わが子が私立小学校の受験に挑む際、
英語教育をはじめ、どのような要素に注目すれば良いのでしょうか。
『英語に強くなる小学校選び 2023』では
約20校の私立小学校の取り組みを取材しました。
わが子がいきいきと伸びる環境を見つけたい──
そうした希望に応えるべく、
「賢い私立小学校選び」という視点を紹介します。

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文・構成/菅野浩二(ナウヒア) デザイン/CS:Design、ナウヒア 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ
企画/AERA dot.ADセクション、株式会社シーエム 写真/平野晋子(森上さん)

賢い私立小学校選び

わが子が伸びる学び舎はどう見つければ良い?
小学校を受験する前の重要ポイントを紹介

わが子に合った私立小学校を選ぶには、
どのような視点が有効なのでしょうか?
教育コンサルタントの森上展安さんに話を聞きました。

森上 展安

森上教育研究所
教育コンサルタント森上 展安(もりがみ・のぶやす)

1953年生まれ。早稲田大学法学部卒業。東京第一法律事務所勤務を経て都内で学習塾「ぶQ」 を経営後、88年に(株)森上教育研究所を設立。教育分野の調査・コンサルティング、講演、執筆等を行う。

ICT教育と英語教育の充実ぶりは魅力

 小学校受験を主導するのは保護者に他なりません。  当然ながら、生まれてまだ数年の子どもたちが自分の意思で受験を希望したり、志望校を選択したりすることはありません。小学校選びは、それから続く学習生活のスタート地点を決める作業であり、だからこそ保護者が担う役割は大きいと言えます。しかるべき判断や適切な情報収集が重要になってきます。  私立小学校にはさまざまな魅力があります。具体的な授業内容で言えば、パソコンやタブレットを活用したICT(情報通信技術)教育や、ネイティブの教員から学ぶ英語教育は特に充実しています。テクノロジーの発展による第4次産業革命を生きていくうえで必要なICTの知識と技術、あるいは国境を超えて関わり合うグローバル社会で活躍するための不可欠な英語に、小さなうちからふれられるメリットは決して小さくありません。  ほかにも、協調性や礼儀作法などを見る行動観察を含む試験を突破した子どもたちが集まる環境は私立小学校の特色です。入学してすぐに先生の話をしっかりと聴ける態勢が整っている面は魅力と言えるでしょう。また、多くの私立小学校では、勉強、学校生活、運動、趣味など、幅広い分野で子どもが輝ける場面があり、自己肯定感が高まりやすいと言われています。  高校卒業までの12年間一貫教育の一部である私立小学校も少なくありませんが、その場合、自ら選ばない限り、中学受験や高校受験のための勉強に時間と労力を割く必要がありません。その代わりに、趣味や好きなスポーツ、興味関心のある勉強などに打ち込むことができます。そうした精神的余裕が生まれる状況をメリットと感じるご家庭もあるでしょう。  保護者の観点から言うと、同じような教育理念や価値観のご家庭が集まる点は軽視できないはずです。生活感覚や教育観の齟齬を感じず、違和感なく同調しながら心地よい人間関係を築くことができる可能性が高いため、親子そろってストレスの少ない環境で学校生活を送ることができます。

建学の精神や教育理念に賛同できるかが大切

 私立小学校を選ぶ際に重視してほしいのは、その学校の建学の精神や教育理念、校訓や校風に賛同できるかどうかです。「どんな子どもに育ってほしいのか」という家庭の教育方針と重なる部分が多いのが理想でしょう。家庭と学校とでめざす方向に食い違いがあると、環境や習慣になじめず、わが子が苦しむことになってしまいます。そうした意味では「系列の大学のネームバリューがあるから」といった単純な理由だけによる小学校選びはあまり賢明とは言えません。  教育理念に魅力を感じられるかどうかを検討する際には、「学校文化が成熟している伝統校」と「時代に合った新しい教育方針を打ち出している学校」と、小学校を二つに分類する考え方があります。伝統校は選ばれ続けるだけの確固たる教育理念がありますし、新しい教育方針を打ち出している学校は、単なる学力だけでなく、自己肯定感や意欲、忍耐力やコミュニケーション能力、協調性や創造性といった「非認知能力」を丁寧に育んでくれる傾向があります。  「共学+無宗教」「共学+宗教」「別学+無宗教」「別学+宗教」といった分類による情報整理も有効です。系統立てて各校の特徴をきめ細かに検討することで、家庭と学校の方針のミスマッチが生じにくくなります。  最近では小中高の一貫校でありながら「中学校受験に強い」特色を打ち出している私立小学校も増えてきました。付属や系列の中学に上がる道とは別に、ほかの有名中学に送り出すアプローチです。6年間の中高一貫校の教育理念や環境に魅力を感じており、そこでわが子を成長させたいと思うのであれば、「中学校受験に強い」小学校を選ぶのも一つの考え方です。

小学校受験を先導するのは 保護者です。 小学校選びを通して、 わが子の無限の可能性を 切り拓く責任を 背負っている点を 忘れてはなりません。

「生きる力」を伸ばす小学校を見つける

 それぞれの私立小学校の情報収集にあたっては、各校のホームページのチェックは必須と言えるかもしれません。校長が活動報告などを発信している学校も多く、取り組みの内容やその背景にある教育方針を把握しておくことで、実際に願書や面接に生かすことができます。また、学校説明会や公開行事にも積極的に足を運びましょう。より深く学校を知ることができる貴重な機会ですし、「百聞は一見にしかず」です。そこにいる子どもたちの笑顔が多ければ、学校生活が充実していると考えてほぼ間違いありません。わが子も楽しい時間を過ごせる可能性が高いです。  最初に話したとおり、小学校受験を先導するのは保護者です。小学校選びを通して、わが子の無限の可能性を切り拓く責任を背負っている点を忘れてはなりません。明るい未来に導くうえでは、自分の言動がわが子を健全に後押ししているかを絶えず意識することが大切です。  受験対策のため、幼児教室などに通わせることもあるでしょう。その際、わが子を減点法で評価するのは禁物です。周りと比較して「なんでできないの?」「それじゃダメだよ」と否定するばかりだと、子どもは自信を失ってしまいます。自己肯定感を育てる目的もあって私立小学校をめざしているのに、その前段階で自己肯定感をつぶしてしまっては本末転倒です。マイナス評価の接し方では親子関係にも亀裂が生じてしまいます。  文部科学省は新しい学習指導要領で「生きる力」の育成を強調しています。「個別の知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」を3つの柱に据えており、小学校探しにおいても大切に考えたいところ。単に学校の知名度や人気に目を引かれるのではなく、賛同できる教育理念のもと「生きる力」を丁寧に育んでくれると確信できる小学校を見つけること。わが子の未来を勇気づけてくれる小学校選びが、小学校受験を主導する保護者の最大の務めと言えるでしょう。