「子どもが勉強に取り掛かるまでに時間がかかる」「なかなか集中しない」「学習道具が片付かない」……など、悩みが尽きない学習スペース。夏休みを前に、一度見直してみませんか? 子どもの特性に合う学習スペースのつくり方などについて、教育家の小川大介さんに聞きました。現在発売中の「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から抜粋してご紹介します。

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■子どもを観察すると、解決法が見えてくる!

 きょうだい仲良く勉強できるように机を並べたり、集中できるように個室を与えたり、学習道具をまとめるケースを用意したり……。親は子どもが勉強しやすいように、あれこれ考えて学習スペースを確保していることでしょう。

 それなのに子どもの学習がうまくいかないとしたら、それは子どもが「どこか居心地の悪さ」を感じているからではないでしょうか。

「子どもって、自分がどうしたら気分よく学習できるか、じつは無意識だけどわかっているんですよ。ただそれを親に説明できないだけで、行動で示しているんです。親は子どもをもっとよく観察し、特性に合うようにスペースを整えてあげれば、学習環境は必ず改善できます」と話すのは、教育家の小川大介さんです。

 その特性を知るには「視覚、聴覚、身体感覚のどの感覚からの情報に反応しやすいか」を観察することがポイントだと、小川さんは言います。

子どもの「タイプ」ごとに考える勉強の向き合い方のポイント
子どもの「タイプ」ごとに考える勉強の向き合い方のポイント

 ただ注意したいのは、どれか一つのタイプだけで100%ということはありません。複数のタイプが交じっているなかで、どのタイプが「比較的優位か」という視点で観察することが重要です。

「“うちの子は〇〇タイプ”と断定して、“だから家の中をどうすればいいのですか?”と、すぐに子育てのベストを求めようという発想になるのはとても危険です」と小川さんは続けます。

 感覚タイプはあくまでも子どもの情報の受け取り方の「くせ」であり、どのタイプがいい、悪いはありません。親は子どもの感覚タイプを知り「それならこのほうが集中しやすいのでは?」「学習に取り掛かりやすいのでは?」と試行錯誤することが重要なのです。

「例えば余計な情報が目に入らないようにとか、気になる物音が耳に入らないようになど、目の前の子どもに合わせた対策を考えていきましょう。そうすれば落ち着いて集中できるようになり、学習能率も上がります」と小川さんは話します。

※「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から抜粋。本誌ではこのほか、3組の親子の「学習環境改善リポート」を紹介しています。

(取材・文/船木麻里)

小川大介さん
小川大介さん
AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2023年 夏号 [雑誌]

朝日新聞出版

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2023年 夏号 [雑誌]
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船木麻里
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