を深め、学習者同士の検討を経て、自分の言葉でアウトプットする。まさに探究的な学びで時代を先取りしてきました。
     英語、数学、理科実験は分割少人数教育の採用で、主体的な学習参加の場に。系統的に配置した学校行事でも、実践を通して主体性が磨かれます。課外活動は本物に触れることを目的に、自然観察、震災復興地研修、連携する東邦大学医療センター大橋病院のブラックジャックセミナーなどがあり、自分の未来像を探る手がかりとなるでしょう。
     国際感覚を養うため交換留学生基金を設置。米国や台湾留学や、NY短期研修プログラムが提供されています。
  • 桐朋中学校・桐朋高等学校

    理想的な環境で深い学び
    「そこにいれば子どもが勝手に育つような場所をきちんと用意しておくこと」。学校の役目を言い当てた哲学者、鷲田清一の言葉通り、本校は東京・武蔵野の豊かな自然の中に設立されています。
     教育目標は「自主的態度を養う」「他人を敬愛する」「勤労を愛好する」の3つの精神。
     充実した設備に定評があり、4K規格の高精度画像が投影できるプラネタリウム、口径40㎝の反射望遠鏡を備えた天体ドーム、6万5000冊の蔵書を擁する図書館。本物に触れ、学習意欲をかきたてる機会が用意されています。
     教員も学問の面白さと学ぶ喜びを伝えるためにスキルアップを欠かしません。本校には教員を対象とした1年間の研修制度があり、各々専門分野の大学院や研修施設で積極的に充電しています。
     授業に加え、放課後の特別講座もハイクオリティ。翻訳と文体、医学の基礎としての生物学、和算を学ぶ、多面体作り、映画論などを多彩に渉猟し、生徒を飽きさせません。
  • 武蔵高等学校中学校

    自調自考のエンジンで世界へ
    「東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物」「世界に雄飛するにたえる人物」 「自ら調べ自ら考える力ある人物」の三理想を掲げ、1922年に旧制7年制高校として創立。来年の100周年を節目に「新生武蔵」は、次の100年を見据え、新たな進化をめざします。
     本物に触れ、幅広い教養=リベラルアーツを身に付ける教育が特徴的。緑豊かなキャンパス全体が本質を追究する深い学びの場に。各教科で分割少人数の授業が導入され、原典講読、論文・レポート作成、フィールドワークなど、発表学習や討論学習、探究活動が活発に行われています。教師陣との距離も近く「わくわく」「わいわい」体験に満ちた毎日が待っています。
     グローバル教育も進化。伝統ある第2外国語学習、6か国の提携校との交換留学に加え、国内外での自主活動チャレンジや海外進学への奨学金制度が新設されました。
  • 北嶺中・高等学校

    めざすなら高い嶺
     札幌郊外の自然豊かな環境下にある、完全中高一貫の男子校。1学年少数精鋭の120名、その半数は学習サポートが充実した青雲寮に入寮。開校時より、未来のグローバルリーダーとなる人材を育成するとともに、知・情・意・体のバランスのとれた人間形成を行っている。
     近年は、探究型の学習を重視し、生徒の好奇心や探求心を大切にした「7つの特別プログラム」を実施。その内容の一例を挙げる。①グローバルプロジェクト:ハーバード大学・マサチューセッツ工科大学での特別研修、ニュージーランド語学研修 ②サイエンスプロジェクト:JAXA・NASA研修 ③メディカルスクール:医師による講演・座談会、離島や地域の病院における研修 ④プログラミングアカデミー:NEC専門家の指導によるプログラミング実習 ⑤HOKKAIDOプロジェクト:知床探訪・アイヌ文化理解(ウポポイ研修)などに全員で取り組む。授業と連動させることで、思考力・表現力・判断力の育成を行うとともに、生徒が進路を考える機会にもなっている。
  • 海陽中等教育学校

    全寮制で規律ある全人教育
     三河湾を臨む広大なキャンパスに建つ、中高一貫の全寮制男子校です。バブル経済崩壊後、危機感を抱いた中部経済圏の財界から、トヨタ自動車、JR東海、中部電力を筆頭に約80社の企業が賛同。「日本の将来を牽引する人材」育成を目標に、2006年に設立されました。モデルは英国で19人の歴代首相を輩出した全寮制パブリックスクール・イートン校。教育・学業の場だけでなく、家庭であり、社会であり、遊び場でもある“ハウス”での規律ある共同生活は、社会性や協調性、リーダーシップなどを涵養する基盤となっています。
     ユニークなのは各分野の企業から、若手社員が「フロアマスター」として数十人派遣されること。生徒たちと寝食を共にし、勉強のサポートを始め、頼りになるアドバイザーに。企業人としてのリアルな体験談や経済界の情報は、この上ないキャリア教育です。
     今後、提携校からの留学生を増やし、ハウスを国際理解教育の場としていく計画です。
  • 広尾学園中学校・高等学校

    「自律と共生」の精神を涵養
     教育理念の「自律と共生」は、目標を達成するために自分を律し、また他者と力を合わせて学ぶ姿勢を示します。国際化時代の多様なニーズに応えるため、文理の枠を超えて幅広く学ぶ「本科コース」、医学や科学に特化した「医進・サイエンスコース」、帰国子女受入れ指定校の実績を背景とし、英語で学ぶ「インターナショナルコース」を設置。各自が目標とする専門性を高めていきます。
     医進・サイエンスコースでは大学の研究室レベルの実験設備で本格的な研究活動が可能です。インターナショナルコースでは海外大学教養講義レベルのAPの授業が展開され、今年度は海外大学に過去最多となる延べ219名の合格者を輩出。
     一方、「本物との出会い」をテーマに、落合陽一氏や元宇宙飛行士ジョン・A・マクブライド氏、山崎直子氏らを講演会に招聘。DNA鑑定講座や病理診断講座をはじめとした日本の中学・高校のレベルを超えたプログラムが展開されています。

座談会を終えて

 この「東大・医学部・海外大学進学実績校編」座談会は、各学校様のご協賛を頂き、2005年から開催してまいりましたが、昨年より朝日新聞出版のニュースサイト「AERA dot.」で紹介することになりました。
 5月11日には、万全の感染対策を施して一堂に会し開催致しました。名門の私立中高が確固たる建学の理念の下、将来を見据えてどのような取り組みをされているのかを、各校のトップから直接お話しいただき、中学受験を考える保護者や受験生に紹介する内容になっております。
 元々のテーマ「選ばれる私学 子どもの力を伸ばす偏差値プラスアルファの教育」だけでなく、各校がこの事態にどのように対応しているのか、また変わる教育、変わらない教育についても語っていただき、改めて私学の力強い取り組みに共感を致しました。司会進行を担当していただいた森上先生をはじめ、参加校代表者の先生方、広報担当者、取材スタッフの皆様のご協力のおかげで、企画が実現できたことに心より感謝しております。
株式会社シーエム