新型コロナウイルス感染症拡大の影響で自粛生活が長引く中、手間がかからない冷凍食品のニーズが高まっているという。その一方で、新しい切り口の冷凍食品を求める声も少なくないと、ローソンの商品本部デリカ・FF部の前田恵助さんは言う。
「これまで冷凍食品はストックのための需要が主でしたが、最近は即食、つまりすぐに食べるためのものとして購入する方が増えています。また、1〜2人分の小分けのものも好まれていますね」(前田さん)
そうした声を受けて2020年9月に発売となったのが「ビストロ」シリーズだ。「黒トリュフソースで食べるローストビーフ」や「ベーコンとほうれん草のキッシュ」など、手の込んだ高級デリカのような料理4品が、少量小分けになっている。
1〜2人分にちょうどいい少量小分けの「ビストロ」シリーズ。キッシュやラザニアなど、ワインによく合うちょっとぜいたくなメニューがそろっている。
赤身肉をじっくり低温調理したローストビーフは冷蔵庫で解凍するだけ。「温玉を添えてローストビーフ丼にするのもおすすめです」と前田さん。
「仕事を持つ女性が増えたこともあり、一日の終わりや週末に少しぜいたくなお惣菜をワインなどのお酒と共に楽しみたいというご要望が高まっています。そこで、コンビニで気軽に買える〝食事にもおつまみにもなるようなビストロメニュー〟の商品開発に挑戦したいと考えました」(同)
ローストビーフは冷蔵庫で解凍するだけでしっとりとした肉の食感と旨味が楽しめる。またワインに合うよう、黒トリュフソースを使用するなど、細部にもこだわった。キッシュについても、本格的な味わいを目指し、一つひとつ手作りの製法にこだわって焼き上げている。
「冷凍食品のメリットは出来立てのおいしさを保ったまま、時間を止められること。だからこそ、どのご家庭でもおいしく召し上がれるよう、解凍方法の設定などはいつも試行錯誤の連続です。私たちだけでなく、メーカーさんや製造工場さんのご協力があってこそ実現できています」(同)
また、商品コンセプト開発部の森誠治さんが手がけるのは、より明確なコンセプトを持った冷凍食品やチルド惣菜の企画開発だ。定番の惣菜からおつまみまで消費者のニーズに応えつつ、おいしさはもちろん、トレイがそのまま食器として使えるといった利便性の向上も重要。そんなプロセスの中で、森さんはまず、商品化を目指す料理を自分の手で作ってみるという。
(右)ローソン商品本部 デリカ・FF部
マーチャンダイザー 前田 恵助さん
(左)ローソン商品本部 商品コンセプト開発部
シニアマーチャンダイザー 森 誠治さん
「実際に調理してみないと素材のことも良い調理法も分かりませんから。たとえば『直火焼き牛タン角切 ねぎ塩ダレ』や『トロぶた角煮』の開発にあたっては、知人の肉屋から材料を購入し、どうすれば理想的な軟らかさや歯ごたえを出せるか、自宅で加熱方法や加熱時間などを何通りも試しました。結果、これは家庭では難しいな、と(笑)」(森さん)
家庭で調理する難しさを実感するからこそ、価値のある商品を生み出せる。それが森さんのポリシーだ。また、今年1月に発売となった「オイルサーディンと5種野菜のアヒージョ」は、家庭だけでなくアウトドアでも楽しめるような味わいをイメージして開発したという。
「ただおなかを満たせばいいというものではなく、『こんな楽しみ方があるんだ』という、ローソンならではの新しい食のシーンをご提案できればと思っています」(同)
ライフスタイルの変化に合わせ、進化を続けるローソンの冷凍食品・チルド惣菜。毎日の食事に、便利さと新しさを届けてくれそうだ。