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国際社会を生き抜く力 グローバル教育の使命

ヘッダーイメージ

SDGsのゴールズ、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻……。近年、世界で起きた様々な問題によって、“世界”は遠ざかったり、近づいたりした。
激しく変化する情勢のなかで、「グローバル教育」の今後はどうなるのか。大学8校と企業4社が語り合う。

取材・構成/株式会社POW-DER 座談会原稿/稲川千加子(PART 1)、松田明子(PART 2) 座談会撮影/鈴木克典(PART 2)、永田雅裕(PART 1)
デザイン/佐藤ジョウタ+鈴木マサル(iroiroinc.) 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot.ADセクション

ヤマザキマリさん プレゼント 困難を超え進化! 世界の課題に挑む 「世界市民」が創る新しい仕事とは?
旗

これからのグローバル社会に必要なものはこれだ!ヤマザキマリ的地球を生き抜くTIPS

ヨーロッパ、中東、アメリカなど世界を拠点に活動してきた漫画家・ヤマザキマリさんが考える、真のグローバリゼーションとは?
世界と共生するために、まず取り組むべきは「意識の構造改革」だという。

ヤマザキマリ衣装協力:ワイズ/ワイズ プレスルーム、ジェム・キングダム/アッシュ・ペー・フランス 撮影場所協力:サクラカフェ&レストラン日暮里
原稿/松田明子 写真/武藤奈緒美 ヘアメイク/田光一恵 スタイリング/平澤雅佐恵

ヤマザキマリ 遍歴

昆虫観察もグローバル化の第一歩「大気圏内で生きる仲間」と考えてみる

イラスト

 グローバリゼーションは、まず自分の身近な差別意識をなくさなければ成立しないと思っています。例えば苦手な人と仲良くしてみるなど、身の回りから意識改革していくべき。なぜなら海外社会にも様々な側面があり、不便も不条理もあるから。自分の見たいものだけ見たり、自分とは違う価値観を否定したりしていてはやっていけないのです。

 だからと言って、全て「あなた色に染まります」ということでもありません。自分を理解したうえで、あえて共有性を持たない人たちと共生するということです。私は幼少期から昆虫観察が好きですが、極端に言えば、それもグローバリゼーションの第一歩。意思の疎通はできなくても共生している、同じ大気圏内で生きている仲間だ、と感じられれば、グローバリゼーション的な意識が稼動している。つまり、「みんな地球の住民」と考えてみればいいんです。

国籍や人種に縛られずつながっていける時代

 若い人達にとっては、既に世界は遠いものではなくWEBでいつでもつながれるもの。今後、世界の人々は、国籍や人種といった「横軸」ではなく、「方向性が合う」といった、人の系統としての「縦軸」でつながっていくのかもしれませんね。日本人は地政学的にも、移動して様々な土地と融合してきた大陸の人々とは違い、定住して調和を育むタイプ。いながらにして世界とつながる現在の状況は、ある意味日本人に適した環境なのかもしれません。

 ただし、オンラインでのつながりを、そのまま実生活に持ち込めるかというと、そうとも限りません。相手に一歩踏み込むためには、先ほど言ったように、自分と相手の国民性・倫理観の違いを認識しておくことが大前提です。

想定外の経験こそが豊かな感受性を育てる

ヤマザキマリ

漫画家・文筆家・画家。1967年、東京都生まれ。84年、絵の勉強のため、イタリア留学。その後の結婚を機に世界各国に移り住む。『テルマエ・ロマエ』で、マンガ大賞2010、および第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。その他著書多数。

 日本人は元来、「予定調和を求める」傾向がありますが、最近はさらにそれが強まっているように感じます。けれども若い人にこそ、失敗や想定外の展開とあえて向き合ってほしい。そして、理想や思いが達成できなかった時に、それを受け止められる精神的な体制を整えてほしいのです。そもそも失敗や屈辱といった経験は、人間の精神性が成熟するうえで不可欠な感性。そこで得た経験値こそが、国際交流での「想定外」を受け入れる受容体になります。

 大学では、既成概念を覆されるような体験を重ねられるといいですね。あえて自分が興味のない分野を学ぶのも一つの方法だと思います。師事するなら、研究対象めがけて一番に走って行ってしまうような“面白い”先生。知的要求があふれ出ている人の話には、興味がない分野でも好奇心を焚きつけられるものです。

 また、様々な人間の現象として海外の国内向け映画を観るのもいいと思います。例えばインドの映画には、日本人とは違う概念でかたどられたヒーローや、異なる倫理で生きる人物が登場します。こうした映画を観ていると、自分の倫理観が決して世界基準ではないという自覚が芽生えてくるでしょう。「他国と自国のどちらが正しいか」などと比べること自体ナンセンスだと気づくはずです。

 そもそも世の中は不確実であり、予定調和はない。そういった認識を受け入れることが、グローバルな視野の発達につながっていくのではと私は考えます。

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