小中高の12年間一貫教育校で過ごした卒業生の多くは、自分の生きたい人生を生きています。医師になったり、俳優になったり、スポーツ科学を学びたいとアメリカの大学に進学したり、英文学科で学びながら空間デザイナーをめざしたり、自信を持って自分の生き方を貫く姿には深い感動を覚えます。高校時代にボランティアに参加したり、小児がんや白血病などの病気で髪の毛を失った子どもたちに対し、医療用ウィッグを無償で提供するヘアドネーション活動を立ち上げたり、在学中から独立心を持って自分がやりたいことに打ち込む先輩も少なくありません。

そうした心の強さや生きていくたくましさは、初等部のうちから育まれます。学校生活の大半を英語で過ごすイマージョン教育の環境において教師陣の国籍は多様で、さまざまな価値観があっていいという考えを根づかせ、自分自身が大切にすることに力を入れる姿勢を養っていきます。私たちの学校は中等部から世界的に有名な教育プログラムである国際バカロレア機構の認定校となっており、探究心やコミュニケーション力、思いやりや挑戦する心といった非認知能力を伸ばす学びは、初等部のうちから子どもたちの自立心を強めてくれています。「あなたはどう考えるの？」と絶えず問われる子どもたちは必然的に主体性を増し、自分で決定する力を身につけていきます。そうした自己決定の繰り返しが、心の強さや生きていくたくましさにつながっているのでしょう。

子どもたちが主役のアクティブラーニングも自立心を高めています。理科の授業では実験の方法からグループで考え、天気予報を自分たちで作成。社会の学びでは環境問題を題材にニュース番組をつくる機会もあります。その過程では「クリティカルシンキング」が求められ、子どもたちは何事も多角的に捉え、比較分析し、時にはたどり着いた答えを見直し、論理的に伝える時間を重ねることで思考力を育み、自分なりの考えを持つ重要性を実感していきます。

2024年12月には設立から20周年を迎えます。近年は教育関係者に加え、新しい学校を立ち上げたい自治体からの見学も増えてきました。それだけ私たちの教育が評価されているのだと感じており、今後は英語力や思考力、心の強さや生きていくたくましさなどを育む環境をさらに充実させていきたいと考えています。