結果的にヤンキースに移籍となった選手としてはジャンカルロ・スタントン外野手も当てはまる。

 スタントンはマーリンズ時代の2014年オフに北米プロスポーツ史上最高額となる13年総額3億2500万ドル(約488億9000万円)で契約を延長した。だが、Aロッドと同じく契約から3シーズンが終了した2017年オフにヤンキースへトレードとなった。理由はやはり「高すぎる年俸」。特にスタントンの契約は年俸が上がっていく内容となっており、2018年には前年の1450万ドルから2500万ドルにアップ。球団の経営陣も元ヤンキースのデレク・ジーター氏らが率いるオーナーグループに代わっており、チーム再建のために放出されることとなった。

 Aロッド、スタントンよりは長くプレーしたものの、2013年オフに10年総額2億4000万ドル(約361億1000万円)でマリナーズ入りしたロビンソン・カノ内野手も5シーズン終了後にメッツへトレードされている。このタイミングでマリナーズは主力選手を多く放出する“ファイヤーセール”を行っており、カノの移籍もやはり年俸抑制が理由だった。

 一方で10年以上の契約を結び、それを最後まで全うしたのがジョーイ・ボット一塁手(前レッズ)だ。

 2012年シーズン開幕直後、リーグ屈指の一塁手として活躍していたボットは2014年から10年間で総額2億2500万ドル(約339億5000万円)で契約を延長した。契約後には自身の武器でもある選球眼の良さを生かし3度リーグトップの出塁率を記録するなど活躍したが、チームは低迷し、自身も契約6年目となった2019年以降は成績が下降。2021年シーズンにはキャリア2位タイとなる36本塁打を放つなど盛り返したが、契約の晩年はほぼ戦力になれずに苦戦が目立った。しかし、それでもチームはボットをトレードや戦力外にすることなく、最後まで手放すことはなかった。

 2023年オフに10年契約が完了し、契約時に付帯していたオプションを球団が破棄。チームを去ることになったが、メジャーデビュー以降レッズ一筋17間プレーした。退団後も現役を続行し、3月に入ってブルージェイズとマイナー契約を結んだが、長期契約を全うしたのはもちろん、近年では数少ない“フランチャイズプレイヤー”と呼んでもよいだろう。

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大谷が“オプトアウト”を使う日は来る?