幼少期に絵本はたくさん読んでくれたけど、絵本の次のステップにはどんな本がいいんだろう?――。そんな悩みを抱えるママ・パパに向けて、幼年童話を中心に、絵本から読みものへの橋渡しとなるおすすめの一冊を紹介します。

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あらすじ

 たまごたちが連れてこられたのは、ちょっぴり料理が下手なお母さんの家。このおうちでは、たまごはまっ黒こげの目玉焼きになるしかない運命だと聞いて、たまごたちは真夜中の冷蔵庫の中で泣いています。みんな、それぞれなりたい「理想のたまご料理」があるからです。

 翌朝、目玉焼きにされる前にたまごたちは逃げ出そうとしますが、思うように動くことができません。そんなたまごたちを棚の上から見ていたのが、だるまさんでした。たまごたちは、自由に動けるようになる「おまじない」をだるまさんから教えてもらい、外の世界へと飛び出していきます。果たして、たまごたちは「理想のたまご料理」になれるのでしょうか。

おすすめポイント

 64ページと読みやすいボリュームで、ほぼ全てのページに挿絵がついているので、はじめての「ひとり読み」にもぴったり。子どもたちにとって身近な食材のたまごが主人公なだけに、おはなしの世界にも入っていきやすいです。

 おはなしに登場するたまごたちには、それぞれの夢や希望があります。「おいしい たまごかけごはんに なりたい」「あまーいプリンになりたいわ」「ふわふわのオムレツになりたいな」――。そんな思いを胸に、家から学校、そしてさらなる外の世界へと冒険の旅に出ていくたまごたちを見ていると、応援したくなることでしょう。誰かを応援することは、人の喜びをいっしょに分かち合う心を育んでくれます。

『たまごさんがころんだ!』(佼成出版社)より

 また、ちょうど自分のまわりの世界が広がりつつある子どもたちならば、たまごたちに自分自身を重ねて読むこともできます。外の世界の楽しいワクワクやドキドキだけでなく、ピンチの中で奮闘するたまごたちの姿も描かれており、冒険には楽しいことばかりではないことにも気づかせてくれます。それでも最後まであきらめずに頑張るたまごたちの姿に、自ら新しい世界を切り開いていく勇気をもらえるでしょう。

『たまごさんがころんだ!』(佼成出版社)より

どんな子におすすめ?

 挑戦してみたいことや夢があっても、はじめの一歩をなかなか踏み出せない子にぜひ読んでもらいたい一冊です。たまごたちも「割れるかもしれない」と不安に思いながらも、夢や希望に向かって勇気をふりしぼって転がっていきます。はじめは恐る恐るでも、転がり始めたら生き生きと楽しそうに冒険の旅を続けるたまごたちの姿に、きっと背中を押してもらえるはずです。

たまごさんがころんだ! (おはなしみーつけた!シリーズ)

戸田 和代,西巻 かな

たまごさんがころんだ! (おはなしみーつけた!シリーズ)
著者 開く閉じる
岩本恵美
ライター/エディター/Webディレクター 岩本恵美

Webメディアの編集や新聞紙面の制作を経て、2016年に独立。現在はWebを中心に、本やアート、教育などをテーマにしたコンテンツづくりに取り組む。朝日新聞社が運営する本の情報サイト「好書好日(こうしょこうじつ)」にて、絵本・図鑑等の児童書やレシピ本などのジャンルを担当。GREEN GHOST LLC.所属。