「こういった背景やニーズから、通学型のフリースクールを運営している団体が、オンラインでも参加できるように環境を整えてサービスを拡大していったといえます。弊社も含めてコロナ禍の2021年以降、新規参入の話もよく聞きますね。企業が運営するメジャーなスクール十数校以外に個人が運営するところもあるので、正確な数は把握できませんが、かなり増えているなという感覚があります」

オンラインフリースクールってどんなところ?

 これまで見過ごされていた不登校家庭にも、学びの機会を届けられるようになったオンラインフリースクール。実際にはどのような授業が行われているのでしょうか。

 「オンラインフリースクールは従来のフリースクール同様、定められたカリキュラムなどはありません。スクールの教育方針により活動内容もさまざまですが、基本的には子どもの自主性を重視した教育が行われています」(小助川さん)

 オンラインであることの最大の特徴の一つが、メタバースを活用した取り組みを行っている点です。

 「近年、『メタバース登校』という言葉も生まれていますが、仮想空間の中にキャンパスがあり、そこへ子ども自身がアバターとして通い、授業を受けたり、さまざまな活動に参加したりする。ホームルームや部活動があるスクールもあり、まるで本物の学校のようです。ICT教材を使って自分のペースで勉強を進めたり、オンラインゲームで友達と遊んだりできるのもオンラインならではの活動といえますね」(同)

 また、NPO法人全国不登校新聞社代表の石井志昂さんもこう言います。

「『メタバース登校』と聞くと遠い世界のように感じるかもしれません。ただ、今では12人に1人が通信制高校に通う時代。オンライン中心で学ぶ子がいるのは当たり前になりつつあり、『特別な世界』ではないでしょう」

 気になる1日のスケジュールは、子どもの状況によるものの、平日10時ごろに“登校”し、16時ごろに“下校”するのが一般的。午前中は5教科(4教科)の学習を中心に一人ひとりが自分のペースで学習し、お昼休みを挟み、午後はゲームやイラスト作成など好きな活動に参加したり、スタッフとの面談やSNSで仲間と交流したりして過ごすそう。

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