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小児がん治療の影響に悩む子どもたちに笑顔を届け続けたい 群馬大学 医学部1年生 伊谷野真莉愛さん

GUNMA KOKUSAI ACADEMY GKAで成長する。 ぐんま国際アカデミーで成長した3名の大学生

12年一貫教育を展開するぐんま国際アカデミーは、「英語イマージョン教育」と思考力や表現力を高める「国際バカロレア」という教育プログラムを通して、子どもたちの可能性を広げていく。小学1年生から高校3年生までを同校で過ごした伊谷野真莉愛さんは、生涯をかけて取り組みたい活動に出合うこともできた。

高校2年次に「女子高生ヘアドネーション同好会」を発足

「あ、普通の女の子だ……」

 自分たちの手がけた医療用ウィッグを身につけた11歳の女の子が、黄色い手鏡越しに2度繰り返した。

 少女は小児がん治療の影響で頭髪を失っていた。がんという病に加え、「普通じゃない」状態が重苦しい気持ちを侵食させていた。だが、女子高生たちが1年ほどかけてようやくつくり上げたウィッグが心を軽くした。

 2018年3月6日、「おしゃれしてお出かけしたい!」と顔をほころばす少女のそばで、胸をいっぱいにしていたのが伊谷野真莉愛さんだ。当時、ぐんま国際アカデミー高等部の2年生で、約1年前に「女子高生ヘアドネーション同好会」を立ち上げていた。黄色い手鏡を両手にした女の子の硬い表情を解いたウィッグは、同好会が最初に完成させたものだった。

 ヘアドネーション活動に興味を抱いたきっかけは、身近な人の死だった。伊谷野さんは振り返る。

「中学1年生のとき、祖父が胃がんで他界して……。同じころにがんで苦しんでいる女の子の姿をテレビで見て、『何か自分にできることがあるのでは』と感じたんです。自分の頭髪をメディカルウィッグ用に提供するヘアドネーションなら中学生でも取り組める気がして、行動に移しました」

 中学1年生から高校1年生まで髪を伸ばし、まずは自身の頭髪を寄付した。その後、周囲の協力を得ようと二つ年下の妹とともに同好会を発足。ただ、道は決して平坦ではなかった。協力してくれる大人がなかなか見つからず、連携を依頼していたNPO法人との連絡も途絶えてしまった。

「真莉愛ならもっとできるよ」という言葉で自信が深まる

 逆境に直面し、むしろ心に火がついた。ウィッグの製造販売を行う会社に電話をかけまくり、アートネーチャーの支援を得ることに成功する。ぐんま国際アカデミーの理事長も務める群馬県太田市の清水聖義市長を巻き込み、群馬大学医学部附属病院の協力を仰げることにもなった。

 活動を軌道に乗せるうえでは、ぐんま国際アカデミーの環境が大きく生きた。伊谷野さんは言う。

「もともと引っ込み思案な私がどんどん行動に移せたのは、ぐんま国際アカデミーに自主性を大切にしてくれる雰囲気があったからだと思います。小学生のころからいろんな国籍の先生がいろんな場面で『真莉愛ならもっとできるよ』と前向きな言葉をかけてくれ、自信をつけてくれたのも大きかったですね」

 学校生活の大半を英語で送るぐんま国際アカデミーには、小学1年生から高校3年生まで在籍した。入学当初、英語はほとんど話せなかった。それでも、同級生の多くが流暢にしゃべれるわけではなかったし、間違えるのが恥ずかしいという思いはなかった。英語が普通の環境で過ごしたおかげで、小学3年生のときに家族で訪れたニューヨークでは、臆することなく現地の人と英語で会話を交わすことができた。

 小学生時代の思い出の一つが6年次の短期留学だ。オーストラリアで3週間のホームステイ生活を送り、現地の小学校に通った。日本の家族との連絡は一切禁止という3週間を、伊谷野さんは成長のチャンスととらえた。

「自分でいろいろとやり切るいい機会だと思って、ホストファミリーの子とその友だちとずっと英語で一緒に過ごしました。違う文化や習慣について学べましたし、初めての環境で自分の意思で行動できた経験は大きな自信になりました」

両親の影響もあり、将来は自身も医師になりたい

 ぐんま国際アカデミーの高等部は世界的に評価の高い教育カリキュラム「国際バカロレア(IB)」の認定校に指定されており、高校2年次からはIBコースで学んだ。「アクティブ・ラーニング」を主軸に置くIBコースでは「考える力」をとことん鍛えられた。たとえば詩や小説の読解という正解が一つではないテーマについて、英語で意見を交わし合った。

「エッセイやレポートを書く機会も多かったですね」と伊谷野さんは話す。

「例としては第一次世界大戦が起こった要因や、使用された武器はどう戦争に影響を及ぼしたのかを調べて文章にまとめました。呼吸について実験をしてレポートを書きましたし、私は市販されているマウスウォッシュのどの成分が口腔内細菌のどの種類に効果的かを調べ、卒業時の研究論文として提出しました」

 並行して受験勉強に取り組んだ。目が回るような忙しさにあって「女子高生ヘアドネーション同好会」の活動にも励めたのは、命に寄り添う生き方が肌に合ったからだ。父も母も医師。医学的な立場からさまざまな人生を支えてきた両親の影響もあり、将来は自身も医師になりたいと考えている。

 夢に近づくため、2019年4月から群馬大学の医学部で学ぶ。ヘアドネーション活動を認められ「米国ボランティア親善大使」に選ばれ、大学入学直後の5月にはアメリカのワシントンDCで開催された表彰式に出席した。心がふさぐ小児がんの子どもたちに笑顔を届けるヘアドネーション活動は、生涯をかけて取り組む使命のように感じている。

提供:ぐんま国際アカデミー