子どもに生まれつきのあざがあるのは、珍しいことではありません。しかし目立つ場所にあると、本人が将来気にするのではないか、まわりに指摘されるのではないかと心配になる保護者は多いでしょう。近年はレーザー治療の進歩によって、治るケースが増えてきました。治療のタイミングや方法について専門家に聞きました。
【写真】異所性蒙古斑、治療前と治療後の比較(全2枚)レーザーでの治療が主流に
生まれつきのあざは、かつては手術で切除するしかありませんでしたが、現在はレーザ―治療が主流になっています。レーザー治療は日進月歩で安全性や精度が向上し、やけどのようなあとや傷が残る副作用が出ることもありますが、その頻度はかなり減っています。
ではどのタイミングで治療を受けるのが適切なのでしょうか。日本医科大学武蔵小杉病院形成外科で「血管腫・あざ外来」を担当する西本あか奈医師はこう説明します。
「基本的にレーザー治療は皮膚が薄い乳幼児のタイミングで行うほど、効果が高いと言われています。しかし、だからといって、全例に早い段階でのレーザー治療がすすめられるわけではありません。成長に伴って皮膚が伸びることでどの程度あざが薄くなるのか、治療後の再発の頻度などについて考慮する必要があります」
例えば、もともとのあざの色が濃ければ、成長に伴って薄くなったとしても、やはり目立ちます。一方、もともとの色がそれほど濃くなければ、成長したときに目立たなくなる可能性もあります。この判断には客観的な指標があるわけではないので、あざの治療経験が豊富な医師に相談することをおすすめします。
レーザー治療しても再び出現する「あざ」がある
また、あざの種類によってはレーザー治療をして一度は消失しても、再び出現することがあります。再発しやすいのは次のようなあざです。
・太田母斑(おおたぼはん:片側のおでこやその周辺にできやすい点状の青いあざ)
・単純性血管腫(たんじゅんせいけっかんしゅ:平坦な赤いあざ)
・扁平母斑(へんぺいぼはん:平坦な茶色いあざ)
次のページへ早めに治療を受けたほうがいいあざもある