中日・細川成也

 プロ野球の世界で昔からよく言われるのが“2年目のジンクス”という言葉だ。ルーキーに限らずブレイクした選手が翌年は大きく成績を落とすケースが多いことから使われる言葉で、その原因としては相手チームの研究や、オフのメディア出演などで十分な練習ができないことなどが挙げられる。しかし中にはそんなジンクスを感じさせない活躍を見せる選手がいることも事実である。昨年ブレイクした選手の現状は果たしてどうなっているのだろうか(成績は4月17日終了時点)。

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 まずジンクスを感じさせない順調なスタートを切ったが門脇誠(巨人)だ。オープン戦こそ打率1割台と不振だったものの、シーズンが始まると開幕から11試合連続出塁を記録するなど活躍。4月9日のヤクルト戦から3番に起用されると、13日の広島戦では3安打、17日の阪神戦では4安打を放ち、3割を大きく超える打率をマークしているのだ。

 ショートの守備では既に3失策を喫するなど時折不安定なプレーはあるものの、広い守備範囲と正確なスローイングは素晴らしいものがあり、守りでの貢献度も高い。昨年11月のプロ野球アジアチャンピオンシップでは優勝を決めるサヨナラタイムリーを放つなどの活躍を見せており、ショート以外を守れる器用さは貴重で、このまま順調にいけばシーズンオフのプレミア12での侍ジャパン入りも見えてくるだろう。

 昨年セ・リーグで新人王に輝いた村上頌樹(阪神)もまずまずのスタートを切った。今シーズン初登板となった4月2日のDeNA戦こそ味方のエラーもあって3回5失点(自責点1)で降板して負け投手となったが、9日の広島戦では7回を無失点で今季初勝利をマークすると、続く16日の巨人戦でも勝ち星こそつかなかったものの7回を1失点、10奪三振という見事なピッチング見せた。

 持ち味である回転の良いストレートは今年も健在で、しっかりストライクゾーンで勝負することができている。昨年と比べて少し与四球の数が増えているものの、逆に三振は増えており、順調にレベルアップしている印象だ。昨年は夏場に少し調子を落としただけに、そこをしっかりクリアできれば、今年もタイトル争いに加わる可能性は十分にあるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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