昭和女子大学の附属校である本校では、「センス・オブ・ワンダー(自然界の神秘や不思議に目を見張る感性)」を育成する教育に力を入れてきました。医療系や理数分野に興味を持つ生徒も多いため、中学3年から選択できる「スーパーサイエンスコース」を2018年度に開設しましたが、今年度からこれを中学1年の入学段階に前倒ししています。小学校の頃から、自然科学に関心がある子供たちの受け皿になり、さらに学力を伸長する場になることを目指しています。
カリキュラムでは徹底的に基礎学力を固めながら、実習・実験を採り入れて自然科学的見方、考え方を高められるように配慮。まず、理科では中1から高1までに生物、化学、物理の基礎科目を修了。総合的な学習においては、自然科学の研究についての技能を実践的に学び、個人研究を進めます。この個人研究では同じ敷地にある昭和女子大学の高度な研究設備を使用することも可能です。個人研究の成果は学内だけでなく、外部の発表会でも発表します。
また、高1で取り組む実験演習ではテーマなどの大枠は教員が提示しますが、具体的な実験方法は生徒自身が考えます。実験が思うように進まないことも多々ありますが、クラスメイトと議論しながら試行錯誤する中で自然科学に取り組む際に必須となる考え方を身につけます。また、中1からプログラミングを履修し、数学も中3から数Ⅰを履修します。
学外での学びも多彩に用意しています。メインとなるのは中3秋に行う鹿児島県・屋久島研修です。世界自然遺産に指定されている大自然のなかでフィールドワークを行い、現地のガイドの話を聞いて、独特の生態系を学び、その維持方法を考えます。
昭和大学との連携も特徴の一つです。昭和大学は医療系の総合大学であり、例年、本学からの進学者も少なくありません。救急救命の体験授業などの様々な特別授業を行っています。
将来は特に自然科学の様々な領域で活躍することでしょう。これからも生徒自身の興味・関心を深められるように学びの環境をさらに充実させる方針です。
英語は国語や社会と違って、中学で初めて出合う教科です。ですから、本校ではまず中1の入り口段階で英語はどんな教科なのか、どのように勉強していけばいいのか知ることを重視しています。学習の全体像を最初にきちんと把握しておくと、自立的に英語学習に取り組む姿勢が身につくからです。語彙の習得や発音練習など、英語では積み重ねがとても大切であり、授業以外に自ら学ぶ習慣を身につけることが重要なのです。例えば、毎回の授業で英単語を15個覚えて、小テストを行います。中学校での必修単語は1500弱とされますが、本校の生徒なら中1でこれをクリアできる計算です。また、スピーチや英作文など、英語のアウトプットも重視。間違いをおそれず、自信を持って堂々と発表できるようになることを目指します。
本校独自のイベントに、中学での「レシテーションコンテスト」高校での「スピーチコンテスト」と、「Global 3Day Program」があります。レシテーションとは暗誦という意味で、クラスの代表者がそのスピーチ力を競います。
Global 3Day Programは中1から高2までの全員参加で、3日間にわたりネイティブ講師とコミュニケーションをとりながら、英語力を高め、異文化理解を深めます。テーマは学年によって異なりますが、3日間にわたり、英語でのディスカッションを通して自分の考えを深め、最終日に英語で発表します。最初は戸惑う生徒が少なくないですが、高2ともなるとすっかり慣れて、どんどん率先して発信するようになる。その成長ぶりは目覚ましいですね。
数年前からオンライン英会話を採り入れているほか、昨年からは「ELST®」という音読採点アプリも導入しました。これはAI(人工知能)が生徒のスピーキングを自動判定するもので、学校からIDを配布。声を出して英語を読む練習は一人ではなかなかやりづらいですが、このアプリがあれば、何度も練習して苦手を克服することができ、達成感を得られます。
このように本校では英語教育に力を入れていますが、これは理念である“Be a Messenger”に基づいています。「語ることばを持つ人になれ」と訳されますが、英語という言語を通じて多くの人と信頼関係を築き、社会に貢献できる人材になってほしいと願っています。
本校は明治38年(1905年)に創立された女子の伝統校です。真面目で素直な生徒が多いのですが、これからのグローバル時代に自立した女性になるには、語学力と探究心が不可欠だと考え、私が校長に就任した2015年以降、様々な改革に取り組んできました。
最初に行ったのが英語教育の刷新です。「アクティブイングリッシュ」と名付けて、英語の4技能(読む、聞く、話す、書く)をバランスよく習得できるメソッドを取り入れました。例えば、毎朝10分間、英語を音読する時間を設けておりますが、これによって年間で教科書を30回復習することになります。このアクティブイングリッシュを導入後、英検合格率が飛躍的にアップしています。
次に取り組んだのが日本語力の向上です。国語の授業とは別に全教員で、毎月1本ずつ800字程度の作文を書く指導をおこなっています。継続的に練習をすることで、大学受験の小論文対策につながるほか、就職後も役立つスキルになります。
そして、今年度からスタートしたのが理科の「アクティブサイエンス」です。教科書には載っていない実験に取り組む探究学習を取り入れ、理科への苦手意識を払拭しながら生徒の知的好奇心を刺激したいと考えています。
来年(22年)度から、現状のコース体制から「国際」「探究」「先進」の3コース制に再編します。
このうち国際コースは従来の国際科を継承するものですが、必修となっている海外留学の期間をこれまでの1年に限定せず、3か月や6か月も選択できるようにします。また、探究コースでは企業とのコラボ授業やPBL(課題解決型授業)を多数実施して、課題解決型のスキルや表現力を磨きます。そして、先進コースはリベラルアーツ(教養教育)を意識し、文理バランスのとれた科目構成にする予定です。中高一貫校ですが、中学ではあえてコース制は採らず、各コースの要素を取り入れながら、バランスよく学んでいきます。たとえば、中2では全員参加の「国内サマースクール」があり、ネイティブスピーカーに地元・深川を案内しますが、この経験をきっかけに英語力を高めようと国際科に進む生徒も少なくありません。また、探究学習の土台となるテーマの見つけ方や調査方法、発表方法なども中学で練習します。
このように中学では土台となる各教科の基礎基本を徹底しながら、将来の可能性を広げるべく幅広く経験し、その中で自分の興味・関心を見極めて、高校進学時のコース選択につなげてほしいと考えています。
※本コンテンツに記載されている商品名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。