むしろいい意味で尖ってほしい、と私たちは考えています。「好き」や「得意」は前向きな自己形成や抜きん出た個性につながっていくからです。ピアノに打ち込みアジア大会で金賞を取った3年生や英語に自信を持ち国連本部で英語のスピーチを行った4年生、プロの将棋棋士になった卒業生などが好例でしょう。図工で力を発揮する子もいれば、作文が上手な子もいます。330人の児童を34人の教師で見守る家族的な環境で、私たちは個々の輝きをさらに増してあげたいと思っています。

本校には「好き」や「得意」を子どもたち同士も期待し合う雰囲気があり、その関係が各々の自己肯定感を育んでいきます。「好き」や「得意」の自信は多くの場面での積極性を生み出し、自分に対する希望は失敗を恐れない姿勢を強めていきます。私たちは「失敗を恐れず冒険ができる子」を育てたいと考えており、仲間と強めていく自己効力感は、冒険や挑戦には必須の「わくわく感」を楽しみ、何事にも意欲的に取り組む姿勢となっていきます。宿泊行事を含む体験学習を1年生から多く設けているのも、たくましい「冒険力」を身につけてほしいからです。

2024年度から、2学期と3学期の始まりにそれぞれの通知表を見るのがさらに楽しみになりました。1学期と2学期の所見を子ども自身が書く仕組みを導入したからです。先生との面談も参考に、子どもたちは自分の得意や苦手を振り返り、今後どうしたいか、あるいはどうすればいいかを文章にして「見える化」します。自ら書いた通知表は自分の処方箋となるはずですし、自身と向き合うことで、早くから「自走力」が養われる成長を期待しています。

中学受験でも自走力を大切にしています。「学ぶことは楽しいことです」という考えのもと、偏差値による学校選びではなく「好き」や「得意」を追求できる進路を自ら決めてもらうのが基本です。自分の人生は自分で決めていく心の強さを身につけてほしいというねらいもあります。中学受験に関しては４年生から一人ひとりの夢に寄り添った進路指導を始め、個々の習熟状況に合わせた放課後補習も行っています。

「好き」や「得意」と、「冒険力」や「自走力」を心の軸に、笑顔で未来へと歩んでほしい。豊かな人生への土台を確実につくりあげていくことが私たちの大きな生きがいです。