編集長レポート SOMPOホールディングスの総力を挙げ、認知症に取り組む 「安心・安全・健康」を提供できる存在へ

SOMPOホールディングスが、世界的な課題である認知症のサポートプログラムに取り組んでいる。同グループが目指す「世界に誇れる豊かな長寿国日本」を実現する「安心・安全・健康のテーマパーク」構築とは? 井原圭子本誌編集長が、櫻田謙悟グループCEO 取締役社長に聞いた。 *本インタビューの内容は、7月19日時点の取材に基づきます。

文/武田 洋子 撮影/スケガワ ケンイチ
デザイン/川上 博士(川上博士事務所) 企画・制作/AERA dot. AD セクション

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井原圭子編集長・櫻田謙悟社長
SOMPOの新たな挑戦 認知症の課題に本気で向き合う vol.01

幸せのイメージを具体化するテーマパーク

櫻田謙悟社長

AERAの裏表紙に櫻田グループCEOが登場しました!

井原先の西日本の豪雨災害では、社員の皆さんがいち早く現地に飛ばれたそうですね。損害保険をはじめ、グループとして幅広い事業を営んでいらっしゃいますが、目指すのは「安心・安全・健康のテーマパーク」の構築と聞いています。これはどのようなイメージなのでしょう。

櫻田私は保険業を一生の仕事にした人間ですが、つねづねお客さまにとって我々は、事故や災害や病気など「考えたくないイヤなこと」を想起させる存在だと感じていました。万が一に備えることは大切でも「しょっちゅう会いたくはない相手」というわけです。そこで安心・安全・健康といった幸せなイメージに結びつく事業体への転換を考えたのです。

井原不安をあおるようなストーリーではなく。

櫻田はい。幸せの形は人それぞれですが、抽象的な概念を具体化するのが「テーマパーク」です。「これが安心ということか!」とお客さまにわかりやすく伝わるものにしていきます。

井原変化が必要だと思われたのはなぜですか?

櫻田人口が減少していくなか、国内だけを見ていたら事業は縮小していくばかりです。海外に進出するには新たなビジョンが必要でした。さらに脅威だったのが「デジタル・ディスラプション(デジタル破壊)」です。デジタル技術の進化で既存の業界の外から破壊者がやってくる。例えば米配車(ライドシェア)サービス大手のウーバー・テクノロジーズは1台のタクシーも持っていません。これまでのレンタカー会社ともタクシー会社とも違う、新しい業態です。従来の、旅行業や金融業や製造業といった縦割りの業界を横に貫くこうした存在が、今度は保険会社とお客さまの間に入ってしまう。保険会社がお客さまと接する機会がなくなり、単なる財布になってしまうのです。この状態に陥らないためにはデジタルに強くなるしかなく、我々も横断的につながっていくことが不可欠です。

井原有機的につながって横展開した結果がテーマパークというわけですね。

世界的な課題となる認知症をテーマに

櫻田謙悟社長

SOMPOホールディングス
グループCEO 取締役社長
櫻田 謙悟

早稲田大学商学部卒業後、安田火災海上保険(現・損保ジャパン日本興亜)入社。損害保険事業における経営統合、事業提携、経営企画、営業、システム、人事などの経験に加え、アジア開発銀行での勤務など多彩な経歴を持つ。2010年損保ジャパン(現・損保ジャパン日本興亜)社長、12年から現職。経済同友会副代表幹事、同「政策審議会」委員長、日本経済団体連合会政策委員会委員長、総務省電波監理審議会委員などを務める。

井原世界経済フォーラムによる第四次産業革命センターの連携拠点として、日本センターが今年7月に設立されました。ここで中心的な役割を果たされている櫻田さんが、認知症を最重要課題の一つとすることを提言されたのはなぜですか?

櫻田全世界における認知症の当事者数は、2015年には約4700万人でした。30年には約7500万人にのぼると予測されています※1。認知症は世界共通の深刻な課題であり、国を超えた連携が急務なのです。

井原SOMPOとしても、総力を結集して「SOMPO認知症サポートプログラム」を始動させています。

櫻田我々SOMPOには、圧倒的なクオリティーを誇るビッグデータを有する強みがあります。当社の生命保険事業、損害保険事業、介護事業のグループ横断で得られるリアルデータに基づいたソリューションを提供できれば、それは国内外で「テーマパーク」最大の強みになるでしょう。目指すのは、認知症への正しい理解と認知機能低下予防を促進し、「認知症にならない・なってもその人らしく生きられる社会」に向けた総合的なサポートプログラムです。

※1 出典:国際アルツハイマー病協会

正しい知識と早期発見を促すサービスがスタート

井原圭子編集長

AERA編集長井原 圭子

井原国内でも25年に高齢者の5人に1人が認知症になると言われています※2。誰もが無関心ではいられません。

櫻田最大のテーマは早期発見なのです。例えばがんであれば、皆さん定期健診などで発見される機会があるでしょう。しかし認知症に関しては、一般的に検査を受けたがらない傾向があります。周囲が薄々感じていても、本人が認めたがらないことが多く、病院への受診までに時間を要するケースもあります。また認知症を発症すると、医療費、介護費ともに膨らみます。だからこそ、認知機能の改善が可能とされる軽度認知障害(MCI)のうちに発見することがとても重要です。

井原具体的にはどのようなサポートプログラムになるのでしょう。

櫻田第一弾として、認知機能低下の予防を目的とした情報提供とサービスを紹介する「SOMPO笑顔倶楽部」と、MCIの段階で保険金をお支払いする損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「リンククロス 笑顔をまもる認知症保険」の提供を開始します。MCIで保険金を給付するのは業界初※3の試みであり、早期発見の一助になればと。

井原認知症の発症および進行を遅らせるとともに、万が一介護が必要になっても、グループの介護サービスで一貫してサポートしていただけるのはありがたいことです。

櫻田なっても安心していただけるサービスを提供していきたいと思っています。もちろん、介護を受けなくて済むに越したことはありませんけどね。お客さまにはずっと健康を維持していただきたいです。

※2 出典:厚生労働省 ※3 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命調べ

明るい未来を夢見つつグループは進化する

井原10年後、SOMPOの姿はどうなっているでしょうか?

櫻田実はハピネス分野ってあるなと考えているんです。モノよりコトの時代で、ハッピーな時間や経験が求められているでしょう。60歳以上限定のキャンプ場とか、介護のプロが付いているカラオケとか、個人的なアイデアだけはいろいろと(笑)。

井原損保事業からますます大きく広がっていきますね。

櫻田これからの10年って昔の100年に相当しますから、グループの姿も変わります。いろいろなプログラムを提供して、「認知症といえばSOMPO」と言われるようになりたい。そのためには多方面からのアイデアやノウハウを集める必要があります。将来的にライバルはどこかと聞かれたら、必ずしも同業者ではなく、まったくの異業種の名が挙がる可能性は高いです。

井原深刻なテーマではありますが、お話を伺い、勇気が持てました。

井原圭子の編集後記

顧客に寄り添ってくれる会社なんだとしみじみと感じました。保険会社と介護事業の組み合わせは意外な気がしましたが、時代の要請だったのですね。

認知症は世界の叡智を結集してあたるべきテーマですが、SOMPOが加わることで、楽しく明るく取り組んでいけそうな気がします。「テーマパーク」の完成が待たれます。

提供:SOMPOホールディングス