ローソンのパン売り場には、ブランパンをはじめ健康機能を意識した多種多様なパンが。パッケージの数値表示を確認するお客さまも多い。
新型コロナウイルス感染症が日常生活に大きな影響を及ぼす中、健康管理の大切さを改めて感じ、これを機に食生活を見直したという人も少なくない。特に、低糖質、いわゆるロカボな食品に対する志向は高まる一方だが、こうしたブームが世に広まる前から、低糖質に着目して開発・改良を重ねてきたパンがある。それがローソンの「ブランパン」だ。
ブランパンが誕生したのは、今から9年前、2012年のこと。現在ローソンの商品本部でブランパンを担当している矢島英樹さんは言う。
「ブランとは、小麦などの穀物の外皮のことです。食物繊維を多く含み、しかも糖質が少ないブランを使用するブランパンは、お客さまの健康サポートを目指すローソンとしては非常に大切な商品です。しかし、12年の初代ブランパンについては開発において数々の苦労があったと聞いていますし、一般的なパンと比べておいしいとはいえませんでした」
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」から
その理由は、ブラン独特の風味やざらっとした食感。それをなんとか抑えようとさまざまな工夫をこらしたが、思うようなおいしさが出せず、売れ行きも伸び悩んだ時期があったという。しかし、ローソンは販売をやめることはなかった。
「パンは好きだけれど糖質制限などで食べるのを控えていたというお客さまが、『これだったら安心して食べられる』とリピーターになってくださったんです。その方たちの思いに応えるため、これまで何度も改良を重ね、よりおいしく、食べやすいブランパンを追求してきました」
20年からブランパンの担当になった矢島さんも、改良に着手。味の方向性はそのままに、ざらつきや飲み込みにくさを少しでも軽減できるよう、粉の配合を一から考え直したという。
「原材料も一つひとつ徹底的に見直したところ、ざらつきの原因となっている材料がわかったんです。それを考慮して配合を変えたところ、よりおいしく食べやすい味わいが実現できました。発売当初からずっと力を貸してくださっている製粉メーカーさんや製パンメーカーさんあっての成果だと思います」
実はブランパンは低糖質であるばかりでなく、健康維持のうえで気になる乳酸菌も含まれ、たんぱく質も1個あたり5・7グラム摂取することができる。また最近では、食物繊維が豊富でもちもちとした食感が人気のもち麦を使用したパンや、柔らかくふわっとした生地が特徴の白パンなど、新たな健康機能性シリーズも続々登場している。ビブグルマン受賞歴のある都内の人気フレンチレストラン「オザミトーキョー」では、低糖質コースを希望する方にローソンのブランパンを提供している。
ブランパンなどのプレーンな食事パンの他、もち麦を使用した菓子パンやスナック感覚の白パンなど、ラインアップも充実。
ローソン商品本部 ベーカリー・デザート部
マーチャンダイザー 矢島 英樹さん
「ブランパンには数多くのお褒めの言葉をいただいています。例えば、昨年いただいた手紙に、ブランパンがすばらしい商品であること、袋に大きく糖質量が書かれているため計算がしやすいことなどが長文で綴られており、自分たちのやってきたことが間違っていなかったと心からうれしく思いました。ブランパンはローソンのパンの中でも歴史ある商品。その重みをしっかり受け止め、私の代でブラッシュアップして、次につなげていきたいと思っています」