とんねるず・木梨憲武(左)と石橋貴明 (c)朝日新聞社
とんねるず・木梨憲武(左)と石橋貴明 (c)朝日新聞社

 3月22日、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の最終回が放送された。前身番組となる『とんねるずのみなさんのおかげです』が1988年にレギュラー放送を開始して以来、30年の歴史に幕を下ろすことになった。

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 最終回の企画は「さいごのうたばん」。石橋貴明が出演していた他局の音楽番組『うたばん』(TBS系)のパロディ企画として番組内でたびたび行われていた「ほんとのうたばん」という企画の特別版だった。

 この番組から生まれたユニット「野猿」のメンバーが久しぶりにスタジオに集結していた。彼らはもともと番組の裏方だったのだが、ひょんなことから表舞台に引っ張り出され、とんねるずとユニットを組んで音楽活動をすることになった。1998年から2001年までの活動期間中にヒット曲を連発して、2年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場するほどの爆発的な人気を誇っていた。

 番組の企画として遊び半分で結成された音楽ユニットが、あれよあれよという間に人気を獲得して本物のスターになっていく。野猿は「嘘から出たまこと」を地で行く奇跡のユニットだった。とんねるずは野猿というプログラムを組んで芸能界を鮮やかにハッキングしていったのだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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