よしおが中学生のとき、友だちにそそのかされて、休み時間に突然隣のクラスに行ってCHAGE and ASKAの「YAH YAH YAH」って曲を歌い出す、っていう遊びをやっていた。友だちが爆笑しているのがうれしくて嫌な顔をしている人のことは何も考えてなかったなあ。もしかしたら邪魔してくる子にも、遠くから笑ってくれる友だちがいるのかもって思ったよ。

 だから、ふざけているときにワーッて注意されても、それさえもあまり耳に入らないんだよね。聞いてないし覚えてないみたいな。あおちゃんはがっかりすると思うけど、邪魔をしている側はそんな状態なんだよね……。

■「注目してほしい」だけかも

 ふざける側の気持ちをもう一つ言うと、邪魔したりちょっかいをかけたりするときって、自分に注目してほしい、って気持ちもあるんだ。小学3年生だと、コミュニケーションの取り方がまだわからない子も多いと思う。コミュニケーションを取りたいけど、どういうふうに接したらいいのかわからなくて邪魔しちゃうんだよね。嫌がられていること自体がコミュニケーションだって勘違いしちゃって、なかなかやめられない……。よしおもそういうタイプだったから、邪魔する子の気持ちがわかるんだよね。

 じゃあどうするか、ってことなんだけど、まず一つが、スポットライトを浴びていない平常心のときに、冷静なトーンで「いつものあれさ、やめてくれないかな」って言ってみる。あおちゃんが普段どう注意しているかわからないけど、相手は周りの声が聞こえないくらいふざけていて、あおちゃんも怒った口調で「やめてよー!」って言っていたとしたら、熱と熱のぶつかり合いになっちゃって気持ちは届かないのかな、って。冷静に言われると深刻さが伝わって「やべっ」って気持ちにもなりやすいと思う。

 そしてもう一つ試してほしいのが、受け入れること。「今から歌うから好きにしていていいよ」って、邪魔してくる前に受け入れちゃうんだ。その子がよしおと同じ天邪鬼タイプだったら、そう言われると逆に引いちゃって「何もやらないよ!」ってなる可能性が高いのかな、って。みんなが嫌がるのが楽しくてやっているとしたら、受け入れられたらつまんなくなっちゃうもんね。

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