あらゆる映画、テレビ番組、ドラマ、歌手を「パロディ」という手法で笑いのネタにしてきたとんねるずが作り上げた最高傑作の1つが野猿であるのは間違いない。2001年に野猿は「撤収」と称して解散して、メンバーはそれぞれの制作スタッフとしての日常に帰っていった。この日、久しぶりにテレビカメラに映し出された彼らは、ただただ純粋な素人に見えた。

 そして、番組後半では特別ゲストとして松田聖子が登場した。松田聖子はこの番組に何度か登場して、コントに参加したり歌を歌ったりしていた。このようなお笑い以外のジャンルのタレントを引っ張り出してくるのもこの番組のお家芸だった。3月8日の放送回では『北の国から』のパロディコントで宮沢りえが出演していた。宮沢はアイドル女優として人気絶頂の時代にこの番組に登場している。

 松田聖子や宮沢りえ以外にも、数々の大物タレントがこの番組には出演してきている。どんなビッグネームを前にしても臆することなく、対等に接して自分たちのペースに引き込んでしまうのがとんねるず流だ。

 この日の放送でも過去の名場面を振り返っていて、石橋がM.C.ハマーのパロディキャラ「M.C.TAKKER」を演じて本物のミュージックビデオをそっくり再現するシーンがあり、そこで本人との共演を果たしている一幕があった。「パロディに本人を呼んでしまう」という大胆な試みもこの番組では何度か行われてきている。とんねるずのパロディとは、本物すら巻き込んでしまう壮大なエンターテインメントだった。

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そして、スタッフロールが流れて…