読書離れが進むといわれる今どきの子どもたち。本を読んでほしいけれどなかなか定着しないというご家庭に、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を立ち上げた笹沼颯太さんが、子どもを本好きにする方法をアドバイス。笹沼さんは「読書って、本を読むことだけではないんです」と話します。それはいったいどういうこと……?

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本について「話す」ことから始めてみよう

――小さいときはよく絵本をながめていたのに、小学生になってどんどん本から遠ざかってしまった……という声をよく聞きます。

 年齢が上がるにつれて、本を読まなくなってしまうという悩みは、僕たちもよく耳にします。でも、その子どもたちは、本を「つまらないもの」だとは決して思っていないはずです。単純に、動画など「本よりラクで楽しいもの」がどんどんまわりに増えてきているだけで、ちゃんと読書の土台はあるのです。

 そんな子どもたちを読書に向かわせるのに、前回もお話ししましたが「読み聞かせ」はひとつのいい方法です。

 読み聞かせでは、なんといっても親子が純粋に楽しむことが大切です。「本って楽しいものだな」というイメージを持ってもらうことが大前提なので、「自分から本を読む子どもになってもらおう」などの下心があると、子どもに伝わってしまうものです。まずは楽しい気持ちになること。そのほうが、確実に続きます。そして、「読み聞かせの時間が好き」なら、子どもは本を好きになっていくものです。

 でも、僕らはよく「そもそも、皆さんは本を読んでページをめくる、その瞬間のことしか考えていないのかも……」と話しています。

――ページをめくる、その瞬間……?

 「読書」とは、本を手に取って、文字を目で追うことだけではないということです。

 たとえば、誰かから本をすすめられる瞬間、どこかで本を見つける瞬間、学校からの帰り道でふと「さっき読んだあの本、こんなこと書いてあったな」なんて思い出したり、親子で本について話したり…とにかく、本について見たり考えたり、話したりする時間のすべてが「読書」にまつわる時間。読書を指導するうえですごく大事なことなのです。

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笹沼颯太
笹沼颯太

Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「Yondemy」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る24歳。

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