イスラエルのワクチン接種の様子(GettyImages)
イスラエルのワクチン接種の様子(GettyImages)

 また、Yinon氏らは、イスラエルの60歳以上で新型コロナウイルスワクチンを2回接種している113万7,804人の2021年7月30日から8月31日までのデータを抽出しました。そして少なくとも12日前にブースター接種を受けた人(ブースター群)と受けていない人(非ブースター群)の間で、Covid-19が確認された割合と重症化した割合を比較したところ、追加接種から12日以上経過した時点でCovid-19の感染が確認された割合は、非接種群に比べて11.3倍低く、重症化した割合は19.5倍低いことがわかりました。さらに、ブースター注射の4~6日後の感染率を、12日後の感染率と比較して評価したところ、ワクチン接種後12日以上経過してからCovid-19の感染が確認された割合は、4~6日経過してから感染が確認された割合よりも5.4倍低いことがわかりました。

 こうした科学的な事実やイスラエル国内でのオミクロン株の感染拡大を受け、60歳以上と医療関係者への4回目の接種を、3回目の接種から4カ月以上の間隔をあけて開始する方針であることをイスラエルのベネット首相は、12月21日に明らかにしています。

 これらの国々から遅れること数カ月後。12月1日に日本でもようやく追加接種が開始されました。12月23日時点でのブースター接種を終えた人口の割合は、0.31%です。大阪、京都、東京、福岡、愛知などでは、オミクロン株の市中感染がすでに確認されています。国内にオミクロン株が広がっていることは間違いないでしょう。本来、ワクチンは、自分を守ることに加えて、感染拡大を予防するために接種するものです。2回接種から時間が経過すれば予防効果が低下することがすでに報告されているにもかかわらず、一般の方々の追加接種は早くても春頃からという現状は、科学的な対応であるとは私は思えません。

 欧米で今も感染拡大を続けているオミクロン株ですが、どうやらデルタ株と比較して、入院リスクは低いようです。イギリス政府の保健安全保障庁の解析結果、オミクロン株感染者の入院リスクはデルタ株感染者より62%低いことが示されたことが報告されました。

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